馬糞風リターンズ

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映画「バーニング・オーシャン」・・・映画の会、50回記念。

2017年05月06日 | 映画
バーニング・オーシャンを観ました。オバマ大統領の就任が2009年1月で、メキシコ湾原油流出事故が起きたのが同年4月20日です。発足間もないオバマ政権を直撃した最初の大事件でした。当ブログも当時のことを鮮明に記憶しています。過去最悪と云われたアラスカ原油流出事故(エクソンバルディーズ号原油流出事故)などとは比較にならない大事故でした。島根県隠岐島沖で発生したナホトカ号重油流出事故(1997年)にしてもエクソンバルディーズ号原油流出事故(1989年 )でもタンカーからの原油流出ですから流れ出る原油の量はタンカーの積載量に限られます。しかし、メキシコ湾原油流出事故は海底へ伸びる5500mの掘削パイプが折れて高圧で噴き出す原油がメキシコ湾に流れ出ました。これは、噴出口を塞がない限り油田が枯渇するまで延々と原油が流出し続ける最悪に状況です。連日のようにTVでは石油流出による自然環境、社会生活、漁業、観光業などへの被害状況が報道されました。更に、メキシコ湾内を循環する海流(ループカレント)に到達した場合はメキシコ湾全体のみならず大西洋にまで被害を与え、地球規模に被害が拡大する可能性が指摘され不安を増大しました。
 そんな最中にBP(ブリティッシュ・ペトロリアム)のトニー・ヘイワードCEOは「メキシコ湾は広大だ。海全体の水の量に比べれば、流出した石油と分散剤の量など微々たるものだ」と発言、更にヘイワードは米議会での証言で議会が事前通告した質問に答えず、英国に戻りワイト島一周ヨットレースを自分のヨットで楽しむなどの無責任ぶりに全世界の怒りが爆発します。
 ≪責任の擦り合い≫
「仕事はアウトソーシングできても、責任はアウトソーシングできない」

当ブログが最も記憶に残る言葉です。

映画に登場する事故関連会社は、大元の石油メジャーBP(ブリティッシュ・ペトロリアム)、事故を起こした「ディープウォーター・ホライズン」・トランスオーシャン(スイス)掘削装置と運用、セメント作業、センタリング装置・ハリバートン (企業)(米)の様です。実際には日本の三井石油開発の米子会社なども関係していたようです。
映画の舞台となった「ディープウォーター・ホライズン」は自動船位保持装置を備えた半潜水式(セミサブマーシブル)の石油プラットフォームで、海に浮きながら自動で位置を調節し、大水深の海底から石油を掘削できるそうです。このディープウォーター・ホライズンが海底油田から逆流してきた天然ガスが引火爆発し、そこからの脱出が映画では描かれています。

 映画「「バーニング・オーシャン」の感想ですが、製作者は何を訴えようとしているのかが全く分からない出来栄えになっています。巨大石油メジャーの横暴と無責任さを追求しているわけでもなく、環境破壊を訴えているようでもない、単なるパニック映画であれば「ハラハラドキドキ」感は希薄、危険に遭遇した作業員の人間ドラマにしてはストリーが全くない、と云った残念な作品。
 最近のハリウッド映画を観ていて思うのは「フライング」がない、こじんまりとしたスマートな作品が多いように思います。当ブログの邪推ですが、これはきっと制作現場の作品作りの情熱が他のモーメントで歪められているような気がしています。巨大資本が動くハリウッドでは興行収益確保のセフティーネットとして保険が掛けられていると言われています。勢い保険会社の意向が色濃く制作現場に反映される可能性はあります。成功しなくても損失だけは出さない映画作りが「面白くない映画」のオンパレードになるのでは・・。


 映画の会も今回で50回目の節目を迎えたそうです。映画を観ることもさることながらその後の「意見交換会」が月1度の顔見世として楽しみにしている御同輩も多いようです。次は100回を目指して健康でありますように・・・。




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