超人日記・俳句

自作俳句を中心に、自作短歌や読書やクラシックの感想も書いています。

<span itemprop="headline">漱石の「こころ」復刻版を手に取る</span>

2016-06-18 17:50:17 | 無題

夏目漱石の「心」を読んでいる。
主人公は夏休みに友人に呼ばれて鎌倉へ泊って
由比ヶ浜で海水浴をしていたら「先生」と知り合った。
東京に戻ってから先生の複雑な心理に触れるようになる。
先生は時折顔を曇らせる。そこに何があるのか「私」には計りかねた。
私はこの「こころ」を岩波書店の復刻装丁版で読んでいる。
大正時代の重厚な装飾と旧字体の活字が趣きがある。
私は学生時代から漱石が好きであった。
松田優作、小林薫、藤谷美和子の三角関係を描いた80年代の映画、
森田芳光監督の「それから」は随分と感心して観た記憶がある。
「それから」も愛読していた。
最近になって青空文庫で「それから」を見つけ、ネットで「それから」をちょくちょく開いて読んでいる。
岩波書店の復刻本で心、道草、明暗の三巻セットを実家で見つけ、自宅へ持ち帰って読んでいる。
私は文豪ではいちばん漱石が気に入っている。
余りに捻りのない選択で申し訳ないが、旧字体の漱石を味わって読むのが楽しみである。
最近では漱石も現代語訳というのが出ていると聞く。
だが、昔の言葉を咀嚼し、想像して、こう読むのだろうと
当たりをつけて読むのがいいのである。
年月を越えて漱石の当て字をそのまま読むのが楽しいのである。
江戸川乱歩、夢野久作、稲垣足穂なども読むと楽しいが、
先生の美意識と憂鬱を追体験する漱石が宜しい。
先生の複雑な心象に屈託のない若者だった私が徐々に触れてゆく所が何とも面白い。
岩波の復刻装丁版と言う所が何とも心魅かれる。
大人になった私の初心に帰れる愉しみである。

ふと見ると時折顔を曇らせるその複雑な心象に揺れる



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