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雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

原発を考える 6 「いのちと原発」学習会第1回 原子核と放射線の基礎知識

2012年06月25日 06時06分37秒 | 原発を考える2
原発を考える 6 「いのちと原発」学習会第1回 原子核と放射線の基礎知識

 6月24日(日)に、「いのちと原発」連続学習会(4回予定)の第1回「原子核と放射線の基礎知識」を終えました。則子さんが辛口批評ではなかったので、まあ良かったのかな?

 他の団体・場所でもオファーがあれば「出前」講義に行きます。講師料は不要。浜松市内なら交通費も不要。資料代として1人100円いただきます。

 以下は、当日のレジュメ(目次)です。

1 原子が世界を形作る ー原子と原子核の基礎知識ー

 ○原子とは アトム 5つの特徴
 ○原子の大きさ
 ○原子は
 ○原子核は
 ○原子と90種類の自然元素、他の人工元素
 ○元素は原子番号と質量数で決まる


2 原子が変わる ー放射線の基礎知識ー

 ○原子核が変化して放射線が発生する 電磁波と粒子線
 ○化学反応と原子核反応の違い
 ○「放射線」「放射性物質」「放射能」
 ○電離放射線と非電離放射線
 ○アルファ線・ベータ線・ガンマ線・中性子線
 ○距離が倍で4分の1になる
 ○時間は半減期で半分になる
 ○ベクレルとグレイとシーベルト


3 放射能の危険性 ー広島・長崎、ビキニ、福島の経験ー

A)高線量被曝。個人への確定的影響の場合
 ○広島原爆の影響 1kmで4シーベルト(半数致死量)、原発との違い
          問題は2km以上の遠距離被ばく・2週間後以後の入所被ばく
          白血病・ガンなどが増える
 ○外部被曝の致死量 東海村JCO事故、大内さんと篠原さん
 ○核実験の死の灰の影響 ビキニ水爆実験と第五福竜丸 3シーベルト

B)「許容量」とは?「安全量」?「がまん量」? 武谷三男さんの指摘

C)低線量被曝と内部被曝、集団への確率的影響の場合
 ○環境放射能=自然放射能+人工放射能(核実験+3/11以後の福島原発事故由来)
現在のここの環境放射能     マイクロシーベルト/毎時
この値に365日×24時=8760をかけて1000で割ると年間のミリSv
 ○ミリ、マイクロの単位
 ○確率的影響 1mシーベルトで0.005%がガン死する(ICRPの推計)
つまり130万人が毎年1mSvを受けると毎年65人がガン死する、

 1,確定的影響と確率的影響、しきい値
 2、大人と子どもの放射線感受性     
 3,内部被曝は細胞や遺伝子を長期に破壊するー外部被曝との違い
  最大の問題は呼吸や食事で取り込んだ内部被曝
 
 ○自然放射能 カリウム40 体内に4000ベクレル程度、毎日50ベクレル吸収
        炭素14 体内に2500ベクレル程度
 ○核実験の影響 『放射線と健康』p63 体内のセシウム
  1964年 600Bq、1968年 70Bq、1986年 22Bq
 ○福島原発事故 母乳がセシウム汚染 2~13ベクレル/リットル 児玉さん著参照
 ○チェルノブイリで 同程度の汚染で 子どもの甲状腺ガン、膀胱炎が発生確定
 ○世界各地の放射線障害 核施設と核実験場

  
4、46億年、放射能から守られている地球といのち
 ○宇宙の自然放射線の危険性
 ○水と大気と太陽・地球磁場で宇宙線から守られているいのち
 ○この地球といのちを汚染からまもる私たちの責任

 

原発を考える 橋下大阪市長さんの原発反対から「変節」「転向」「右展開」は政権入りしたいから?

2012年06月02日 17時14分48秒 | 原発を考える2

原発を考える 6月2日(土) 橋下大阪市長さんの原発反対から「変節」「転向」「右展開」は政権入りしたいから?

 橋下さんが大飯原発「再開」を「期間限定」で容認しました。民主党の政権公約と同じようなもので、いつまでも絶対反対していると「原子力帝国」の支配者入りができないから、でしょうか?

