美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

もう一つの韓流、「戦火の中へ」学徒兵の話

2011-08-04 12:49:56 | Weblog

上映期間に見逃した映画{戦火の中へ}をDVDで見ました。今を時めく韓流スターたちが主演する韓国映画ですが、男女の恋愛場面どころか、女性と言えば、負傷し、生死をさまよう兵士を介護する看護師ぐらいしか登場しません。

舞台は1950625日に北朝鮮共産軍の南侵で始まる朝鮮戦争。北朝鮮の奇襲でソウルは3日間で陥落し、韓国軍が南に向かって敗走する中、最後の砦とみなす‘洛東江’を死守すべく臨時の軍司令部として浦項(ポハン)女子中学高に駐屯していた部隊も動員されることになり、部隊に代わり、ほとんど戦闘経験もない14歳か17歳の学徒兵71人が守備に残されました。彼らは、北朝鮮の766部隊を相手に、11時間もの間戦い抜いた末全滅します。「お母さん、私は人を殺しました。それも石垣1つ挟んだ距離で。10人にはなるでしょう。手榴弾を投げて、一瞬で殺してしまいました。・・・お母さん、怖くなります。今、私の横には沢山の学友たちが死を待つかのように敵が攻めて来るのを待ち、暑い太陽の光の下にひざまづいています。敵兵が多すぎます。私たちはたった71人です。」これは、戦死した少年のポケットに残されていたメモです。迫真の演技や凄まじい戦闘シーン以上に、これらが実話をもとにした話であり、彼らのような犠牲があって尚、今でも朝鮮半島では南北が敵対し、時には殺しあう状況が続いている事が、映画を観終っても感動とは別の余韻を残すものでした。

この時、日本からも大学生を中心に624人が志願して在日学徒義勇軍として参戦しました。うち戦死、行方不明者は135人。そして1952年サンフランシスコ講和条約が、締結されると日本が条約に基づいて主権を回復し、参戦した在日韓国人の再入国を拒否した為、242人は残留を余儀なくされ、戻れたのは265人でした。その内の一人が私の父です。

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再生医療の可能性と課題

2011-08-04 12:48:56 | Weblog

未来の医療は、再生医療が中心になると言われています。確かに、ケガや病気で体のなかでその機能を失った部位や臓器を、再生することができるようになれば、まさに不老不死も夢ではなくなるかも知れません。実際、皮膚の一部や軟骨組織などは、すでに1970年代には、人工培養に成功し、火傷や、外傷などの治療に使われていますから、再生医療はすでに始まっているとも言えます。そして今、より複雑な臓器や個体の再生を目指し、世界中の研究者に注目されているのが「幹細胞」です。

「幹細胞」とは、複数系統の細胞に分化できる能力と、細胞分裂を経て自己再生能力を併せ持つ特殊な細胞の事で、ES細胞、iPS細胞、体性幹細胞の三つがあります。ES細胞(胚性幹細胞)は理論上何にでも変化しうる幹細胞ですが、受精卵を壊さないと得られないという倫理上の問題と、移植した場合、拒絶反応を起こす可能性がある為、体の細胞を、ある遺伝子を挿入して初期化することで、別の細胞に変化する万能性を持たせたiPS細胞(人工多能性幹細胞)の発見により、その地位が揺らぎました。しかし、これも癌化の可能性など解決できない課題が多く、実用化にはまだ時間が必要とされます。体性幹細胞は神経、骨、脂肪、血液など体の様々な部位に存在し、培養することで比較的簡単に数を増やせますが、他の万能型と違って、特定の細胞にしか分化しないため、その利用は制限があります。しかし拒絶反応や癌化のリスクも少ない為、現時点では、臨床利用には最も近い位置にあり、一部はすでに実際の治療が始まっています。

今回、世界に先駆けて韓国の医薬品メーカーが、急性心筋梗塞に対する幹細胞治療薬の許可を取りました。これは骨髄から採取した幹細胞を培養して、患者の心臓に投与して、心筋能力を回復させるというものです。韓国はES細胞の基礎研究の‘勇み足’から苦い経験をして、しばらく再生医療研究の停滞期がありました。今はそれをばねに臨床分野で挽回しようという意気込みを感じます。反面、世界の他の研究機関が、まだ副作用に関して慎重な態度でとっていることも事実です。臨床において‘勇み足’では許されません。引き続き、調査、研究を進め、まさに未来の医療に近づけてもらいたいと期待します。

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