赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

脱炭素やめた石油大手シェルとメディアの反応

2023-07-02 00:00:00 | 政治見解



脱炭素やめた石油大手シェルとメディアの反応 :230702情報


6月15日付けの日経新聞に『英シェル、化石燃料に回帰鮮明 新CEO「LNGで成長」』の見出しで、石油メジャーのシェルが「脱炭素を止める」という記事が掲載されていました。一部を引用します。

【ニューヨーク=花房良祐、ロンドン=湯前宗太郎】欧州の石油メジャーが化石燃料へ回帰する姿勢を鮮明にしている。英シェルは14日、2030年まで液化天然ガス(LNG)の増産や石油生産量を維持する方針を発表した。化石燃料の世界需要が旺盛なためだが、脱炭素化にとっては逆風になりそうだ。

「化石燃料を削減」方針修正
1月に就任したワエル・サワン最高経営責任者(CEO)らが14日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で投資家説明会を開催し、「シェルが強みを持つ天然ガス事業に資金を振り向ける」と話した。

シェルはカナダなど各地でLNGプラントを建設し、30年まで生産能力を年1100万トン増やす。世界最大の輸入国である日本の需要の約15%に相当する量だ。

シェルの石油生産量は足元で日量約150万バレル。30年までメキシコ湾で海底油田の開発を続けることなどで、この水準をほぼ維持する。19年の生産量は日量約190万バレルだったが、投資撤退などで2割削減し、当初掲げていた目標を達成したという。

ウクライナ侵攻で状況変化
これまで欧州メジャーは太陽光発電や風力発電、電力の小売事業に進出する一方、化石燃料の生産量を削減すると標榜。米国メジャーに比べて脱炭素に積極的とされてきた。だが、化石燃料の需要の底堅さや利益率の高さ、ウクライナ紛争でエネルギー安全保障への注目が高まったことをきっかけに、方針を修正している。(以下略)


地球温暖化対策のための脱炭素に逆行する動きですが、この問題について、国際政治学者は次のように解説しています。



■エネルギー業界で大転換

アメリカの石油エネルギー大手エクソン・モービルのライバル会社であるイギリスのシェルに関する、ビッグニュースです。

6月14日に、ニューヨーク証券取引所でシェルが投資家説明会を実施して、1月に就任したワイル・サワンCEOが新しい方向性について発表しました。

内容としては、シェルが強みを持つ天然ガス事業に資金を振り向けるということです。

これについては日本経済新聞も、
「欧州の石油メジャーが化石燃料へ回帰する姿勢を 鮮明にしている。シェルは2030年まで液化天然ガスLNGの増産や石油生産量を維持する方針を発表した」
と報じました。

今まで、シェルなどは太陽光発電や風力発電、電力の小売り事業に進出し、「化石燃料の生産量は削減しますよ」と言っていたわけですが、その方向を180度、大転換したということです。

石油メジャーのエクソン・モービルなどは初めから、天然ガスも石油もどんどん掘りますよという方針でした。

対して、脱炭素政策をとっていたシェルも、ついに方向転換をしたということで、まずは2030年までと言っております。2030年になると、もう「地球が温暖化している」という仮説はやっぱりウソだったとはっきりしてくるのではないかと思います。


■食い違う日経新聞とロイターの報道

これを報道した日本経済新聞は、「地球温暖化」と散々書いてきましたから最後に悔し紛れに、こう書いています。

「石油業界の経営者は、脱炭素化に向けて走り出すタイミングを慎重に見極めようとしている。サワンCEOは、 “2050年までに温暖化ガスの排出ゼロを達成する”というシェルの目標に変更はないと強調。二酸化炭素の回収や水素といった、化石燃料のノウハウを活かせる新規事業に投資し、きたるべき エネルギー転換の時期に備えているんだ」

このように、日本経済新聞は書いているのですが、どうもこれは本当ではないようです。というのも、6月12日の英ロイター電には、「シェルは収益性が低いと見込み、ここ数カ月間に、洋上風力発電や水素、 バイオ燃料など複数の開発事業を中止した」と書いてあります。

なので、脱炭素でやっていた事業を中止したということなので、それに復帰するとは言っていません。これは、2030年になったらその時に改めて考えてみるということではないでしょうか。

このように化石燃料を重視する動きが戻ってきているにも関わらず、日本はいまだに水素だ、脱炭素だ、とやっているわけです。エネルギー業界の方々にはこの事実にしっかり目を向けてほしいですし、投資家にとっても、脱炭素に投資すると全然儲からない時代になると見ておくべきかと思います。




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