ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

2018-04-13 02:00:30 | 生活
 畳とは日本固有の伝統的な床材である。昨今の日本の建築様式では和室の無い家も増えてきているそうだが、洋間ですらその面積を“〇畳”と表現するほど畳とは縁の深い生活をおくっている。ソファーやベッドと呼ばれる決められた範囲でしか横になれない西洋風の生活環境では、ぐうたら30代独身日本式サラリーマンは一人身でありながら居心地が悪く、気づかぬうちにストレスが溜まり、脱毛や倦怠、さらには不安症由来の夜尿・頻尿に悩まされる人もあるときく。実は筆者は早くから北米で畳を取り入れ積極的にゴロゴロするようにしてきた。そのため畳生活を当然のもの思っていたが、昨年ベイエリアからニューイングランドに転勤する際に引越業者から珍しがられたことから、“これは諸氏らに紹介できるな”と感じたのだ。そしてそれを今しがた思い出したのだ。


この畳の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①畳を購入する
畳を使う靴を履かない生活様式は西洋人にも注目されているようで、“TATAMI”と検索すると意外に多くの販売業者がヒットする。筆者はチョパ・ゼン・ホーム&ギフトという会社のサイトで1畳190ドル程度で4畳半購入した。京都府京田辺市の小林畳・ガラス店さんのサイトに依れば日本だとかなりの高級品につける値段であったため、期待に胸が膨らんだのを記憶している。


②畳が届く
長屋の3階に暮らしていた筆者の下に畳が届く。が、運送屋は上まで持ってきてくれない。40ドルを積んだが頑なに断られた。長屋の住民に不審な目で見られながら自力で畳を運ぶことになったが、その確かな重量感に本物の畳を感じ、期待に胸が膨らんだのを記憶している。


③畳
チョパ・ゼン・ホーム&ギフトのウェブサイトによれば畳は中国製であり、畳床は100%藁で発泡スチロール系の素材は一切使用していないとのことだ。畳表は青々としたい草が施されている。柔道場にあるようなポリマー製畳が届いたら自殺しようと考えていた筆者は一安心したのを記憶している。また底には湿気を防止するためか青いビニルシートが貼られている。


④畳を敷く
好きに敷けばよい。リビングに4畳半を敷き並べると意外に広く、い草の豊かな香りの中でゴロゴロを楽しむことができる。また4枚半の畳を積み重ね、その上でどっかりと胡坐をかいて、牢名主になった気分を楽しむのも一興といえる。フローリングの場合は畳の四隅に薄いゴム板などを敷いてすべり止めを施すのがよいようだ。使用するうちに畳表は穏やかな藁色になり、味わい深くなっている。




 中国や朝鮮半島には見られない日本固有の床材であるが、筆者の購入したものがそうであったように、近年は中国産のものが増えており国内い草の生産農家は20年前の半分以下にまで減少していると、タタミ・ショップオカベさんのホームページに記載されていた。品質の価値を理解せずにやみくもに安いモノを求める我々にもその原因があるのだろうが、文化財などとして保護されながら細々と伝統工芸のようになってしまうよりは、多少質が悪くともTATAMIの良さが世界に少しづつ理解され、永く残っていくことの方が価値があるのかも知れない。ケント・デリカットさんのアメリカの自宅には和室があり、ケントの母は畳が大好きで、近所の人を招いて和室パーティーを開いてはTATAMIの普及に努めたそうだが、孤独な30代独身日本式サラリーマンには布教活動はハードルが高い。せいぜいこうして誰も見ないブログにあげることくらいしかできない。