桜はもう深緑の薫りを放って
とき(季節)は瞬く間に移りゆく
緑が一斉に萌え出した
幾千、幾万の萌黄の色に誘われて
宇治から南郷・大津へ抜ける道を走る
ここは麗しき日本の最高の若葉の季節を堪能できる道だと
密かに思っている
初めてこの季節に通った時から・・・
宇治川の水も清く深い青をたたえて
本当に得も云えぬ美しさだ
この季節各地に住む自然を愛でる知人たちを
連れて来てあげたいものだといつも思う
しかし知る人は少ないらしく
ゴールデンウィーク(それがちょうど若葉萌えの時なのだが)
でさえ毎年空いている
嬉しいやら残念やらちょっと複雑な気分
今日はこの道沿いに立つ立木音楽堂でのクラシックコンサート
ヴァイオリンとピアノの女性のデュオ
もう大津市に入っているが
景観が何とも素晴らしくほんとに美しい場所にひっそり立つ
50人規模の音楽堂
優しい風が吹きぬけせせらぎと鶯の声が聞こえる
普段は土日だけカフェとして営業している
数年前この緑の季節に偶然通りかかった時
まだ建ったばかりの音楽堂に立ち寄り
グランドピアノが置いてあるのを見て
こんな所でいい音楽を聴けたらいいなと案内を頂けるようにした
バッハのアヴェ・マリアから始まった
前半はベートーヴェンのピアノとヴァイオリンの為の
ソナタ第5番「春」をじっくり聴けて楽しかった
後半はリストやクライスラーのお馴染みの曲
ヴァイオリンの音色がいい
センチュリーの楽団員とか・・・
一番良かったのは初めて聴いたラヴェルのピアノと
ヴァイオリンの為のソナタト長調
ラヴェルらしく何とも新しげで面白い曲
Blues:moderatoではバンジョウを模したしたという
面白いヴァイオリンの演奏があったりとっても楽しかった
去年はたしか3月に来た
よく晴れて暖かく素晴らしい天気だったことを覚えている
でも大震災から日が経ってなくて
心はどっしりと重く悲しみが渦巻いていた
女性のピアノトリオだったと思うけれど
打楽器なんかのゲストもあったりとっても楽しく優しく
可憐な演奏会だったけれど
素晴らしい自然の中でもいい音楽に包まれても
胸の思いは深く重かったのを想い出す
あれから1年あまり・・・
さまざまな思いはあれど前を向いて空を仰ぎ
大いなる信頼のもと歩かねば・・・と思う
アンコール曲は「ユーモレスク」
昨年震災直後、房総から送っていただいた「ポピー」を題材に
家人が油彩のオラシオン「祈り」のシリーズを描いていた
その第一作の題名が「ユーモレスク」
そんなこんなに思いを馳せている時メロディが聞こえてきて
何か不思議な感じだった・・・
あたりは萌黄の色満ち溢れ
さまざまな鳥たちが飛び交う
鶯の声があちらこちらに・・・
萌え盛る万の緑薫り居りただ立ち尽くし風の声聞く