徒然俳句・米粉トースト

菜の花が所狭しと祝賀会
膨らみは命の力辛夷の芽
ひっそりと道路の脇に小薔薇咲く

黒棒を齧れば青し春の空
春の宵杏仁豆腐甘き夢
始めると切りがないのが春仕事

梅の木が庭一杯に咲き誇り
紫陽花も芽吹き始めて春の雲
伸び伸びと目を覚ますかな土筆の子

親を見てお店やごっこ桜カフェ
友だちが数人できる新年度
数日後　春の仕事も結晶化

徒然俳句・お握り

銀色の雲が躍りて春日和
春昼に見るものすべて眩しけり
山男だけが出遭える猫目草

春キャンプS＆Gを聞く生徒
道行けばどこもかしこも草萌ゆる
ヴァーレクのチャイコフスキー春の雲

春カバン山下清の放浪記
お握りを頬張りながら春の旅
お花見は今年はどこに行こうかな

旅一座シェイクスピアの春のビラ
時計台津軽三味線春の舞い
懐かしき人に送らむ春便り

徒然俳句・シフォンケーキ

肌寒き寒の戻りや襟を立て
町に出て紅梅薫る人の庭
水仙や児童公園見守りて

川沿いの河津桜に歩み寄る
春暁のシフォンケーキをあと三くち
企業とは疎通難し春の雲

春陰や心はまるで夏の空
休まねば下手な考え浮かぶ春
余寒でもホットケーキは暖かや

春陰を抜ければきな粉捻じりかな
時計台　津軽三味線　春の舞い
取り敢えず句読点かな春仕事

徒然俳句・逃げ水

追い掛けてまた遠ざかる逃げ水や
コンビニで若者が買う春帽子
摘み草の横を通りて旋毛風

暖かな風に吹かれて木の芽晴れ
若草に顔を埋めて眠りたし
町の奥春の挨拶土筆かな

舞う人の服の模様や春の菊
独り部屋三月蜜柑噛み締める
白鳥も森から帰るバレリーナ

山奥に智慧の滴る蜂巣箱
川沿いの起伏を感じ草を踏む
新しき景色もありて山覚める

徒然俳句・草枕

花開く力への意志辛夷の芽
東欧の苺ジャム入りクラフナや
祝い事あり三月の握り寿し

来訪者数えて居れば春の雲
計画を練り直しつつ春焙煎
幼さが残る蒲公英路の脇

春曙光　時代は変わる音もなく
菜の花が作るアルバム蜃気楼
浮き雲も風に吹かれて草枕

夢の数膨らんで行く早桜
煩悩はまたそれとして花野かな
約束は勿忘草の春便り