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保険法務実務研究会・マクドナルド【元】店長

2008-03-02 22:46:31 | 学問

早くも3月になってしまった。
2月は通常月よりちょっと短い(29日まであってもやはり短い)せいか、本当にあっという間に過ぎてしまった。
2月下旬というと、二二六事件の26日、二二八事件の28日など、歴史的にも大きな事件があった時期でもある。

二二八事件は、残念ながら日本人では知らない人も多いようである。これは、終戦後わずか1年半後に台湾で起こった悲劇的事件である。
詳細は、ネット検索で容易に調べられるだろう。是非知っておいて欲しい。

さて、2月29日に新しい研究会である『保険法務実務研究会』を立ち上げた。
昨年末から模索していた、保険をテーマにする異業種交流会的な学習会である。
まだ広い会場の確保ができていないため、第1回目は弊所で行った。
参加メンバーは専門職5名(弁護士2名、税理士1名、行政書士1名、社会保険労務士・行政書士の安藤)、法人保険代理店代表者4名の合計9名である。
今後、2カ月に一回、専門職1名・代理店1名が講師を務めて研究会を実施していく予定である。

昨年7月から『労働判例研究会(毎月開催)』も主宰しており、何かと大変な面もあるが、今後の運営が楽しみである。

さて、話が飛ぶが、昨日(3/1)の日経新聞で、マクドナルドの「元店長3人」が残業代を求めて提訴することを知った。
例の東京地裁判決の時点で、こうなることは予測していた。
元店長たちが求める残業代が「1年9カ月分」とあるので、おそらく5カ月前くらいに退職した人ではないだろうか(時効が24カ月なので)。

既に述べたが、毎月給与明細を見ていながら何も言わず、突然過去に遡って請求する、という行為が好きになれない。
例えば300万円借りて、毎月10万円ずつ返済し、やっと24カ月程度たって「あと少し」とか思っているときに、貸し主から「そういえば利息分が入金されてない、過去分の利息50万円を一括で払ってね」と言われたら、どういう気持ちになるだろうか。
普通、「何で途中で言ってくれないんだ!」と思うだろう。
法的に許されても、人としては問題ある行為だからである。

店長が管理監督者かどうか、という実態判断基準として、「経営者と一体の立場」という基準があるが、これは基準が間違いである。
何故なら、経営者と一体の立場で事業方針の決定等に参画する者は、最早「労働者」の概念にふさわしくないからである。
労基法は、「事業に使用される者で、賃金を支払われる者」を労働者と定義し(法9条)、この労働者の中で管理監督者に該当する者については、労働時間管理が馴染まない者として残業代支払い等の対象から除外しているのである(法41条)。

判断基準として、出退勤の自由、というものも挙げられているが、これもおかしい。
経営側には労働時間把握義務を課しておきながら、また、就業規則には「始業・終業時刻」を絶対記載要件としながら、さらに裁量労働制の対象者として管理職を除外しておきながら、出退勤の自由などありえない。
仮に出退勤の自由を認めて管理監督者として取り扱っていたところ、訴訟で敗訴したらどうなるのだろうか。

納得できる判断基準として、相当の待遇、というものがある。
これは、巷で「課長になったから残業代がつかなくなって、係長時代より給料が下がった」という話しを聞くことがあるが、まさしく「相当の待遇」といえないし、管理職とは言い難いだろう。

マクドナルドの店長は、店長就任前よりも賃金が下がった、という実態があったらしい。
つまり、マクドナルドは管理職扱いとすることで、単に残業代を支払わない口実にしたと言われても反論できない証拠を残しているのである。
コンプライアンスが叫ばれる中、あまりにも認識が甘すぎる。
しかも、2年半ほど前には、パート等の未払残業代をトータルで10億円以上支払わせられた、という「高い勉強代」を支払った会社でありながら...

「高い勉強代」を支払う前に、自ら経営する組織の実態を確認する必要がある。
可能な対策は、早め早めに実行することを要する。わが国の政府が得意とする「問題先送り」をしていたら、いつか必ず痛い目にあう日がくるだろう。


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1 コメント

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マクドナルド店長の残業代に関する判決についてお... (ニュースで学ぶコンプライアンス)
2008-03-09 00:18:12
マクドナルド店長の残業代に関する判決についてお書きになっているブログを探していて、こちらを拝見しました。
私のブログでは、「労働基準法の説明」という視点からこの判決について書いています。ご覧いただければ幸いです。
http://news.compliance.bz/
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