 橋下さんの原発反対はボクとしては高く評価していたのですが、いかんせん「期間限定」の反対でしたね。

 それにしても橋下さんも「はしたない」「情けない」けど、苦労している「立地県」として「期間限定賛成」に、関係ない者が何をいちゃもんをつけるんだといわんばかりの福井県知事は、さらに情けないし、奇々怪々です。

 原発を立地した大飯村と福井県知事だけが決定権があるという態度ですか?被害を受ける周囲の、あるいは遠くの自治体や住民は被害だけを受けなさいと言う、無茶な暴論。

 やはり野田さんや政府首脳や大飯村長や福井県知事さんは「事故想定」ができないくらい「頭が壊れている」と思うのですが。

 


原発を考える 4 フィードバック回路がなく拡大路線でついに暴走する原発と共通する「もの」

2012年05月05日 05時20分00秒 | 原発を考える2

原発を考える 4 フィードバック回路がなく拡大路線でついに暴走する原発と共通する「もの」

 2012年3月20日に「原発を考える 2 特殊な「商品」である原子炉(核反応炉)と軍艦(自衛隊護衛艦)の共通性」を書きました。

 そこで指摘したように、通常の商品ではない、特殊商品の原子炉は、護衛艦と同じように、少しづつ巨大化していきます。市場経済による競争が不要な、原子炉や原発は、発売以後、軽量化しながら、機能が多様化し、価格が安くなる、ふつうの商品と違って、少しづつ巨大化し、値段も高くなっていきます。

 そして、通常の燃焼炉、たとえば車のガソリンエンジンなら、キーを切ってエンジンを止めれば、それで運転は終了です。運転手のあなたは、キーを抜いて、車を駐車場に止めて、でかければいい。ところが、原子炉は、そうではありません。

 原子炉のなかで、臨界反応は終了しても、そこに大量に生成している放射性元素の崩壊現象が続いていて、その崩壊現象が終わるまで、冷却装置で冷やし続けないといけません。

 そういうコントロールシステムをつくろうとしない無策を証明したのが、昨年3月の東電福島第一原発事故だろうと思います。

 「あってはならないこと」が起きたのですが、じつは「あってはならないこと」に対処する準備は、まったくできていませんでした。「あってはならない」lことを考えるのは、「想定外」を「想定」するという矛盾なのでしょうね。

 どんな事件が起きても、どんな「ダメージ」があっても、それに対応するシステムをつくる、それが「ダメージ・コントロール」です。

 ぼくが住む浜松市は、緊急事態に、どう対応するのでしょうか?

  ☆

 実は、そういう原発の、コントロールのきかない「暴走しすてむ」と似たようなシステムが地球上に、いま存在します。それは。現代の人間社会の「資本主義」という経済システムです。

 「最大利潤の最大追求」という目標で、グローバルシステムをつくった現代の「独占資本主義」は、つまり日本やアメリカの大企業の最大限利潤追求のシステムです。

 ヨーロッパのようにそれを抑制してコントロールするシステムとは違います(それが性交しているかどうかは、別問題です)。

 資本主義は景気が次第に加熱して、一つの経済サイクルは、最後は「恐慌」で崩壊して終わります。そこから次の経済サイクルが再開し…というように方界を繰り返す「懲りない」システムです。

 原発も、破局事故を繰り返す「懲りない」システムで、人類と共存はできないのではないでしょうか。

 今日は偶然ですが、今日の深夜、北海道電力の泊原発が停止します。

 42年ぶりの「日本原発ゼロの日」、未来を担う子どもたちへの最高の贈り物です。

 

 

 


原発を考える 3 特殊な「商品」である原子炉(核反応炉)と軍艦(自衛隊護衛艦)の共通性

2012年03月29日 05時04分06秒 | 原発を考える2

原発を考える 3 特殊な「商品」である原子炉(核反応炉)と軍艦(自衛隊護衛艦)の共通性

 ふつう、たとえばデジカメやウオークマンなら、私たち「ユーザー(消費者)」は、
 
 ① まず、そういう商品を買うかどうか、を選択します。

 ② 買うとしたら、どの会社の、どういう商品を選ぶか、お店に行ったり、カタログを見たり、ネットで検索したりして選択します。

 ところが「原子力発電所」という「原子核反応炉」は、そうではないのです。

 ① まず「原発をアメリカの技術を日本に輸入する」という国会の議決があります。つまり国民の「買いたい」という選択ではなくて、議会の決定です。

 ② つぎに買うとしたら、どの会社のどの製品を買うか、ですが、これも、日本の大企業が「沸騰水型」と「加圧水型」の2種類を決めて輸入して、独占企業の電力会社に「買わせた」だけです。
 
