海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

海底ボーリング調査と海保への抗議

2015-06-05 22:40:14 | 米軍・自衛隊・基地問題

 5日は午前9時10分頃に瀬嵩の浜から12艇のカヌーで抗議行動に出発した。風が強かったので抗議船に乗って海底ボーリング調査を行っているスパッド台船の近くに向かい、カヌーと船上から沖縄の民意に従い、作業を中止するように訴えた。

 前日4日に3台目のスパッド台船が奥の方に設置されている。この日は3台とも作業員の姿が見えたが、午前中掘削用のパイプを下ろしボーリング調査を行っていたのは手前の1台だけだった。メディアの報道ではクレーン付台船(第八十八福丸)でもボーリング調査が行われていたとのこと。6月中に調査を終えるために日本政府・沖縄防衛局はスパッド台船を増やし、作業を急いでいる。

 例によって調査は海上保安庁のゴムボートに守られて行われている。前日には抗議のためにスパッド台船に向かって泳いでいたカヌーチ-ムのメンバーに、あろうことか海保のゴムボートが突っ込んできて船底をぶつけ、一歩間違えば命を失いかねない事故を起こしている。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-243852-storytopic-3.html

 海保は海難救助のプロだ。フロートとスパッド台船の間を泳いでいる人を気づかなかった、見えなかったということがあり得るのか。海保のゴムボートには最低3名が乗っていて、前後左右を確認し、水泳者何名、後方注意、などと操舵者に声をかけている。威嚇して脅すためにわざとやったのなら犯罪であり、間違えてやったのならまずは被害者に謝罪すべきだ。

 フロートの近くから海保のゴムボートに対し、抗議船とカヌーのメンバーで前日の事故に対し謝罪を要求し、指揮船に乗っている現場の責任者に説明を求めた。しかし、海保の対応はまったく不誠実で、きちんとした回答はなかった。民間の船舶が同じような行為をしたら、海保は厳しく取り調べを行うはずだ。自分たちがやったことは曖昧ですまそうというのか。

 午前10時前、謝罪も説明もしない海保の対応に怒り、カヌーメンバーの男性1人が抗議船から海に飛び込んで抗議した。男性は海保に拘束されたあと、15分ほどして抗議船に戻された。

 午前11時頃、目の前のスパット台船で進められているボーリング調査に対し、海に飛び込んだり、カヌーを漕いでフロート内に入り、抗議行動を展開した。海保に拘束されたあともゴムボートの上からスパッド台船の作業員に抗議の声を上げ、さらに現場指揮官が乗っている海保の巡視艇「てぃだ号」に対し、ゴムボートの上から声を上げたり、海に飛び込んだりして、前日の暴挙に対し強く抗議した。

 カヌーメンバー10名を拘束したあと、海保は1時間ほど海上で時間を費やし、瀬嵩の浜になかなか返さなかった。島ぐるみ会議のみなさんが浜に激励に来ていたため、これまでのように浅瀬まで運んで解放すると、ゴムボートを取り囲まれて追及されるのを怖れていたらしい。前日の事故が大きく報道され、抗議集会参加者の怒りが高まっていることを、海保も知っている。

 翁長雄志知事や稲嶺進市長の訪米に対し、日米両政府は示し合わせて、辺野古新基地建設推進の姿勢を強調し、沖縄県民の反対の意思をくじこうとしている。知事がどんなに頑張ってもダメだ、という認識を県民に与え、反対の民意を押し潰そうという魂胆だ。しかし、ここからが沖縄県民の底力、固い決意を見せるときだ。

 そのためにも現場での力強いたたかいが重要となる。日米両政府はそれを見ている。国会で自公政権が圧倒的な強さを持っているなか、政治にまかせればいい、という発想に陥れば活路はない。日本という国家の枠組みの中で沖縄の声は常に少数だ。少数派が現状を変えるには、日米の権力者が嫌でも動かざるを得ないほどの発想と行動が求められる。

 ちゅーたるがきさんぐとぅ、どぅーなーがちゃんちえー(動)くが。うちなーぬ将来のたみなかい、ないぬうっぴーぬくとぅやさーびらな。

 午後からは雨の予報が出ていたため、5日は午後1時過ぎに瀬嵩の浜を引き揚げた。

 


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