新・本と映像の森 169 ことばと詩 2 金子光晴「反対」
「新・本と映像の森 152」で書いた「小松美彦『自己決定権は幻想である』洋泉社新書、2004年」の後半の192ページから194ページで紹介されている詩です。
金子光晴さんの詩を全部読んでから紹介したいのですが暇が今はありません。
詩だけ紹介します。
「反対
僕は少年の頃
学校に反対だった。
(省略)
僕は第一、健康とか
正義とかが大きらひなのだ。
健康で正しいほど
人間を無情にするものはない。
むろん、やまと魂は反対だ。
義理人情にもへどが出る。
いつも政府に反対であり、
(省略)
とりわけ嫌いは、気の揃ふといふことだ。
僕は信じる。反対こそ、人生で
唯一つ立派なことだと。
反対こそ、生きてることだ。
反対こそ、じぶんをつかむことだ。」
ー 初期詩篇、『金子光晴抄』
「初期詩篇」とあり「気の揃ふといふ」と「いふ」仮名遣いから言っても戦前の作でしょう。
でも、これは2010年代に作られたと言っても充分通用すると思う。
もっといろんな点を小松美彦さんは書いているが、またにします。