海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

南洋群島慰霊墓参団

2009-05-30 19:53:56 | 2009年 南洋群島慰霊墓参団
 3月26日から29日まで「第40回南洋群島慰霊墓参並びに親善交流の旅」に参加し、サイパンとテニアンに行ってきた。  私自身は肉親や近い親戚に南洋での戦争の犠牲者や帰還者がいるわけではない。それでも、小学校の頃に教わった教師がサイパンでの戦争体験者だったり、大学の恩師がテニアン出身だったり、運天港でアルバイトをやっていた頃、一緒に仲仕をやっていたSさんという人がパラオ出身だったり、身近に南洋帰りの . . . 本文を読む
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『眼の奥の森』刊行

2009-05-25 23:55:59 | 生活・文化
 『季刊 前夜』に連載した「眼の奥の森」が一冊にまとめられ、影書房から刊行された。第1回は除いて、第2回から12回までで一つの作品にしている。値段は1800円。ご一読いただけると有り難い。  なお、詳しい問い合わせは影書房へお願いしたい。   . . . 本文を読む
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『沖縄戦「集団自決」の謎と真実』を読む 4

2009-05-24 23:52:48 | 「集団自決」(強制集団死)
 秦郁彦編『沖縄戦「集団自決」の謎と真実』には、第二章として「宮平秀幸陳述書」が収録されている。言うまでもなく大江・岩波沖縄戦裁判の控訴審に提出されたもので、判決文で〈秀幸新証言は、それまで自らの述べてきたこととも明らかに矛盾し、不自然な変遷があり、内容的にも多くの証拠と齟齬している〉〈秀幸新証言は明らかに虚言であると断じざるを得ず、上記関連証拠を含め到底採用できない〉と厳しい判断が下されたもので . . . 本文を読む
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梅雨入り

2009-05-20 19:54:15 | 沖縄戦/アジア・太平洋戦争
 沖縄は18日から梅雨に入っている。今日(20日)も朝から雨で、名護では時折激しく降っていたが、夕方になって雲の切れ間から日が差してきた。  64年前のこの時期は、現在の那覇市の新都心一帯で日米両軍の激しい戦闘が行われていた。慶良間チージ(シュガー・ローフ)をめぐる攻防戦では、米軍も甚大な被害を受けていた。米国陸軍省編・外間正四郎訳『沖縄 日米最後の戦闘』(光人社NF文庫)にはこう記されている。 . . . 本文を読む
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『沖縄戦「集団自決」の謎と真実』を読む 3

2009-05-19 21:28:21 | 「集団自決」(強制集団死)
 本書の第七章「集団自決問題の真実」で秦氏は、照屋昇雄氏の手記や証言に関して次のように記している。  〈昭和二九年(一九五四)から琉球政府援護課に勤務した照屋昇雄の手記(巻末の付属資料参照)や証言によると、渡嘉敷島の自決事情を調査したが、軍命令とする住民は一人もいなかった。そこで玉井喜八村長と相談して自決者への法適用には困難があるので、赤松隊長に「自決命令書」を書いてもらうことになった。そして村 . . . 本文を読む
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医療・介護と基地

2009-05-18 23:49:01 | 生活・文化
 5.15県民大会に初めて参加したのは大学に入った1979年だから、今年でちょうど30年になる。当時は那覇市の与儀公園で開催されていて、大会後はひめゆり通りから国際通りをデモ行進もやっていた。以来、よほど都合が悪くない限り5.15県民大会には参加してきたのだが、昨日(17日)は同時刻に別の集まりがあり、迷ったがそちらを優先した。  参加したのは、那覇市の県総合福祉センターで開かれた日本ALS協会沖 . . . 本文を読む
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資料・「一般社団法人 キャンプシュワーブサポート 定款案」

2009-05-17 00:35:00 | 米軍・自衛隊・基地問題
 一般社団法人キャンプ・シュワブ・サポート事業協会(CSS)について、久志三区の区長や行政委員への説明会で使用された資料から、同協会の「定款案」を引用して紹介したい。「案」であるからこれから修正が行われると思うが、形式、内容ともにかなりしっかりと作られており、基本的にはこの「定款案」で承認が図られるのではないかと思う。先に紹介した「事業概要」と合わせて読めば、現在立ち上げに向けて動きが進んでいるキ . . . 本文を読む
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辺野古新基地利権の受け皿作り

2009-05-16 14:41:35 | 米軍・自衛隊・基地問題
 5月13日に、在沖海兵隊のグアム移転を推進する協定が成立した。野党が多数の参議院本会議では否決されたが、衆議院の優先に基づくものである。これによってグアムでの施設整備費として日本が28億ドルを上限として費用を負担することや、嘉手納より南の基地を返還することとパッケージとされている辺野古新基地の建設が、在日米軍再編のロードマップを順守するという形でさらに強硬に進められていく。  100年に一度の経 . . . 本文を読む

