四季の歌と暮らす

 年齢ごとに「一度っきり」の四季と、
旬(しゅん)のヨコハマを味わう「くりごとの集」です。

芭蕉さんと遊女たち

2010-08-26 09:58:19 | 生かされて今日
 「おくのほそ道」の芭蕉さんと曽良は陽暦の8月26日新潟県をほぼ走破して市振にわらじを脱ぎます。炎天甚だしい親知らず子知らずの難所を今日は33キロ歩かれました。江戸時代は一日40キロ、女性でも20キロ程度が普通の旅程だったそうです。清潔な宿と足に合うわらじとが望みと翁も申され、現代人には無理なきつい旅行です。
 疲れ果てて寝入る時に、二人旅の遊女の話し声がもれてきます。翌朝宿を立つ時、旅が不安なので同道してほしいと哀願されますが断るエピソードがあります。

 『「行方しらぬ旅路のうさ、あまり覚束なう悲しくはべれば、見えがくれにも御後をしたひ侍らん。衣の上の御情に大慈のめぐみをたれて結縁せさせ給へ」と泪を落す。ふびんの事には侍れども、「我々には所ゝとどまる方おほし。ただ人の行くにまかせて行くべし。神明の加護、必ずつつがなかるべし」と云捨て出でつつ、哀さしばらくやまざりけらし。

 一家(ひとつや)に遊女もねたり萩と月 
          曽良にかたれば、書きとどめ侍る』

 この出来事と俳句は曽良の記録に無く、今では翁の創作とされています。「おくのほそ道」は客観的旅の記録では無くて、芭蕉翁の詩的世界を描いた詩集といえましょう。萩の花が横浜にも咲き、昨日は満月で月影に驚かされました。
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