馬糞風リターンズ

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映画「ジャッキー・ファーストレディ  最後の使命」

2017年04月06日 | 映画
今月の「映画の会」は「ジャッキー・ファーストレディ  最後の使命」でした。
昭和38年11月23日早朝、太平洋を越えた宇宙中継が行われました。中継のアナウンサーの第一声は「この電波でこのような悲しいニュースをお送りしなければならないのは誠に残念」でした。ケネディ大統領暗殺の悲報です。また、ケネディー大統領の葬儀でのジャクリーンに手を引かれた小さな女の子と男の子の姿が強く印象に残っています。

この映画はケネディー神話?と云うよりもアメリカ合衆国大統領ケネディーの神格化を切望するアメリカ国民の心情を垣間見る作品です。
建国神話、皇室や王室をもたないアメリカにとってケネディー家は数少ない「破格」の存在なのだそうです。そんなケネディー家に付きまとう深い深いアメリカの闇と霧。そして政治的にはこれと云った業績のない偉大な大統領の謎に満ちた暗殺。このドラマチックさが一層ケネディー神格化に拍車をかけるのだと思います。そのキーワードが「キャメロット(camelot)」です。映画の中でもジャクリーヌが何度も「キャメロット」の思いを語ります。
 海外のニュースを見ていると分かったようで分からない事がままあります。大概はスルーしてやり過ごしてしまいます。キャロライン・ケネディ(ケネディ大統領の葬儀の時、ジャクリーンに手を引かれていた幼子)がオバマ政権での駐日アメリカ大使に就任した時の新聞記事には「キャメロット最後の生き残り」と紹介されました。アーサー王物語とケネディー家が何の関係があるのか?と思う。でも、この種のことは大概スルーするものです。今回の映画で「キャメロット」との関係がよくわかりました。映画でも描かれた大統領暗殺後間もない時、ライフ誌のセオドア・ホワイトのインタビューを受けます。その中でジャクリーンは自分が夫と共にホワイトハウスで過ごした日々を「キャメロット」といっています。以後ケネディ政権とそこを取り巻いた人々は「キャメロット」と称されるようになるようです。
 このようにジャクリーンにはアメリカのホワイトハウス、即ち夫ケネディーを伝説の勇者・キングアーサーに見立てて、王宮の呼称「キャメロット」を強く意識したようです。そうすれば映画の導入部分が「ファーストレディとなってホワイトハウスに入ったジャクリーンは、まずホワイトハウス内部のリフォームと家具や備品の管理に積極的に取り組んだ。」ジャクリーンはホワイトハウスを「この国で一番素晴らしい家であり、人びとが誇りに思い、この国の歴史を伝える生きた博物館のようなものでなければならない。」そして、ホワイトハウス内部奥深くにテレビカメラが入り、案内役をつとめたジャクリーンの気品に視聴者が魅了されます。この導入部がこの映画の意図を明確に語っています。
 当ブログにとってはアメリカ理解に大いに参考になる映画でした。
「AMERICA FIRST」と大統領が叫んでも、そのAMERICAとは何なのか?当ブログが何時も漠然と思うのですが「アメリカ人」がいるが「アメリカ民族」はいないんだと・・。





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