雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

自伝のための破片 11 死者の思い出 Ⅲ

2020年01月14日 06時57分05秒 | 青い銀河とオレンジの花


自伝のための破片 11 死者の思い出 Ⅲ

 『零 ー サークル零 創刊号 ー』に書いた「詩のようなもの」のうち2つ目。ちなみに「Ⅰ」「Ⅱ」は書いてないと思う。

 あのころ瀬戸内海で油の流出事故とかがあったろうか。それともボクの妄想詩なのか。


 「死者の思い出 Ⅲ

        藤井智則

 けたたましい声でネコが鳴いたとおまえは言った
 海鳥たちは行ってしまった 海の底へ
 瀬戸内は冷い波が澱む
 ドックはヒューヒューと歌う 機械的に

 ナウマン象の牙のような細長い物体
 暗黒の水底を群は消えゆく 彼方へ
 瀬戸内を北西風が渡ってゆく
 コンビナートは煙を吐き出す 暗雲に

 けたたましい叫びで ネコが鳴いた
 いや あれはサイレンなのだ 船を岩礁へ引き寄せる
 白い巨大な空間の歪みから吹き出した油
 油を取り巻くテレビカメラと怒りのおまえのその眼
 一度死んだ死者がもう一度死ぬはずもない

 またおれはネコの声を聞いた
 ふりむくと茶色のネコが毛を震わせながら消えていった」

 


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