雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

新・本と映像の森 120 松谷みよ子『死の国からのバトン ー 直樹とゆう子の物語ー』偕成社、1976年

2018年03月10日 19時08分53秒 | 雨宮日誌

新・本と映像の森 120 松谷みよ子『死の国からのバトン ー 直樹とゆう子の物語ー』偕成社、1976年

254ページ、定価1200円(1996年22刷)

 児童文学なのですが、大人向けの小説を越える感動が、ボクはありました。ボクが主人公の直樹と同一化できるからかもしれません。

 直樹もゆう子も、前作『ふたりのイーダ』でのように異界と交流できる能力があります。

直樹は、東京に住む小学6年生の男の子。家族はルポライターの母と、妹とネコのルー。父は亡くなっていない。

 冬に富山の父の田舎へ行く前、ネコのルーが行動がおかしくなり、家出したうえ、死んでしまった。

 物語は、富山の田舎で、ネコのルーの死の謎とかくらしを守る先祖の苦闘をめぐって進行する。

 小正月、鳥追い。風俗が美しく、懐かしい。

  風よなあ 
  どうどと
  山やま わたれよなあ

   ☆

  うっつけ かみつけ
  カズラの葉
  ええ もう と!

   ☆

 山を焼くぞう
 山を焼くぞう
 山のばばさどの
 おゆるしくだされい
 大蛇どのもごめんなされい
 はう虫ははうていけ
 とぶ虫はとんでいけ
 ひっこむ虫はひっこめ
 あぶらむけそうけ

  ☆

 幻想の世界で、直樹はネコたちやルーとともに、死出の旅を歩く。

 「ねこたちには、どんなかなしいおもいがあったというのだろう。いやおもいよいうより、どうにもならん苦しみだったかもしれない。まえをみてもねこの群れ、ふりかえってもねこの群れの中で。直樹は・・・・」(p128)

 直樹は「山のばばさ」に会う。

 「人も殺してしもうたがや。ほして、これからものう、殺しつづけるやろ。直樹、おまえも殺されるかもしれん。」
 「そんな・・・・そんなこと。」
 「山のばばは、うそはいわん。」

 
 ねんねこや
 ねんねこや
 山の木の数 萱の数
 天にのぼって星の数
 田んぼにくだって稲の数
 稲の数よりなおかわいい
 おまえのねんねがなおかわいい
 ねんねこ
 ねんねこや

  ☆

 現実に戻って、おもしろいのは「百万遍の供養」。

 さいのきのひこべえや
 でやにあづつのはばしんや
 あぶらやにしんのぜんざいもん
 かしやはなざいけのなおしちに
 ばんじょうもぐさがつどうて
 わすれじとおがみまつる
 なまんだあなまんだあなまんだあ
 なまんだあなまんだあなまんだあ

 小学6年生の直樹は、これから現代を生きていかねばなりません。

 1976年に12才だとすると、2018年には54才のはずです。直樹は、どんな大人になって、どう生き抜いているでしょうか。

 


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