新・本と映像の森 324 広津和郎『松川裁判(上・中・下)』中公文庫、昭和51年
上、317ページ。中、380ページ。下、327ページ。3巻で1024ページ。
1949年(昭和24年)8月17日午前3時9分、福島県の東北本線福島駅ー松川駅間で福島駅を定時に発車した旅客列車412号が脱線し国鉄機関士2人が死亡した。
作家広津和郎(ひろつかずお)さんは月刊雑誌『中央公論』に4年半、松川裁判第2
審判決を徹底批判した。
いわば内在的批判であって、被告の実像とか、真犯人は誰とか言う議論はいっさいない。第2審判決だけを追っている。だからおもしろいのだと思う。
大部の本だが、最近の推理小説よりもおもしろい。
主な内容を紹介する。。
自白のつくられかた。
被告のアリバイ。
謀議はあったのか。
バールとスパナ。
それから。
「15 電話の問題」
「16 謝礼金の問題」
各章の目次でいうと。
「2 「仮定」と「可能性」の裁判」
「4 自白と事実の食違い」
「9 証言を歪曲した判定」
「13 詭弁と歪曲と捏造と」
「30 網にかかった魚」
三鷹事件、下山事件、松川事件、それから1950年の朝鮮戦争へ至たる歴史のみちのりについて考えたい。