超人日記・俳句

自作俳句を中心に、自作短歌や読書やクラシックの感想も書いています。

<span itemprop="headline">ブルックナーの旅の追憶</span>

2014-08-10 18:12:47 | 無題

昨日は久しぶりにティントナーのブルックナー4番を聞いた。ティントナー、清澄な響きである。
でも私は原点に帰りたいと思って、初めて聞いたブルックナーのCDを取り出した。
ギュンター・ヴァントの、ケルン放送響の2枚ずつ分売の国内盤ブルックナー全集のうちで、7番と9番がセットのCDのうち9番である。
ヴァント・ケルン放送響のブルックナー9番聞く。
初めて聞いた演奏が、その時と全く同じように鳴るのは、懐かしく、かつ嬉しい。
これだ。確かにこの音だ。
再編集盤が出ても、昔買った初体験のCDが手離せない私である。
ケルン放送響のヴァントのブルックナー全集は音が硬質で、金管楽器が強く鳴る。
低音も厚みがあり全パートが濁りなく明快に鳴る。
臨機応変に楽譜を変えて演奏したりしない、厳格な間の取り方である。
楽譜もハース版、原典版で統一されている。ヴァントのノヴァーク版嫌いは有名である。
私のなかのブルックナーの美感はこのヴァント・ケルン放送響の演奏で形成された。
どのブルックナーを聞いてもヴァントとの比較で答えを出す。
ヴァントが厳密な音の建築家だとすれば、スクロヴァチェフスキは融通の利く現場監督だと言う。
私はいつも厳密な音の建築家ギュンター・ヴァントに最大の敬意を払ってきた。
ギュンター・ヴァント・ライヴ、人類の至高の遺産である。
北ドイツ放送響とのDVDを大音量で流して休むと大抵気分が好転する。
未完成&グレイトもギュンター・ヴァントによって美感を育まれた。
今、DVDで手軽にヴァントのブルックナーやシューベルトに接することができて喜ばしい。
昔買った、ヴィルヘルム・ケンプ1000シリーズやギュンター・ヴァントのブルックナー全集に回帰して、たまに無垢なクラシックとの出遭いを追体験する。
懐かしい、帰る場所があるのは幸せなことである。

あの頃とひとつも変わらず鳴っているCDを聞き旅の追憶



コメント
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