 ③ 電力会社が買った資金は、電力会社の利益からではなくて、国民一人ひとりが払う「電気料金」から出ています。

 ④ さらに、毎年作り続ける原発が三井や三菱や住友など、原発製造企業が失業しないように、うまく仕事がとぎれないようにしています。

 こういう計画構図は、戦前や戦後の軍艦を建造する企業と、国との関係とまったく同じです。

 戦前の日本帝国海軍の「空母」「巡洋艦」「戦艦」「駆逐艦」「潜水艦」、戦後の海上自衛隊の「護衛艦」「潜水艦」、これらは、建造技術がとだえないように、ローテーションで、各会社に建造の注文を出しています。

 この建造費は、国民から吸い上げた税金を使っています。原発の場合の、国民が払った電気料金と同じです。

 つまり、軍艦の場合の政府、原発の場合の電力会社は、「軍艦」「原発」という商品を買うのに、自分の身銭を払っていません。

 それが役立くなくても、大惨事を起こしても、やはり責任感覚は、ないでしょうね。

 


原発を考える 2 「原子炉立地指針」の奇怪な条項「非居住地域」「低人口地帯」を読んで

2012年03月08日 21時45分39秒 | 原発を考える2

原発を考える 2  「原子炉立地指針」の奇怪な条項を読んで

 原子力安全委員会が昭和39年(1964年)5月27日に決定したのが「原子炉立地指針及びその適用に関する判断の目安について」です。以下、全文を引用します。全文を読むのがめんどうくさい人は、一番下へ飛んでください。

 ☆

原子炉立地審査指針およびその適用に関する判断のめやすについて

  (原子力委員会は39年5月27日,原子炉立地審査指針およびその適用に関する判断のめやすについて次のとおり決定した。)

 本委員会は,昭和33年4月原子炉安全基準専門部会を設け,原子炉施設の安全性について科学技術的基準の制定をはかってきたところ,昭和38年11月2日同部会から陸上に定置する原子炉に対する立地基準の前段階としての原子炉立地審査指針に関する報告書の提出を受けた。本委員会は,同報告書を検討の上,別紙1のとおり原子炉立地審査指針を定めるとともに,当該指針を適用する際に必要な放射線量等に関する暫定的な判断のめやすを別紙2のとおり定める。

〔別紙1〕
 原子炉立地審査指針この指針は,原子炉安全専門審査会が,陸上に定置する原子炉の設置に先立って行なう安全審査の際,万一の事故に関連して,その立地条件の適否を判断するためのものである。

1.基本的考え方
1.1 原則的立地条件
 原子炉は,どこに設置されるにしても,事故を起さないように設計,建設,運転および保管を行なわなければならないことは当然のことであるが,なお万一の事故に備えて,公衆の安全を確保するためには,原則的に次のような立地条件が必要である。

(1) 大きな事故の誘因となるような事象が過去においてなかったことはもちろんであるが,将来においてもあるとは考えられないこと,また,災害を拡大するような事象も少ないこと。

(2) 原子炉は,その安全防護施設との関連において十分に公衆から離れていること。

(3) 原子炉の敷地は,その周辺も含め,必要に応じ公衆に対して適切な措置を講じうる環境にあること。

1.2 基本的目標
 万一の事故時にも,公衆の安全を確保し,かつ原子力開発の健全な発展をはかることを方針として,この指針によって達成しようとする基本的目標は次の3つである。

 a 敷地周辺の事象,原子炉の特性安全防護施設等を考慮し,技術的見地からみて,最悪の場合には起るかもしれないと考えられる重大な事故(以下「重大事故」という。)の発生を仮定しても,周辺の公衆に放射線障害を与えないこと。

 b さらに,重大事故を超えるような技術的見地からは起るとは考えられない事故(以下「仮想事故」という。)(例えば,重大事故を想定する際には効果を期待した安全防護施設のうちのいくつかが動作しないと仮想し,それに相当する放射性物質の放散を仮想するもの)の発生を仮想しても,周辺の公衆に著しい放射線災害を与えないこと。

 c なお,仮想事故の場合にも,国民遺伝線量に対する影響が十分に小さいこと。

2.立地審査の指針
 立地条件の適否を判断する際には,上記の基本的目標を達成するため,少なくとも次の3条件が満されていることを確認しなければならない。

2.1 原子炉の周囲は,原子炉からある距離の範囲内は非居住区域であること。
 ここにいう「ある距離の範囲」としては,重大事故の場合,もし,その距離だけ離れた地点に人がいつづけるならば,その人に放射線障害を与えるかもしれないと判断される距離までの範囲をとるものとし,「非居住区域」とは,公衆が原則として居住しない区域をいうものとする。