5.15平和行進始まる

2009-05-15 17:02:01 | 住基ネット・監視社会
今日は5.15ということで、辺野古の浜で開かれた東コースの出発式に参加し、午前中、宜野座村役場まで歩いてきた。歩いている途中に久志岳が見えたのだが、米軍の実弾演習によって着弾地の赤土が剥き出しになり、山火事で黒く焦げた場所が目についた。13日の夜に用事で辺野古に行ったとき、午後9時を回っているのに米軍の射撃演習の銃声が鳴り響いていた。好天が続いて乾燥していることもあり、キャンプ・シュワブでもキ . . . 本文を読む

若夏んなりば

2009-05-13 12:59:28 | 生活・文化
 5月も中旬を迎え、野鳥も子育てに急がしい時期を迎えている。先だって今帰仁の家で庭作業をしていたら、家の屋根で巣立ったばかりのウミピヨーシ(磯ヒヨドリ)の子に親鳥が餌をやっていた。昼の間ずっと家の屋根や周りの電線で親子で鳴き交わしていたが、飛び方や餌の採り方などを教えていたのだろう。  今の時期は朝の4時頃になるとホーピル(アカショウビン)の鳴き声が聞こえ始める。まだ暗い中、ピュルルルルル、という . . . 本文を読む
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「風流無談」第23回

2009-05-12 19:02:26 | 「風流無談」
 「風流無談」第23回 2009年5月2日付琉球新報朝刊掲載  二度目となる「風流無談」の連載第一回に、憲法九条と沖縄の構造的矛盾、そして沖縄県立博物館・美術館の館長に就任した牧野浩隆氏の問題について書いた。最終回を迎えるにあたり、あらためて同じ主題を扱うことにする。  現在、県立博物館・美術館で開催されている「アトミックサンシャインの中へin沖縄ー日本国平和憲法九条下における戦後美術展」で、昭 . . . 本文を読む

『沖縄戦「集団自決」の謎と真実』を読む 2

2009-05-11 23:55:00 | 「集団自決」(強制集団死)
 秦氏は本書のあとがきで、次のようにも記している。  〈集団自決問題の全容を解明するための第一次的資料や情報は、まだ十分に出そろってるとは言いにくい。軍・官の公文書の多くが戦火で失われた。戦後の諸情報は、沖縄の政情や援護法適用とのからみもあり、厳格な資料批判に耐えられぬものが少なくない〉(329~330ページ)。  これまで明らかにされてきた「集団自決」に関連する資料や証言を〈戦後の諸情報〉と . . . 本文を読む

行事案内

2009-05-10 23:56:28 | 靖国問題
☆靖国合祀取消訴訟第6回弁論  5月12日(火) 那覇地方裁判所   午前11時開廷ですが、事前集会と整理券発行がありますので、集合は午前10時です。 ☆5.15平和行進   5月15日(金)午前9時 辺野古の浜で東コースの出発式があります。   反住基ネット沖縄は東コースを行進する予定ですので、会員の皆さん、ぜひご参加を!  5月16日(土)午前9時 沖縄市役所 出発式  5月17日(日)午前 . . . 本文を読む

古宇利島とジュゴン

2009-05-08 15:28:11 | 米軍・自衛隊・基地問題
 5月4日の琉球朝日放送のニュースで、古宇利島沖を泳ぐジュゴンの映像が放映されていた。古宇利島にはジュゴンにまつわる伝説がある。今帰仁で生まれた私も子どもの頃にその話を聞いた。  昔、古宇利島に男と女がいて、二人は天から降ってくる餅を食べて生活していた。ある日、もし餅が降ってこなくなったらどうしよう、と不安になった二人は、餅を溜め込むようになった。すると餅は降ってこなくなり、二人は自力で食糧を得な . . . 本文を読む

『沖縄戦「集団自決」の謎と真実』を読む

2009-05-04 18:35:05 | 「集団自決」(強制集団死)
 3月中旬に秦郁彦編『沖縄戦「集団自決」の謎と真実』(PHP)が刊行された。一読していくつか感じたこと、考えたことがあり、ブログに書こうと思ったのだが、4月は基地問題への対応に忙しくて、手をつけることができなかった。5月に入り連休の小閑を利用して二、三書いておきたい。  本書を編んだ理由を秦氏は「あとがき」でこう記している。  〈本書を第二審の結審前に裁判官にも読んでもらい、判決の参考にしてもら . . . 本文を読む
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