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memorandum&curiosity

憲法51条(免責特権)

2006年03月07日 01時31分14秒 | legal
記憶の混乱が起きたときに、記憶を整理し直すわけですが・・・。そのときに意外と重宝するのが実際にあったニュース(しかも、インパクトが強ければ強いほど助かります)などを思い浮かべて記憶さえすれば、安定した記憶の定着になります。

具体的に、国会には両院協議会というものがあります・・・このとき、ある議決は必要的両院協議会だったか?任意的両院協議会だったか? どうしても思い出せないことがしばしばあります。(私だけかもしれませんけど・・・)
そんなときに、「法案の議決」はどちらだったか? と記憶の混乱が生じたときに、実際のニュースである小泉総理が掲げた「郵政法案」を思い出せば、答えが出てきます。
あの頃、自民党は衆議院議員総選挙を圧勝した後2/3以上の議席を獲得し、仮に参議院で否決されたとしても、再議決で郵政法案は通過するというニュース記事を思い起こせば、法案の議決は、任意的両院協議会ということがハッキリと分かります。
(ちなみに、それ以外の「予算の議決」「条約の承認」「内閣総理大臣の指名」については、再議決という制度がないため必要的両院協議会となります)

これに派生して、「郵政解散」という名の衆議院の解散についても、内閣は憲法69条(内閣不信任決議)による解散は認められているのは良しとしても、憲法69条を前提としない解散が内閣の権能として認められるものなのか?という「議院内閣制」においての①均衡本質説 を採るのか? ②責任本質説 を採るのか? いったいどちらなのか?・・・

※均衡本質説は、議会と内閣の対等性を重視して内閣に解散を認めるという説
※責任本質説は、内閣の存立は議会の信任に依存しているため、解散権が無くても成り立つという説

これについても、小泉総理が「郵政解散」を行ったことが記事になったおかげで、①均衡本質説 が主流の見方なんだろうと記憶できます。(私にとっては豪華な教材です)
ちなみに、均衡本質説(解散権を認める)のメリットとして、「郵政解散」でいえば、郵政民営化は賛成か?反対か? 国民に選択権ができたということで、国民の意思に近づけようとしていたことが伺えます。


そして、今回はというと・・・永田議員が衆議院予算委員会の場において、一般市民の方の名誉を毀損するような発言をしたことについて、なぜ無答責なのか?

それは、憲法51条で保障されている国会議員の免責特権というものが存在するからです。(しかし、永田議員は、記者会見などでも発言していることなどから、国会以外での発言なので、提訴される可能性が残っています)

※憲法51条では、「国会議員は、議院で行った演説、討論または表決について、院外で責任を問われない」と定められています。

そもそもなぜ国会議員には、免責特権というものがあるのかといいますと、国会議員は国民を代表して国政を託されていることから、その職務を全うするため自由な発言が保障されなければなりません。そこで、憲法51条の免責特権や憲法50条の議員の不逮捕特権などが憲法で保障されています。

※憲法50条の不逮捕特権は、国会の会期中逮捕されないことを保障されています。(ただし、現行犯逮捕や議院の許諾がある場合は別です)

そこで、個人的に思いますが、憲法51条(免責特権)の趣旨というのは、国会が正しく運営されることを目的としたものと考えますと、民主党の議員さんが①「免責特権があるんだから・・・」②「若い議員ががんばったのだから・・・」③「悪事を追求したためのものなんだから・・・」というのは、全部外れている認識だと思います。
やはり①については、国会の運営を妨害しました。②については、永田議員は過去4回の懲罰動議にかけられています。(今回で5回目) ③については、これは、個人的な見解でメール問題が解明されるまで発言を控えようと思っていましたが、永田議員の偽装工作疑惑がある以上、さらには党ぐるみの可能性もある以上開き直って51条を振りかざすのは奇妙に見えます。
(もちろん、そのために憲法58条の懲罰動議が存在していますけど・・・)

政策をぶつけて論争することを望んでいる国民にとって、スキャンダルで政権交代を考えた戦略にどうしても同意できません。
(前原さんの安全保障についての考え方には大賛成で、支持できる部分もあるなかで残念です)

国内のいちフリージャーナリストに騙されたと言って、被害者のように主張されてましたが・・・事実上ジャーナリストレベルに振り回されていたとしたならば、「我が党は、ホリエモンに利用されなかった」と自負していたあの党なのか?と自分の目を疑います。国外に目を向ければ、もっと手強い国々と交渉しなければならないことを考慮すると、結果重視(result oriented
)の政治において、「若い議員ががんばったのだから・・・」といういい訳をする時点でこの党は大丈夫なのか?やっていけるのか?と一抹の不安を覚えます。


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