古代ブログ 41 古代資料 3 福岡市・元岡古墳群の暦いり銘文太刀
2011年9月に記者発表されました。福岡市西区の「元岡古墳群C6号墳」から出土した大刀(たち)に象眼文字19文字が刻まれていました。
鉄刀で長さは75cmです。
銘文は「大歳庚寅(こういん)正月六日庚寅日時作刀凡十二果□」
最後の□は「練」と推定されています。
「庚寅」は60年ごとにめぐってくる「干支」の年号で、たぶん570年の「庚寅」ではないかと推定されています。
というのは『日本書紀』に「554年に百済から暦が伝わった」とされているからです。
ただし、この発掘の事実から「大和政権から古墳の主へ下賜された」と飛躍するのは推理の範囲を越えて、可能な推測を閉ざすものだと思います(このことは別述)。
造った人と場所は、わからないというのが今のところだと思います。
元岡古墳群は福岡市の西端にあって、位置的には西に可也山と東の能古能島のあいだにあり、志摩半島の中、もうすぐ糸島市の位置にあります。
元岡古墳群から南へくだると、平原遺跡や雷山にあたるのも注目すべきかと思います。
「元岡古墳群C6号墳」からは、古墳時代でも最大級の全長12cmの銅鈴も発掘されています。