2.2 原子炉からある距離の範囲内であって,非居住区域の外側の地帯は,低人口地帯であること。
 甲状腺(成人)に対して 300レム
 ここにいう「ある距離の範囲」としては,仮想事故の場合,何らの措置も講じなければ,その範囲内にいる公衆に著しい放射線災害を与えるかもしれないと判断される範囲をとるものとし,「低人口地帯」とは,著しい放射線災害を与えないために,適切な措置を講じうる環境にある地帯(例えば,人口密度の低い地帯)をいうものとする。

2.3 原子炉敷地は,人口密集地帯からある距離だけ離れていること。
 ここにいう「ある距離」としては,仮想事故の場合,全身被ばく線量の積算値が,国民遺伝線量の見地から十分受け入れられる程度に小さい値になるような距離をとるものとする。

3.適用範囲
 この指針は,熱出力1万kW以上の原子炉の立地審査に適用するものとし,1万kW未満の場合においては,この指針を参考として立地審査を行なうものとする。

〔別紙2]
 原子炉立地審査指針を適用する際に必要な暫定的な判断のめやすこの判断のめやすは,原子炉安全専門審査会が,陸上に定置する原子炉の安全審査を行なうに当り,別紙1の指針を適用する際に使用するためのものである。


1. 指針2.1にいう「ある距離の範囲」を判断するためのめやすとして,次の線量を用いること。
 甲状腺(小児)に対して 150レム
 全身に対して 25レム

2. 指針2.2にいう「ある距離の範囲」を判断するためのおよそのめやすとして,次の線量を考えること。
 全身に対して 25レム

3. 指針2.3にいう「ある距離だけ離れていること」を判断するためのめやすとして,外国の例(例えば200万人レム)を参考とすること。

付  記

 (i) 上記めやすは,現時点における放射線の影響に関する知識,事故時における原子炉からの放射性物質の放散の型と種類およびこの種の諸外国における例等を比較検討して,行政的見地から定めたものであるが,とくに放射線の生体効果,国民遺伝線量等については,まだ明確でない点もあるので,今後ともわが国におけるこの方面の研究の促進をはかり,世界のすう勢をも考慮して再検討を行なうこととする。


 (ii) 上記めやすは,実際に原子炉事故が生じた場合にとられる緊急時の措置に関連するめやす(例えば飲食物制限,退避措置等のための線量等)とは異なった考え方のものに定めたものである。


 (iii) 上記めやすは,原子炉の設置に表立って行なう安全審査の際,万一の事故に関連して,その立地条件の適否を判断するためのものであって,原子炉の平常運転時における公衆に対する放射線障害の防止に関連しての判断の基準は,核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号)および同法律に基づく総理府令ならびに科学技術庁告示に規定している。


 (iv) 上記めやすのうち1および2は,通常のウラン燃料の原子炉を対象として考えたものである。甲状腺および全身以外のものが障害の見地から重要となる場合には,別途考慮することが必要である。

 ☆

 まず以下の点が大事ですね。

 「(1) 大きな事故の誘因となるような事象が過去においてなかったことはもちろんであるが,将来においてもあるとは考えられないこと,また,災害を拡大するような事象も少ないこと。
(2) 原子炉は,その安全防護施設との関連において十分に公衆から離れていること。
(3) 原子炉の敷地は,その周辺も含め,必要に応じ公衆に対して適切な措置を講じうる環境にあること。」

 そして、

 「立地条件の適否を判断する際には,上記の基本的目標を達成するため,少なくとも次の3条件が満されていることを確認しなければならない。

2.1 原子炉の周囲は,原子炉からある距離の範囲内は非居住区域であること。
 ここにいう「ある距離の範囲」としては,重大事故の場合,もし,その距離だけ離れた地点に人がいつづけるならば,その人に放射線障害を与えるかもしれないと判断される距離までの範囲をとるものとし,「非居住区域」とは,公衆が原則として居住しない区域をいうものとする。

