今年の大相撲春場所は、複数の力士による八百長問題で、戦災による両国国技館の破損の為、開催ができなかった1946年夏場所以来の本場所開催中止という事態になりました。日本の国技とも位置付けられ、スポーツと言うだけではなく、伝統文化でもある相撲の不祥事は海外でも話題になったものです。そして今度は、韓国の国技サッカーにおいて、まるで日本の余震のように韓国Kリーグの八百長賭博が発覚し、現役選手やブローカーが逮捕され未だ複数の選手、関係者が調査されています。そして先月末には、元Kリーグ選手が「恥ずかしい事件を起こした。」と言う内容の遺書を残して自殺する事件が発生し、サッカー関係者のみならず国民全体に衝撃を与えました。これもまた日本の相撲と同様、以前からも八百長に関する噂は囁かれていました。1998年韓国代表チーム監督であった車範根氏(チャ・ボムグン 現代表選手 車ドゥリ選手の父であり韓国サッカー界の英雄)が退任させられた後、マスコミにKリーグは蔓延る不正を暴露し、大韓サッカー協会から5年間の懲戒処分を受けた出来事もその一つです。 当時は更送されたことの腹いせ的な発言として真面目に取り上げられなかったものですが、次のワールドカップを控えた時期で、協会としても事を荒立てたくないという思惑があったかも知れません。
アマチュアの世界と異なり、プロスポーツは勝敗や成績がその選手の将来や生活を大きく左右する厳しい世界です。そして、その厳しさの中で様々な誘惑に陥る可能性もあるのでしょう。意図しなくとも、7勝7敗の力士の勝率が明らかに高いことは人間同士の勝負で有り得ることですが、それが体系化、組織化して金銭のやり取りになれば、ファンにとっては立派な詐欺です。韓国サッカー界の場合、①軍役がある為、選手としての現役時間もさらに制限される。②学歴競争社会で、スポーツに打ち込んできた選手は引退後に再就職が難しい。③出身高校、大学、故郷などの上下関係が密接な為、先輩の誘いや頼みを断りにくい人間関係。④賭け事に対する社会全体の認識の甘さ。⑤選手最低年俸の低さ。などの要因もあるのではないかと考えます。
選び抜かれた選手同士が、さらに真剣に努力を重ねることで、最高の技術を魅せ人々を感動させるのがプロフェッショナルの世界です。その本質を忘れた時は、相撲、サッカーあるいは他の競技にせよ、全てを失うことになるでしょう。
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