『指導的な立場の人が具えなければならないものとして、先見性とか決断力とか、いろいろ挙げられます。なかでも、これを具えなくては長の資格はないという、いちばん大事なものはなんでしょうか。それは、人びとの信頼だと私は思うのです。
みんなの信頼が得られなくては、どんなに立派な言葉を並べて説得しようとしても、人の心に届きません。心から信頼されているリーダーならば、たったひと言で相手を変えてしまうこともできるのです。
では、その信頼はどこから生まれるのかというと、まず第一に、正直であることです。表から見ても裏から見ても少しの違いもない。それからもう一つ、なによりも人を大切にする心を持っていることです。
上の人には揉み手をしてすり寄るけれども、部下に向かうとガラリと態度が変わって怒鳴りちらすというような人は、論外です。
それは、自分の立場ばかりを大事にする人です。リーダーは、自分を捨ててみんなの幸せを考える人でなくてはなりません。幸せも成功も人間関係がもと。人間関係を大事にできない人は何をやってもだめだ、と言いきってもいいでしょう。』
庭野日敬著『開祖随感』より