万葉集の巻の4に恋と言う魔物に捕捉されて、心身がマヒし身動きできない歌があります。広河女王(ひろかわのおほきみ)という貴族のお姫様です。
『恋は今あらじとわれは思えるを
いづくの恋いぞ掴みかかれる』
もう恋することは無いと思っていたのにどこの恋かしら、つかみ掛かってくるよ。恋が私を掴んで離さないなんて、擬人法を使っていて表現が独自で大胆、生々しく素晴らしい。
好きになると四六時中恋人のことばかり浮かんできて、あーだこーだと心配な妄想が失恋の不安をかき立てるのです。一点に意識固着してマヒした心になり、他のことが考えられなくなるのでしょう。皆さんも青春時代の記憶が残っていませんか。
現代のカップルは邪魔する親をかわしてケータイで直接意思を確かめたり推量し得るでしょうが、古人たちは顔も見せることはないからアクセスが大変でしたでしょうね。
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