私がナンプレを覚えたての時分は、「一解の原則」という手法が冊子にも紹介されていました。
この場合、4行5列で5が消えると答えが複数になるので、5が入るという手法です。ところが何十年もナンプレから離れているうちにこの手法は禁じ手になっていたのです。その理由は答えが3通りになる可能性を否定できないというものでした。そしてこの手法を横文字で「Unique Rectangle」というそうです。でも疑問が残ります。ここで1を入れても3を入れても5を入れても答えが出るとしたら、矛盾が起きないので、背理法が使えないことになります。そうするとナンプレに於ける背理法は、唯一解前提の手法となると思いますが、これは詭弁でしょうか。
今回の題材は、質問図自体が間違っていまして解けないと回答された問題で、その出題図が次の図です。
予告でも記しましたが、この作品は不良問題です。不良問題に名前を付けるのも何ですが、敢えて付けるとすれば「怪我の功名」という処でしょうか。
解き易くします。
整理すると幾つかの数字が決まります。
この図から解きます。
上段ユニットで、6は▢で3と三回同居で6-3の磁石候補です。また、▢で6は8と一回同居で6と8は異種です。どちらかは誤りですので、3と8は同種になります。同種は同居しませんので、8は削除されます。
8で進めて、
1で進めて、
9で進めて、
下段ユニットで、9は▢で9-2の磁石候補の時6と一回同居で9と6は異種です。また、▢で9は3と一回同居で9と3は異種です。どちらかは誤りですので、6と3は異種になります。異種は一回同居しますので、6が入ります。
6で進めて、
5で進めて、
上段ユニットで、6は▢で6ー1の磁石候補の時4と同居しないので、6と4は同種です。また、▢で6は1と一回同居で6と1は異種です。どちらかは誤りですので、4と1は同種になります。同種は同居しないので、4は削除されます。
進めて、
右側ユニットで、4は▢で4-1の磁石候補の時8と同居しないので、4と8は同種です。また、▢で4は1と一回同居で4と1は異種です。どちらかは誤りですので、8と1は同種になります。同種は同居しないので、8は削除されます。
進めて、
4は▢で4-9の磁石候補の時5と同居しないので、4と5は同種です。また、▢で4は9と一回同居で4と9は異種です。どちらかは誤りですので、5と9は同種になります。同種は同居しないので、5は削除されます。
進めて、
4は▢で4-9の磁石候補の時2と同居しないので、4と2は同種です。また、▢で4は9と一回同居で4と9は異種です。どちらかは誤りですので、2と9は同種になります。同種は同居しないので、2は削除されます。
3と5と9は同居しないので同種が確定しています。1と6と8も同種です。そしてこの二つのグループは一回同居で、異種が決まっています。2は▢で1と一回同居し、そして、▢で2はやはり1と一回同居しています。この二つのルートは重ならないので2と1の異種が決まります。これで2と3と5と9が同種になりましたので、このグループは磁石側になります。何故なら鉄は3個に決まっているからです。
2と3と5と9が磁石側に決まりました。9は▢で1と6と8と各々一回同居しますので、9-4の磁石になります。従って、4が確定します。
4で進めて、
7で進めて、
2で進めて、
5で進めて、
7で進めて、
1で進めて、
3で進めて、
2で進めて、
9で進めて、
6で進めて、
正解です。
ロジックではこれ以降は進めないのです。その解説を致します。
ご覧のように、二ヶ所に Unique Rectangle が在ります。一解の原則が使えれば▢に6を、▢に5を入れて進めた、
この図が作者の意図する答えなのでしょう。でも、そうはいかないのです。
▢に7を、▢にも7を入れても答えになるのです。別の組み合わせでも答えになります。
結局のところ▢で3通り、▢で3通りの合計9通りの答えが発生するのです。
つまり、この作品は「Unique Rectangle は3通りの答えが出る場合があるから使用できない」ということを証明しているのです。これが、怪我の功名たる所以です。
ただやみくもに答えを求めるのではなく、こういう現象に出合えるのもナンプレを解く楽しみの一つだと思います。
次回は、理詰めの解法を教えてくださいと投稿された問題で、その質問図が次の図です。
これは途中図のようです。超難問ですヨ、心して挑戦してください。
ご覧頂きまして有難うございました。