上映期間に見逃した映画{戦火の中へ}をDVDで見ました。今を時めく韓流スターたちが主演する韓国映画ですが、男女の恋愛場面どころか、女性と言えば、負傷し、生死をさまよう兵士を介護する看護師ぐらいしか登場しません。
舞台は1950年6月25日に北朝鮮共産軍の南侵で始まる朝鮮戦争。北朝鮮の奇襲でソウルは3日間で陥落し、韓国軍が南に向かって敗走する中、最後の砦とみなす‘洛東江’を死守すべく臨時の軍司令部として浦項(ポハン)女子中学高に駐屯していた部隊も動員されることになり、部隊に代わり、ほとんど戦闘経験もない14歳か17歳の学徒兵71人が守備に残されました。彼らは、北朝鮮の766部隊を相手に、11時間もの間戦い抜いた末全滅します。「お母さん、私は人を殺しました。それも石垣1つ挟んだ距離で。10人にはなるでしょう。手榴弾を投げて、一瞬で殺してしまいました。・・・お母さん、怖くなります。今、私の横には沢山の学友たちが死を待つかのように敵が攻めて来るのを待ち、暑い太陽の光の下にひざまづいています。敵兵が多すぎます。私たちはたった71人です。」これは、戦死した少年のポケットに残されていたメモです。迫真の演技や凄まじい戦闘シーン以上に、これらが実話をもとにした話であり、彼らのような犠牲があって尚、今でも朝鮮半島では南北が敵対し、時には殺しあう状況が続いている事が、映画を観終っても感動とは別の余韻を残すものでした。
この時、日本からも大学生を中心に624人が志願して在日学徒義勇軍として参戦しました。うち戦死、行方不明者は135人。そして1952年サンフランシスコ講和条約が、締結されると日本が条約に基づいて主権を回復し、参戦した在日韓国人の再入国を拒否した為、242人は残留を余儀なくされ、戻れたのは265人でした。その内の一人が私の父です。