日々、あんのん。

からだの育ちの凸凹、学習のスタートラインにつけない人のもっと学びたい、発達したいを応援します。

『自閉っ子は、早期診断がお好き』

2015-08-11 21:59:52 | 本の紹介
 今日は4日ぶりの早朝の仕事でした。
そしたら、なんと、明日から新人さんが入るという情報。

 4月に仕事はじめた方と6月に仕事はじめた方が辞めるらしい。
去年、11月に仕事はじめてから、4人の方々が去って行きました。

 もしかして、けっこう過酷な職場?
私、どうも気がついていないから、ま、いいか。

 ざくざく、読書の夏です。



 著者の藤家さんが自身のアスペルガー症候群脳からみていた社会が、
とても具体的に丁寧に書かれています。

 自分の身近だけど関係のない世界で起こること、世界の中で起きる様々な出来事、
これらを藤家さんは、自分の行いが引き金になったのでは、と考えたり、
世の中の日常の風景から、自分に送られたメッセージを読み解くために、
住みはじめたばかりの慣れない土地を彷徨い疲弊していったり、
それはそれは、思いもしないワールドが本の前半には詰まっていました。

 どうして、そんなワールドが広がっていったのか…、それは本を読んでいただくとして。

 読みながら、同じ理由ではないかもしれないのですが、
中学校で出会った子どもが、道路の端っこの塀に背中をつけながら、
忍者のように、または、誰かに追われているスパイのように歩いていたのを思い出しました。

 藤家さんは、自分の体がどこからどこまであるか把握するのが苦手で、
狭い歩道を歩くときなど、車が思ったよりも近くを走っていたことが
寸前にならないとわからず、よそ見していたらはねられるかもとの思いから、
道路のものすごい端っこを歩いていたそうです。

 もしかしたら、あの子も同じような気持ちだったのかもしれないなぁ、と
その子の家に帰るまでの怖さやドキドキ感を思い、
下校指導の先生に「変な歩き方をしない!」と注意をされたり、同級生に急に手を引っぱられた子どもの姿を思い出し、
そんなこと想像しなかったなぁ、とびっくりしながら読みました。

 そんな具体的なエピソードも興味深いのですが、
後半の「NPO法人それいゆ」からの支援をうけてからの現実感がある藤家さんになっていく過程に
ぐいぐい引っぱられました。

 藤家さんはきちんと食事ができてきて、自分の考えていたことが実は自分にしか通用しないルールだったことを教えられ、
それを受け入れながら、仕事をし、旅行に行き、と彼女と社会との関係がどんどん広がっていました。
社会との接点が多くなると、彼女自身の生活の幅も広がっていく様は、
適切な支援を受けることができれば、大人になっても障害の状態が固着せず、
ゆっくりゆらゆらと、しかし確実に発達していくのだということを知ることができました。

 そして、彼女は言います。

 支援を受けていたら、何が足を引っ張っているのかがわかるので、誤解が減る。
誤解が引き起こす問題は、ときに事件になったりする。
早期発見は、私たちが抱える障害を補い、心に余裕を持たせる。
だから、適切な教育は、小さな頃から必要だ。
そうできたら、定型発達の人と自閉っ子の間にできる溝が狭くなる。
お互いを助けるものなのだ。


 自閉っ子にかぎらず、適切な支援は小さい頃から必要だと思います。
適切な支援をし、自立の芽ができてきたらそっと支援の手を離す。
自転車の補助輪のように、いずれ外せるように。

 


 
コメント
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