徒然俳句・花桃

人の庭三様に咲く桃の花
スペックが足りないと言う春の駄機
ハナモモは桃と桃との交配種

日永でも夜は聞きたし交響楽
花冷えにダッフルを着て桜かな
朝比奈のブルックナーや木の芽時

濃い珈琲啜り飲みつつ春の雲
四面楚歌ブロムシュテット春の盤
桃の花写真に撮れば色が褪せ

モダンオケぴたりとハマり風光る
四回も書けば終われる春の筆
マタチッチ音は旧いが地虫出づ

徒然俳句・花と川

遅桜まだ六分なり小鮎川
水の鴨みな雄ばかり小鮎川
曇天に花映え足りぬ桜かな

満開の時期を逃して花日和
川と川渡る花辺に野良猫や
花の下ベンチに座るご老人

氾濫の復旧終わる春の川
玉子色二色に開く花椿
通りがけ値段気になる春の米

鮎コロにセキレイの絵や厠壁
今年初大きく聞こゆホーホケキョ
春田にて大あくびしてまた帰る

徒然俳句・花の迷路

晴れの日は桜の花に我忘れ
花冷えに一枚羽織り玄米茶
桜時　花の迷路を行き帰り

花曇り一日掛けて春の筆
春の雨天の恵みが降り注ぐ
菜種梅雨暗さも忘れ待つ陽差し

花の雨散る花びらも惑いなく
町の奥荒れた春田に注ぐ雨
逃げ水も生まれた場所にまた帰る

貯水池で舟遊びかな春休み
明暗を経て歌い出す春の愚者
動物の謝肉祭ならアナログで

徒然俳句・春の慈雨

花冷えにまずは珈琲暖かし
曇天に花を散らして春の雨
山歩き天候不順でまた中止

家仕事少し休めと春の慈雨
春陰に本をめくりて春休み
春の雨閉じ込められて散歩せず

花時に心浮きたつ小鮎川
月末に桜のアーチ誘われて
たんぽぽの雨粒を飲む蝶や蜂

花散らし降り続く日の耳にジャズ
春眠に特技が目覚め二つ三つ
この吾を勿忘草の今朝の雨

徒然俳句・深呼吸

花曇り暑さ寒さも無事終わり
咲く桜咲かぬ桜もまたゆかし
春服も薄着となりて身も軽し

中高生羽を伸ばして春休み
花の下パンやおにぎり頬張りて
人混みも今は落ち着き年度末

ガーベラやカーネーションが店先に
年度末送別会に花を買う
決算期新規開店賑わいて

空いている各駅停車　春弁当
遠距離を歩いて桜の並木かな
春空を仰げば桜　深呼吸