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memorandum&curiosity

少し勘違い・・・

2006年07月30日 18時48分59秒 | legal
なんとなく忙しくて更新頻度が少ないですが(日々、出回っていれば何かしら情報があるんですが・・・)、今日は、ブログに記載しておこうと思う話がありました。

「被害届をだしたのに、警察は何もしてくれない」と嘆いている方が近所にいました。そして、いろいろ憶測が飛び交っていて、「きっと、警察も忙しすぎて、それどころじゃないのよ」と・・・。

実のところ、そうではないと思いますよ。。。

被害届を出したからといって、警察に捜査する義務が生じるのかといえば、そうではないんです。
そもそも被害届というのは、被害者が警察へ被害の届けを出すことを言いますが、それは、単に警察に場所や日時と被害状況を説明するだけの書類に過ぎません。ただし、裁判沙汰になれば、これは立派な証拠になりますし、犯人の供述書よりも十分な証拠能力を持つ可能性が高いので、決して無駄ではないと思いますよ。

ただ、警察がその被害届を受理したからといって、その事件が警察本部への報告義務をもたらすかといえば、そうではありませんので、注意が必要です。
これは、インターネットで調べた話ですが、被害届には、署長決済も不要なため、警察本部への報告義務もなく、もっといえば、担当課長が捜査を始めるかどうかを判断することが多いそうなので、被害届を提出したからといって、犯人が処罰されることにはなりません。

話を分かりやすくするために、事の経緯を説明しますと、食事をするため焼肉屋さんへ出かけたところ、焼肉屋さんが混んでいた為、その焼肉屋さんの駐車場で待機していたそうで、そのときに、因縁を付けられたそうで、車のフロントガラスを犯人に割られたのが事件のあらましです。

つまり、これは、器物損壊罪(刑法261条)で、3年以下の懲役にもなり、りっぱな犯罪行為になります。警察の人手の問題ではありません。被害者が告訴をすれば、警察は動くことになります。
問題は、器物損壊罪は、親告罪という枠に入りますので、被害者等から警察で、「犯人を検挙して欲しい」という旨を伝える必要があります。

※ 親告罪とは、告訴がなければ、公訴を提起することができない罪をいいます。

この親告罪という制度は、被害者が望まない犯罪行為に対する犯人検挙という事件もあることに配慮された制度だと理解しています。
たとえば、性犯罪の事件については、被害者は、裁判官の前で思い出したくも無い事件状況を再度、説明するという苦痛をもたらし、そらならば、忘れることへ努力の時間を費やそうと選択権があり、無条件で公権力が事件に介入できないようにした制度なんだと理解しています。
ちなみに、殺人事件などは、「非」親告罪で、無条件で警察が動くことになると思います。

いづれにせよ、告訴は、被害届とは違い、警察内部とどまることなく、検察庁まで達するので、警察が動かないということはありません。もしあれば、大問題です。(ここ最近の岩手県警の不祥事をニュースなどで耳にしますが、それと同様の問題になると思います)

どうしても、犯人を罰して欲しいということであれば、告訴が重要になると思います。

※ 告訴とは、被害者もしくは、その法定代理人等が捜査機関に対して、犯人検挙の意思があることを申告することで、第三者が申告する場合は、告発といいます。


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