アートの周辺 around the art

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引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

直島への旅(4)アート待つ島

2018-01-09 | 旅×アート

今回の旅で特に楽しみにしていたのは、ベネッセハウスに宿泊すること。ベネッセホールディングスの福武總一郎氏が、直島を「現代美術によって世界中から人が集まる国際的な文化の島にしたい」という熱いで想いで安藤忠雄氏に依頼したプロジェクト、その最初の建物がこのベネッセハウスミュージアムです。島の南側、瀬戸内海に面したゆるやかな岬の斜面に建てられており、高台から空と海を臨む景色が抜群に素晴らしい!

ここは宿泊施設でもあり美術館でもある、館内にはたくさんの作品が展示されています。杉本博司さんの「海景」の写真作品がレストランの窓から見える屋外に展示されていたり、バスキアやサイ・トゥオンブリーの作品が、日光が差し込んで屋外に出られる扉がついている部屋に展示されてたりして、「い、いいのか…?」と思ってしまうぐらいの贅沢空間。何といっても、夕食も終わって就寝までのひと時を、ゆっくり美術作品を見て回ることのできる心豊かな時間よ!(宿泊者は22時まで鑑賞OK!)あ~、幸せでした。

再訪となった直島、3度の「瀬戸内国際芸術祭」を経て、すっかりアートの島として定着し、今や多くの美術ファンを集めています。今回の旅でも、特に外国人の方々が多いな~と感じました。思ったより若い人は少なくて(時期的なものもあるか)、熟年の女性グループが多いのはちょっと意外でした。

そして前回と大きく変わったのが、そのようなアートを提供する施設のスタッフに、明らかに島外から来たであろう若い人がたくさんいたこと。みんな、アートを愛していて携わりたくて来たのだろうなあ。なぜなら、どの施設でも、作品や作家について質問してみると、すごく詳しくいろいろなことを教えてくださったから。きっと、しっかり勉強もしているのでしょう、おかげで作品への視点が深まって、本当に良い体験となりました。

直島への旅、最終日は本村の「家プロジェクト」へ。ここは前回来たときも巡っています。当時は写真を撮っている杉本博司さんが護王神社をつくった意味がわかっていなかったけど、今ならすごくよく理解できる。そしてジェームズ・タレルの南寺は、安定の(?)興奮体験。宮島達男さんの角屋では、きょうも水底で光るデジタル数字が時を刻んでいました。

新しく増えていた作品としては、須田悦弘さんの「碁会所」。かつて島民が碁を楽しんだ場所を再現し、本物そっくりの椿の花の彫刻を畳の上に散らしている。吹きっさらしのその部屋で、椿の花はコロコロところがるそうだ。その部屋の前の庭に、本物の椿の木が。ほころび始めた花を見て咲きそろったときを想像し、その対比の美しさに感動!ここでは、島民のおじさんが説明してくれました。とても作品を愛していたし、誇らしげだったな~。

それから大竹伸朗さんの「はいしゃ」も初見。前日に入湯した銭湯「I❤湯」もですが、これまで外から眺めていた大竹さんの作品の中に入れたとあって、コーフン体験。銭湯は特にトイレがよかったですね~。思わず「ギャー」と叫んで鏡のまわりのコラージュをすりすりしてしまいました。銭湯でも地元のおじさん、おばさんが親切だったなあ。

思うに、芸術祭の喧騒を経ていくごとに、ますますこの島のアートが堅牢になっていくような気がします。しっかり地元に溶け込み、そこに住む人たち、移り住んできた人たちの手によって支えられている。祭りが終わっても消え去ることなく、島に根をおろす作品たち、そして訪ねていけば、いつでも待っていてくれる、また会えることの安心感。このような魅力ある場所は、本当に唯一無二であり、福武さん、安藤さんの功績はものすごく大きいなと感心しました。

2泊3日アート三昧、夢のような時間を過ごした直島への旅。いつまでも心を暖めてくれる思いを胸に、また会いに行ける日を楽しみにしていよう!


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