2.2 原子炉からある距離の範囲内であって,非居住区域の外側の地帯は,低人口地帯であること。
 甲状腺(成人)に対して 300レム
 ここにいう「ある距離の範囲」としては,仮想事故の場合,何らの措置も講じなければ,その範囲内にいる公衆に著しい放射線災害を与えるかもしれないと判断される範囲をとるものとし,「低人口地帯」とは,著しい放射線災害を与えないために,適切な措置を講じうる環境にある地帯(例えば,人口密度の低い地帯)をいうものとする。

2.3 原子炉敷地は,人口密集地帯からある距離だけ離れていること。
 ここにいう「ある距離」としては,仮想事故の場合,全身被ばく線量の積算値が,国民遺伝線量の見地から十分受け入れられる程度に小さい値になるような距離をとるものとする。」

 この「2.1」「2.2」「2.3」の条件を厳守する限りでは、日本列島に原発を作る余地は「日本語的」にはまったくないと思うのですが。

 浜岡原発からどれくらいの距離が「非居住区域」なのでしょうか?

 考えられる論理的解釈は、一つしかありません。その後の文章「「ある距離の範囲」としては,重大事故の場合,もし,その距離だけ離れた地点に人がいつづけるならば,その人に放射線障害を与えるかもしれないと判断される距離までの範囲をとるものとし」という「ある距離」を浜岡原発といちばん間近な民家の間にとることです。

 それしかないでしょう?

 事故がぜったい起こらないと強弁していれば、そういう言葉の詐欺も可能になりますね。

 「ある距離の範囲」が実際にどのあたりなのかは、調べてみます。中電に聞いて見ましょうか。

 もう一つ「低人口地帯」とは何か、ですが、たぶん今の日本の原発の周辺をいうのだと思います。それは指針にある「300レム」(300レムはシーベルトで100分の1ですから3シーベルトで広島原爆の1キロちょっとの距離で「半数死亡」です)のときに「何らの措置も講じなければ,その範囲内にいる公衆に著しい放射線災害を与えるかもしれないと判断される範囲をとるものとし,「低人口地帯」とは,著しい放射線災害を与えないために,適切な措置を講じうる環境にある地帯(例えば,人口密度の低い地帯)をいうものとする」。

 「仮想事故」とは言ってるけど、ここでちゃんと「300レム」事故への「適切な措置」を装丁しているじゃないですか。

 こわい話です。


 


原発を考える  1 「除染で2年後に50%」という目標について

2012年01月27日 21時24分12秒 | 原発を考える2

原発を考える 1  「除染で2年後に50%」という目標について

 政府は「除染によって2年後に現在の値の50%、半分にする」と言ってますが、ほとんどインチキ・手品のたぐいだと思います。

 なぜなら、いま残っているのは、セシウム134(半減期2年)とセシウム134(半減期30年)がほとんどで(少量のプルトニウムなどはあるでしょうが)、事故当初のセシウム134とセシウム137の比率は福島第1の場合、ほぼ1対1でした。

 セシウム134は急速に減って2年後に半分になるので、2年後には全体として計算してあるサイトを見ると「2年後に6割」に減ります。

 計算したサイトの数字を引用します。

   1年後 78.9%
   2年後 63.6%
   3年後 52.5%
   5年後 38.5%
  10年後 23.7%

 つまり、何にもしなくても2年経つと、放射線量は6割になるのですから、「除染」をしたところでは「確かに半分近くに減りました」と発表できます。

 「6割」を「5割」に減らすのは「83%に減らす」ことです。
 
 「8割に減らした」ことは「効果がある」と言えるでしょうか?

 「除染」がまったく効果がないとは思いませんが、「除染」に過度な期待をかけるのは無理があるというのは、かなり聞こえてきますね。

  ☆

 「除染」という行動は、つまり「単位時間あたりの放射線量の高い物質」を人間への影響ができるだけ小さい地域へ「移動」させる行動です。

 その「移動」した地域の放射線量が「移動」させた分だけ高くなるわけで、大面積を平均すれば平均した放射線量は、まったく同じです。

 たとえばA地点で放射線量が100で、B地点では60とすると、A地点の物質をB地点に移動させてA地点が40になれば、B地点は120になります。A地点とB地点の平均値160は、まったく変わりません。変わるはずもありません。

 そういうことです。