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読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

「カルトの帝王」が放った衝撃のデビュー作、「イレイザーヘッド」(米/1977年)

2008-01-20 05:55:55 | 映画;洋画
原題:Eraserhead
監督、製作、脚本:デヴィッド・リンチ
音楽:ピーター・アイヴス
編集:フレデリック・エルムス、ハーバート・カードウェル

「舞台はフィラデルフィアの工業地帯。モジャモジャ頭が特徴の印刷工ヘンリー・スペンサーは、着古したスーツをいつも着て異様な歩き方をする青年である。ある日、ヘンリーは付き合っている女性(メアリー・エックス)から奇妙な赤ん坊を出産したことを告白され、彼女との結婚を決意する」。

「その赤ん坊は異様に小さく奇形であったが、ヘンリーは驚く様子もない。こうしてヘンリーとメアリー、そして赤ん坊の新婚生活が始まるが、赤ん坊は絶えず甲高い泣き声でピーピーと泣き、その異様な声に悩まされたメアリーは家を出てしまった」。

「残されたヘンリーは次第に精神に破綻をきたし、部屋のラジエーターの中から現れる少女の幻影を見るようになる。少女の歌に導かれるように倒錯した世界を漂うヘンリーは赤ん坊をハサミで殺し、自身も天国へ憧れを抱きはじめるのだった…」。(ウィキペディア)

とにかく、暗澹たる気持ちになる映画ではあります。しかも恐ろしい。デビット・リンチがこの映画でなにを表現したかったのかわかりませんが、この設定は誰しも起こりうる状況ではあります。健常な赤ちゃんを出産した女性が、都会の片隅で一人で育児ノイローゼになり、わが子を殺めてしまうニュースを聞くことが少なくありません。こうした女性はきっと同じような心理状態にあったのだろうと思えます。

「Eraserhead」、「消しゴム頭」とでも訳せばいいのかと思って調べると、<(ビデオ[カセット]デッキの)消去ヘッド>とありました。映画との関連性でいうと更に混迷は深まります。

「エレファント・マン」(1980)、「砂の惑星」(1984)、「ブルーベルベット」(1986年)、「ツイン・ピークス」(1990-1991)、「ワイルド・アット・ハート」(1990)、「ロスト・ハイウェイ」(1997)、「マルホランド・ドライブ」(2001)と本作以降、カルトムーヴィーでありながらその作品は魅力的です。私が映画館で観て最初に泣いたのが「エレファント・マン」でした。

デビッド・リンチの作品については、昨年5/22付けの記事、「ナオミ・ワッツの出世作『マルホランド・ドライブ』(アメリカ/フランス2001年)」で取り上げました。

デヴィッド・キース・リンチ(David Keith Lynch, 1946年1月20日-)は、「アメリカ合衆国の映画監督、俳優。モンタナ州出身。シュールレアリズムをこよなく愛す。日本ではテレビドラマ『ツイン・ピークス』で一躍有名になった。傾向としては、アメリカの片田舎を舞台とする作品が多い。また低予算では非常にできの良い作品を作るのに、『砂の惑星』に代表されるように製作費が大きくなると駄作を作る(その後の低予算映画『ブルーベルベット』は好評だった)ところから、『カルトの帝王』と呼ばれることもある。また『ツイン・ピークス』を含めてそれ以降、しばしば俳優として出演する」。

「ワシントン美術大学、ボストン美術館付属美術学校に通い、絵画を習う傍ら映画製作に没頭する。絵画においてはフランシス・ベーコン、映画においてはフィラデルフィアの町そのものに最も影響を受けた。短編『THE ALPHABET』で奨学金をもらい、1976年から4年の歳月をかけ『イレイザーヘッド』を自主制作する。これで映画監督としてデビューする」。

「1990年、『ワイルド・アット・ハート』でカンヌ国際映画祭のパルム・ドールを受賞。2001年、『マルホランド・ドライブ』でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞。2006年、第63回ヴェネチア国際映画祭にて映画人として長年にわたり多くの優れた作品を生み続けていることを称える栄誉金獅子賞を受賞。2007年にはカンヌ国際映画祭の『世界の映画監督50人が作る短編映画』に、彼の作品がオープニング上映を飾っており、絶賛された」。

「現在は映画制作のほか、『Dumbland』などのアニメーションも手掛けている。熱烈なコーヒー嗜好者であり、自ら豆を有機栽培して、それを自身のホームページで販売している」。

上述の作品のうち、1996年に亡くなるまで「エレファント・マン」以外のデビット・リンチ作品にほとんど登場したのが本作で強烈な印象を放つジャック・ナンスでした。

ジャック・ナンス(Jack Nance、1943年12月21日-1996年12月30日)は、「アメリカ合衆国の俳優である。ジョン・ナンス(John Nance)と呼ばれる事もある。本名:マーヴィン・ジョン・ナンス(Marvin John Nance)。マサチューセッツ州ボストン生まれ」。

「1970年代にデヴィッド・リンチと知り合ったジャック・ナンスは、リンチの長篇映画デビュー作となる『イレイザーヘッド』へ誘われ、主演を務めた。異様な風貌が注目され話題となり、以降リンチ作品の常連となるが『イレイザーヘッド』の印象があまりにも強すぎたため、端役での出演にとどまっている」。

「ナンスは、1996年12月30日に不可解な最期を迎えている。『ロスト・ハイウェイ』の撮影を終了していたナンスは、12月28日の朝にカリフォルニア州南パサディナのドーナツ屋(Winchell's Donuts)付近で、口論となった相手に殴られたのが原因で頭部にケガを負い、2日後の12月30日に硬膜下血腫で命を落とした。普段は夜更かしで有名なナンスが早朝のドーナツ屋へわざわざ行くのは不自然だという意見もあり、顔見知りによる殺人事件とする見方が一般的である」(以上、ウィキペディア)


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