雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

本と映像の森 112 王欣太さん『蒼天航路 30』講談社モーニングKC

2010年12月21日 05時21分09秒 | 本と映像の森
本と映像の森 112 王欣太さん『蒼天航路 30』講談社モーニングKC

 いきなり「第30巻」です。
 なぜ「第30巻」かというと、少し前に、高林の「ブックオフ」に、娘が「私の買ったマンガを売りに行くから、お父さん、車を出して」というので、ついていって、店をぶらぶらしていて、この「蒼天航路」の25巻から30巻までを衝動的に買ってしまいました。

 前に曹操の参謀で、ぼくが大好きな「じゅんいく」さんのことを「本と映像の森」で書いたような気がしていましたが、どうも、まだのようですね。 

 王欣太(キング・ゴンタ)さんマンガ、李愕仁(イハキン)さん原作のマンガ『蒼天航路』は、三国志の「三国」のうち魏国をつくった曹操を主人公にしながら、魏・呉・蜀の3国の王や将軍や参謀たちを生き生きと描いた傑作です。

 つまり曹操やその将軍・参謀も含めて「敵役」としての悪人のいない、全員が魅力的なマンガです。
 曹操にしろ、負け続ける劉備にしろ、それぞれがその存在理由と、存在価値をもって生きています。

 「蒼天航路」が主張する、政治・社会と文化・芸術の関係は別途書きたいと思います。

 この第30巻を書いたのは、涼州に侵攻した曹操が、そこに住んでいる世捨て人「石 徳林(せきとくりん)」に会いにいくシーンが魅力的だったからです。

 石徳林が住居にする川の横の、なにもない廃墟に、やってきた曹操は、石徳林のよこに座って、つぶやきます。

 「宝探しか?」
 「世人が追い求める栄誉を遠ざけ、口が止めることのできぬ言葉を断ち、心が断ち切れぬ親兄弟を捨て、天地をもって棟木・軒とする…いい気なものだ」

 曹操は立ち上がり、川で魚をとると、石徳林のよこに立てます。

 「邪魔をした」
 「心腹(しんぷく)の友に少し似ていたものでな」

 え!それっと、どうみても、曹操が魏王になるのに抵抗して死んだ、曹操の参謀・じゅんいくのことですよね!
 (この問題はまた別途、ちゃんと解析して書きます)

 曹操は、詩を歌い出します。
 「神亀は 寿(いのちなが)しといえど おわる時あり
  天とぶ蛇は 霧に乗るも 終には 土灰となれり」

 こういうのいいですね。命と死です。

 そこで石徳林が、漢詩で残りを歌い出します。

 そして、曹操に聞きます。
 「この詩は あんたの作か」
 振り返って、石をみつめる曹操。

 石は語り出します
 「宝の話だが…
  私は3つの宝を手にして死ぬ
  そのために生きている

  人をいつくしむ心
  何ももたぬくらし
  人の先にたたぬ生

  「 ー老子 」(これは曹操の感想かも)

 曹操「俺とはまるで違う」
 石「だが同じだ
   自分が生きる力に一転の疑問も抱いたことがない」

 曹操の独白『貫けよ 寒貧(かんぴん)』
 石の内心の返答『あんたもな かん雄』


 
 

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