読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

「意味がなければスイングはない」(村上春樹/文芸春秋)

2006-01-09 06:33:27 | 作家;村上春樹
恥ずかしい話、私はこれまで村上春樹の小説を読んだことがない。小説を、というか彼の著作物を、である。世の中に「ハルキスト」なる方々が存在し、「ノルウェイの森」が大ベストセラーになったこと位は知っている。理由は、20歳位からこれまで小説自体を好んで読まなかったことにある。

今回、そのタイトルに惹かれ手に取ることになった。内容はジャズ、クラシック、ロック、シガスカオに至るまで時代やジャンルを自由に飛びまわる闊達ぶりだ。クラシックやジャズに知識を持たない私には、登場するアーティスト、作品に馴染みがないので、「なるほど」という理解までには至らなかったが、作品との対峙の仕方などおおいに勉強になった。

若手評論家の福田和也によれば、川端康成、大江健三郎に次ぐノベール文学賞候補だという村上春樹の小説をこれから遅ればせながら読んでみたいと思う。

<取り上げられたアーティスト>
「シダー・ウォルトマン / 強靭な文体を持ったマイナー・ポエト」
 Cedar Walton(1934~)、ジャズ・ピアニスト。
「ブライアン・ウィルソン / 南カリフォルニア神話の喪失と再生」
 Brian Wilson(1942~)、ビーチボーイズ。
「シュベールト「ピアノ・ソナタ第十七番ニ長調」D850 / ソフトな混沌の今日性」
 Franz Schubert(1797~1828)
「スタン・ゲッツの闇の時代1953-54」
 Stan Getz(1927~91)、テナー・サックスの巨人。
「ブルース・スプリングスティーンと彼のアメリカ」
 Bruce Springsteen(1949~)
「ゼルキンとルービンシュタイン / 二人のピアニスト」
Rudolf Serkin(1903~91)、Artur Rubinsteun(1887~1982)、ピアニスト、作曲家。
「ウィントン・マルサリスの音楽はなぜ(どのように)退屈なのか?」
 Wynton Marsalis(1961~)、ジャズ・トランペッター、作曲家。
「スガシカオの柔らかなカオス」
 スガシカオ(1966~)
「日曜日の朝のフランシス・プ-ランク」
 Francis Poulenc(1899~1963)、パリ生まれ、ピアニスト、作曲家。
「国民詩人としてのウディー・がスリー」
 Woody Guthrie(1912~67)

村上春樹の薦めるクラシック音楽の聴き方;
・自分なりのいくつかの名曲を持ち、自分なりの何人かの名演奏家を持つこと。

本文から読める村上春樹、その人となり;
・1949年生まれ、神奈川県在住。
・人生の最初の職業はジャズ喫茶のオーナー。作品の受け手(レシピエント)から の脱却を図って29歳で小説を書き、そのまま小説家となり、間もなく作家生活30 年を迎える。
・朝早く(4時~5時)起きて集中して10時頃まで小説を書き、書き疲れると午後の散 歩をし、喫茶店で紅茶を飲みながら読書にふけり、日が暮れるとよほどのことが ない限り一切仕事をしない。ロンドン在住時は上着を着てそのまま音楽を聴きに 行く。夜の10時前に就寝。
・ラジオはほとんど聞かない。テレビは映画とスポーツ中継と定時ニュース以外は 見ない。


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