フィンランドの数学者I氏が 2012 年に公開した「世界一難しい数独」を、ナンプレ愛好者の方は一度は挑戦したことが有ると思います。コンピューターに計算させ作成するのに三ヶ月要したそうです。インターネットでは最終図を載せている方は数多く居られますが、その手順まで載せている方は皆無です。既存のロジックだけでは絶対に解けませんし、仮定法を使うと枝葉の矛盾を全て載せなければなりませんので、一冊の本が出来てしまいます。
見飽きてるかも知れませんが、これが「世界一難しい数独」です。
ここで、お詫びしなければならないことが有ります。
予告では最初に▢の数字が確定するとしましたが、その手順に瑕疵が有りましたので取り消します。挑戦された方には、紛らわしいヒントでした。申し訳ございませんでした。
候補数字を入れて解き始めますが、
多くの方は、1個しかない▢の二択を何とかしようと奮闘されると思いますが、これはオトリです。これに目が向くと仮定法の世界に引きずり込まれます。結果論ですが、この▢の数字が確定するのは最終図の一歩手前です。
私はこの三色に注目します。
▢の5が決まると、3と9の二国同盟が出来ると云うことです。ですので、5が確定するように進めます。
再び解き始め図です。予告通りU字型は使いません。既存のロジックだけでは解けないので、私が見つけた手法を使います。それは「謀反」のロジック化です。
「離れた2本の強リンクが在る場合に強制的に Loop を造ります。その Loop が1個のみで6個以上の偶数個である時は、必ず偶数個連鎖にならないので、片方の強リンクの色分けは反転する。」
これは多数の作品を通して出した結論です。但し、3本の強リンクが絡む場合は使えませんが、難問に有効ですョ。
メインの手法は Bahamut です。そのために5の Loop を造ります。そしてその基礎は▢の5の強リンクです。
強リンクの5を5と5に色分けします。この色が基本です。
▢にも5の強リンクが有ります。▢に5が入りますと▢にも5が入ります。
そうすると、▢に5が入りますので、5は削除されます。
▢にも5の強リンクが有ります。
「謀反」で▢の強リンクの色分けをします。それには▢の5と▢の5を利用します。
▢の5▢の5のそれぞれと▢の5との共通の領域である▢または▢に対抗として5と5の候補を入れます。
▢の5と5を使いますと Loop が出来ますのでそれぞれの強弱を調べてみますと、▢の5から右へ 強・強・強・弱・弱・強・弱・弱 になり、強弱の繰り返し(弱の代わりに強でも可)の偶数個連鎖になりません。この色分けが違うということになります。
従って、この色分けになります。
新しく▢に5が入りますので、5は削除されます。
この図になり止まりますが、
▢の一心同体に5が入りますので、5は削除されます。
左側ユニットで、5と5の共通の領域である▢に5は入れませんので、5は削除されます。
第9行は5と5が入っていますので、5は削除されます。
5の Loop が出来ました。Bahamut を出現させるにはこの Loop の何処かで同じ色の数字を入れられれば良いのです。面白い発想でしょ。
▢に7の一心同体が有ります。
▢に7が入ると▢に入り▢に入りますので、▢の7と対抗する7になります。
でも、▢に7が入っても同じく▢と▢に入りますので、▢の7も7です。
▢に7が入ると▢にも7が入ります。▢の7と▢の7は強リンクですので、7の入る隙が有りません。従って、Bahamut で青色の数字は全て削除と云うのは早すぎるでしょうね。
▢の7と▢の7のどちらかは7とするのが妥当でしょう。とすると、▢には7は入れませんので、▢は7と云うことになり、7は削除されます。
続いて▢は7と5の二択になりますので、2と3と6は削除されます。7で進めて、
9で進めて、
▢と▢を見て、▢は2と3の色分けになります。
▢の3は一心同体ですので、3が入ります。従って、3も3も入れないので、3は削除されます。
6も6も入れないので、6は削除されます。
▢に1の一心同体が有ります。まだ色分け出来ませんが。
第3行では▢になることが出来るマスは一ヶ所です。
第9行の1の強リンクを繋げると、1は入れないので削除されます。
▢に6の一心同体が有ります。
▢に6が確定すると▢に1と4が入ります。この図をA図とします。
また、▢から6が削除されると▢に6が入ります。この図をB図とします。
A図とB図を重ねるとこの図になり▢の色分けが決まります。
▢の1と▢の1が決まりましたので、入れない1は削除されます。
▢に1と5が入りましたので、2と7は削除されます。
二つの1とそれぞれと共通の領域である▢に1が入ります。従って、1は削除されます。
左上ブロックでは6が入れるのは▢だけですので、4は削除されます。
▢の6と▢の6の共通の領域である▢に6が入りますので、6は削除されます。
三国同盟で、
2と3と4は削除されます。
▢に3と3が入りますので、3は削除されます。
▢の6は一心同体ですので、6と6の共通の領域である▢の6は削除されます。
左側ユニットでは、6は▢にそして6は▢に入りりますので、6は削除されます。
▢に9の一心同体が有ります。
そして、第7行のも▢が決まり、対抗として▢が決まりますので、9は削除されます。
▢には6も6も入れないので、6は削除されます。
▢に6と6が入りますので、6は削除されます。
8で進めて、
この図になります。お待ちどおさまでした Bahamut の出番です。▢と▢には4は入れません。入るとすれば4のみです。
▢に4が入ると▢には4が入れません。すると二つ有る▢のどちらにも4は入れませんので、赤数字が当たりとなります。
そして、▢に4が入ると▢の4が消えて5が確定します。
いずれにしても青数字は誤りなので、現時点の青数字は全て削除されます。
1で進めて、
2で進めて、
5で進めて、
6で進めて、
7で進めて、
8で進めて、
3で進めて、
7で進めて、
2で進めて、
4で進めて、
9で進めて、
3で進めて、
6で進めて、
正解です。
「謀反」ですが、
例えば上図の形ですと Loop が2個出来ますので使えません。ご注意ください。
「世界一の難問」は今回で最後とします。随分と楽しませて頂きました。
次回は、いちごナンプレ研究所さんの作品で作家さんご本人が「団子兄弟」と名付けられた難問です。
この作品は、作家さんが仮定法を使わせるために作られた問題みたいですが、蟻の這い出る針の孔が一ヶ所有ります。ですが綺麗には解けません。色分け法の真髄?みたいなものをお見せ出来るかと。
ご覧頂きまして有難うございました。