以前、「頭ハネ」の変異型が「頭ハネⅡL」で「頭ハネⅡL」の進化型が「共倒れ」だと記しました。その「共倒れ」は、いちごナンプレ研究所 さんの「天和」の解き始め図の
を見て、3の Loop と7の Loop が同じマスで一回接触しているがこの2個の数字はどういう関係なのだろうかと思ったからです。
この作品は相棒ナンプレですので、当然中心マスには5が確定します。従って、3と7は削除されますが、それでは解いたことにはなりません。従って、相棒を無視して進めてみました。
そこで、1の Loop を造り▢で二択マスを持てば中央マスに同色の1と3が入る事を確認し、
次に、7の Loop と9の Loop を造り▢で二択マスを持たせて、中央マスに同色の7と9が入る事も確認し、
二つの図を合体させて、
3と7も削除される事を証明しました。しかし、この作品は結局は相棒ナンプレですので、通常問題でも通用するものなのか使ってみる必要があります。
色々探しまして見付けたのが「逆鱗」です。▢が二択マスを持たない Loop 同士の唯一の接触マスです。
「共倒れ」を使えば▢には1も2も入れませんので、削除されます。
色分けを2色にすると青色数字は誤りですので、全て削除されます。この手法を経て正解図に進みます。
この結果を参考にして「共倒れの原則」を考案しその定義を次のように決めました。
「ある数字Xの Loop が在る時、その Loop の構成域に、別の数字Yの Loop との二択マスを有しても有さなくても、三択以上の接触マスが1個の場合は、当該2数字はその接触マスから削除される。」
ここまでが前回までの要約です。
今回は「共倒れの原則」の続きですが、最後までお読み頂きますとクラスが上がるかもしれません。
実は、「共倒れの原則」には定義がもう一つ有るのです。私もそのことに気が付いて驚きました。もう一度定義をご覧ください。
「ある数字Xの Loop が在る時、その Loop の構成部分に、別の数字Yの Loop との二択マスを有しても有さなくても、三択以上の接触マスが1個の場合は、当該2数字はその接触マスから削除される。」
赤色マークの処は必要なのかな?無くてもいいのではないか?と、思われた方は普通の愛好者さんです。何であの記載が有るのだろうと、疑念を抱いた方は達人さんです。
そこで、逆転の発想をしますと、その定義は。
「ある数字Xの Loop が在る時、その Loop の構成域に、別の数字Yとの二択マスを1個有する場合は、数字Yは Loop で有っても無くても、三択以上の接触マスが1個の場合は、当該2数字はその接触マスから削除される。」
図面で説明すると、
「逆鱗」で1の Loop が出来上がった図です。
本文で▢の二択マスが急所ですと記した事を思い出してください。
▢が接触マスです。
二つ目の定義により▢の1と5は削除されます。
確認のため別の問題図を探して見つけました、「不知火」の途中図です。
1の Loop を色分けした図です。
本文では「頭ハネ」を使用しましたが、「共倒れ」が使えます。1の Loop の構成域の▢に1・5の二択が、▢に1・5の接触が有ります。
「共倒れ」で▢の1と5の双方が削除されて、
▢の8が確定します。凄いでしょ、Loop を造る技術が有ればとても有意義な手法だと思います。
ところが、もっと複雑な応用の「隠れ共倒れ」が有るのです。
既存のロジックには一目で見つけられるものと、隠れているものが有りますね。
上は二国同盟で、下は四国同盟(別名:隠れ二国同盟)です。
「共倒れ」の定義では、ある数字Xの Loop が在る時、その Loop の構成域に、別の数字Yの Loop もしくは当該数字の二択マスが必要条件でしたが、Loop も二択マスも無い場合はどうしたら良いのでしょうか。
答えは簡単です。仮想の Loop もしくは当該数字との二択マスを造れば良いのです。仮想でも Loop を造るのは手間がかかりますが、仮想二択マスはそれ程難しくはありません。数字Xの Loop の 構成域にブロックの異なる2個の接触マスを有する数字を探せば良いのです。
図で説明します。いちごナンプレ研究所さんの「思い切り7」の途中図です。
2の Loop が出来上がった図です。
本文では「頭ハネ」を使って、
▢で青色数字がダブるので、
▢の2と3が削除されるとしましたが、「隠れ共倒れ」が使えます。
2の Loop の 構成域に、ブロックの異なる▢と▢の2個の接触マスを有する数字8が有ります。この場合において▢と▢の双方が二択マスになることは絶対にありません。理由は二つ目の定義をご覧ください。
▢が二択マスなら▢は接触マスですので、2も8も削除されます。
反対に▢が二択マスでも同じく2も8も削除されます。
どちらにしても▢と▢には8が入れませんので、▢の8が確定します。これも凄い手法でしょ。1も同じ様に進みますが、確定する数字は有りません。
続きが有ります。
▢と▢に接触マスが有るとすると、
今度は2が削除されて2が確定します。
但し、「隠れ共倒れ」が使用できない場合が有ります。
ろばくん作の「不知火」の途中図です。
1の Loop を色分けします。
1の Loop の 構成域に、単独ブロックに1・4の接触マスが2個有ります。そして列も同じです。しかし、この場合は隠れ二国同盟が確定していますので、二択マスが2個になります。従って、使用不可です。
次に殆ど威力が無い場合を、
「逆鱗」で最初の1の Loop が出来上がった図です。
▢と▢に1と5の接触マスが有ります。
この場合は▢と▢の5が削除されるだけです。
▢に1と9の接触マスが有りますが、この9は Loop の構成員であると決まっていないし、1・9の二択マスも有りませんので、「共倒れ」は使えません。
Loop を造る技量の有る方は、ここまでマスターすれば解ける問題が増えると思います。コツを覚えてください。
Loop を造るのが不得手の方は、一心同体を探して強リンクを繋げるようにすると、上手に Loop が造れると思います。
次回は、のんさん さんがツイッターに投稿された対角線ナンプレで、次の図です。
バレンタインデーに因んで作られた作品だそうです。和名を探しましたが見つからないので、中国名の「情人節」と名付けました。作家さんは難問と記していますが、「n国同盟」と Loop を造って「共倒れ」の2発で終わります。挑戦してみてください。
ご覧頂きまして有難うございました。