美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

砂糖の受難

2009-10-16 17:03:22 | Weblog

 

砂糖の受難

  

世界的な粗糖価格の上昇に伴って、韓国でもお砂糖の値段が10%近く値上がりし、スーパーなどでは、少しでも安い時期に買い占めようと人々が押し寄せたとの報道を見ました。砂糖価格の高騰の背景は、原油高から相対的に低下した粗糖にオイルマネーが流れたとか、ブラジルのサトウキビによるバイオエタノールの需要が増えたからとか専門家の話が聞かれますが、素人にはピンと来ません。とにかく 昔から人々に愛されてきた砂糖ですが、近年は何かと目の敵にされているような気がします。

 日本で今、食料品売り場に行くと、飲料水でも加工品でもお酒でも、とにかく目に付くのがノンシュガー、糖分カット、砂糖無添加など、まるで砂糖が悪者で、体に毒であるかのような扱いです。物資が豊かになった国々では、もはや食べ物はただ空腹を満たすものではなく、体に良いものを選んでたべる時代になりました。スリムビューティやメタボなどの言葉からわかるように、健康=ダイエットという漠然としたイメージの中、甘いもの=砂糖=「肥満」や「糖尿病など成人病」=不健康という関連図ができてしまったようです。また、お菓子=甘いもの=砂糖=「虫歯」「カルシウムが溶ける。」や「切れやすい性格になる。」など子供にも悪影響を与えるとして世のお母さんたちも 砂糖に対して否定的になり、ますます悪者扱いです。これらは根拠のあるものでしょうか?

 まず、砂糖のカロリーですが、1g=4Kcalほどで 同量の小麦粉などと変わりません。お菓子、ケーキなどのカロリーは大部分がその他、脂質、炭水化物によるものです。また、糖尿病との関連性も、むしろ糖の吸収ができないことが病気の本質であることと、全体的糖分の摂取が減少しているにも関わらず、糖尿病患者は増加していることなどから否定的です。また、「骨を溶かす。カルシウムの吸収を妨げる。」も栄養学の観点から根拠の無いことがわかっています。さらに虫歯も歯磨きなどの口腔衛生管理が主な原因ですし、「キレル性格」に関しては むしろ唯一の脳内エネルギーである糖の不足の方が問題でしょう。

 これを食べれば健康になる、あれを食べれば病気になる。どちらも「食べ物信仰」と言われるものです。結論は「何でも過ぎずに、美味しく食べる。」です.

 

アジアン美容クリニック

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