雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

原発の本 朝日新聞特別報道部/著『プロメテウスの罠』学研、2012年3月13日第1刷

2012年04月03日 05時36分22秒 | 原発を考える1

原発の本 朝日新聞特別報道部/著『プロメテウスの罠』学研、2012年3月13日第1刷、269ページ、定価1238円+消費税

 今年の3月11日を前後して、福島原発過酷事故の本がかなり出版されました。ボクの読んだ本を紹介していきます。

 この『プロメテウスの罠』は「朝日新聞」に昨年10月から連載された記事に加筆した本です。非常に優れたルポなので、できるだけ多くの方に読んで頂きたいです。

 以下、目次を紹介します。

 第1章 防護服の男

  どこへ逃げれば安全か、誰も教えてはくれなかった
  無人となったふるさとへ、再び帰れる日はくるのか

 第2章 研究者の辞表 (注:木村さんのことです)

  住民は本当の数値が知りたかった
  全く生かされなかったSPEEDIのシステム

 第3章 観測中止令

  異常な放射能数値を示すさなかの観測中止令
  国会議員の登場で状況一変

 第4章 無主物の責任
  
  広島・長崎の内部被曝の悲劇が繰り返される可能性
  首都圏にも広がる内部被曝の不安

 第5章 学長の逮捕 (注:ベルラーシ共和国の医師のことです)

  チェルノブイリ周辺では、今も続く子どもの甲状腺異常
  態勢の整わない放射能の検査システム

 第6章 官邸の5日間

  「撤退を食い止めるには東電に乗り込むしかない」
  首相官邸のいちばん長い日
  決死隊をつくってでも

 いちばん、ビックリするのは、第4章で紹介された「無主物裁判」です。

 2011年8月に福島第一原発から45km離れた二本松市のゴルフ場が、東電に放射能汚染の除去を求めて裁判を起こしたのです。
 
 被告となった東電は、なんと「原発から飛び散った放射性物質は東電の所有物ではない。したがって東電は除染に責任をもたない」「放射性物質はもともと無主物であったと考えるのが実態に即している」

 すごいですね!

 「ゴーマニズム」の漫画家さんでも、びっくりするような「ゴーマン」宣言!

 さすがに、裁判所も「無主物宣言」は無視したようですが、裁判所は、きちんと、こういうアホには反撃すべきでした。
 
 そして裁判は、除染も賠償も、国がいま考えているのだから、それを待て、という判決でした。これでいいのでしょうか?

 医師で被爆者の肥田舜太郎さん(94才)は、この記事の同じページで「日本中除染するのは不可能だと国が判断したんじゃないでしょうか…」と言っています。たぶん、そうでしょうね。

 そして、たぶん、福島市(人口28万6千人)の避難は不可能なので、福島市への避難指示は出されなかった、のでしょうね。

 

 
   


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