村の隅の
いおりに住み
特に何を
することもなく
托鉢して
暮らしていたが
◇
あるとき
何か思い至ったか
皆の前に出て
思いを語り始めた
◇
しかし
折悪しく
ちょうど集まりは
散会するところで
皆は
一人残らず
帰ってしまい
◇
普通
こういう時は
犬と子供と
カラス
庭鳥
ぐらいは
残るものだが
◇
今回は
それもなく
生き物全部
家に帰ってしまった
◇
こぼとけくんは
それでも
数語
しばらく
なにやら
語っていたが
◇
今は
公民館の
脇にある
薬師堂の
縁側にすわって
今後のことを
考えている
◇
きょうの
集まりを
取り仕切った
班長の
イデホさんは
家に帰っても
いちども
小仏くんとか
思い出さなかったが
庭の
コケコッケの
エサと世話は
忘れない
◇
こぼとけくん
落語家の方が
よかったんじゃないの
落語家のほうが
よかったと
思うよ
◇
仏師
そうりょ
関係はなあ
◇
ウチの
マイ和尚さんの
若手
後継ぎには
体格が
お相撲で
愛想が
落語家で
キチンと僧侶の
修行した
とても
明るい気持ちの
若和尚さんが
いるよ
◇
とっても
いいおしょさん
なんだ
◇
あの人が来てくれて
ワタシ幸運
だったよ
◇
なあ
小仏君
落語家は
どうだい
◇
幸い
君は
まだちょっと
若い
◇
三浦の
お父さんや
エベレストの息子
の様に
◇
気持ちと
もくひゅおを\\
目標を
持てば
きっと
なれるよ
◇
小仏君
こぼとけくん
薬師堂の
縁側で
涙目のまま
寝てしまった
こぼとけくん
◇
次の人生は
きっといいよ
◇
今回は
あきらめるか?
◇
小仏君
年いくつ?
◇
ふところの
全国
通行手形を
そっと見れば
小仏君
数えの三十六才か
◇
こぼとけくん
未来は
あるが
一方で
モーツァルトなら
しんじゃって
いたところだぞ
◇
メンデルスゾーン
も
似たような
ところだ
◇
小仏君
目が覚めて
はら減って
しんじゃっても
今回は
うらむな
◇
人生は
きっといいよ
◇
もし
次のが
あればだけど
◇