赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

Ⅱ.米中関係の変化を読む 

2023-07-06 12:00:00 | 政治見解



Ⅱ.米中関係の変化を読む :230706の2情報

午前の続きです)

ある政治専門家の意見を掲載しています。様々な意見の一つとしてご覧ください。



▼中国がアメリカとの和解に動く理由

では、中国側の動機はどうなのでしょうか?
一つは、既述の「欧米日と和解した方が儲かる」という動機。もう一つは、台湾情勢がらみです。

来年1月に台湾で総統選挙がある。反中国で人気の高い蔡英文さんは、二期務めたので、もう出馬できない。中国は、この総統選挙で、親中国民党の候補を勝たせたい。そして、国民党総裁に住民投票を実施させ、平和裏に台湾統一を成し遂げたい。

だから、欧米日そして台湾で中国脅威論が盛り上がらないよう、ある程度和解しておかなければならない。


▼米中の和解、日本にとっては?

というわけで、米中が和解に動き出しています。これは、わが国日本にとってどうなのでしょうか? 意外かもしれませんが、「極めてよい」といえるでしょう。なぜ?

私たちの恐怖は何でしょうか?
一番目は、中国が尖閣に侵攻してくることです。
二番目は、中国が台湾に侵攻することです。
すると、日米 対 中国 の戦争、あるいは、日米台 対 中国 の戦争が勃発します。私たちが避けたいのは、この二つ。アジアの情勢を見ると、中国が突出して強く、「バランスオブパワー」が崩れていました。

バイデン政権は、
・クアッド
・AUKUS
・IPEF
・民主主義サミット
・トランプ時代にバラバラになっていたNATOを再び一体化させた
・日米関係を改善させた
・米韓関係を改善させた
などによって、中国との「バランスオブパワー」を回復させたのです。

つまり、中国が「動きづらい状況」を作り上げた。その上で現在、事情があって和解に動いています。そうなると、中国は、尖閣や台湾に侵攻しづらい状況のまま現状維持がつづいていく可能性が高くなります。

すると中国は、自動的に覇権国家になってしまうのでしょうか? そうはなりません。
中国は、
・国家ライフサイクルで成長期を過ぎ、低成長の成熟期に入っている。
・昨年から人口が減少しはじめた。長年の一人っ子政策の影響で、人口減少のスピードは加速していく。
・習近平は、中国に奇跡の成長をもたらした鄧小平を軽蔑し、経済音痴の毛沢東を崇拝している。
これらの理由で、中国に高成長時代は戻ってこないからです。

我々が「バランスオブパワー維持政策」を10年20年つづけ、成功すれば、「戦わずして中国に勝つ」ことが可能になります。私達の願いは、台湾侵攻、日中戦争、米中戦争に勝つことではなく、それらを起こさないことです。


(了)


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Ⅰ.米中関係の変化を読む

2023-07-06 00:00:00 | 政治見解



Ⅰ.米中関係の変化を読む :230706情報


昨年の11月にドイツのショルツ首相が訪中、本年4月にはフランスのマクロン大統領とEU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長が訪中、習近平氏から異例のもてなしを受けたと伝えられています。6月にはブリンケン米国務長官が訪中し、「雑な扱い」の中、習近平氏と会合を持ちました。また、今月6日からは、イエレン米財務長官が訪中する予定で、米中関係あるいはEU諸国と中国の関係に微妙な変化がうまれてきているようです。この流れを岸田政権がどう感じているかは不明です。

なお、余談ながら、デニー玉城沖縄県知事も3日から訪中するようですが、これは世界情勢とは無縁の朝貢の儀式のためのようです。

さて、微妙に変化しはじめた対中関係の米欧についてどう考えるべきか、一つの意見としてこういうものがあるということで、ある政治専門家の意見を掲載することといたしました。私も全面的に賛成しているわけではありませんが、様々な意見は知るべきと思い、掲載いたします。


ブリンケン国務長官が訪中しました。アメリカ国務長官の訪中は、5年ぶり。バイデン政権の閣僚の訪中は、はじめてだそうです。この訪問についてバイデンは「正しい道を歩んでいる」と発言しました。

ブリンケン、バイデンの言動からわかるのは、「アメリカは、中国との和解を望んでいる」ということです。

では、中国側はどうでしょうか?

ブリンケンは6月18日、秦剛外相と7時間半も会談。6月19日は、王毅政治局員と3時間会談しました。6月19日には、習近平とも面会しています。秦剛、王毅はともかく、習近平自身が面会する。中国側も、やはり米中関係を改善させたいのでしょう。

なぜ?


▼米中関係の流れ

2018年10月、ペンス副大統領の「反中演説」から世界は「米中覇権戦争の時代」に突入しました。

2021年にバイデンが大統領になると、懸念が広がります。というのも、バイデンはかつて「親中反日」だったからです。しかし、昔からの読者さんはご存知のように、私は「バイデン政権になっても米中覇権戦争は終わらない。日米関係は、トランプ時代よりもむしろよくなる。」と主張しつづけていました。

で、実際何が起こったのか? バイデンは、米中覇権戦争をつづけました。具体的には、
・クアッド(日本、アメリカ、インド、オーストラリアの枠組み)を強化した。
・AUKUS(アメリカ、イギリス、オーストラリア同盟)を立ち上げた。(2021年9月)
・民主主義サミット(世界109の国と2地域が参加)を立ち上げた。(2021年12月)
・IPEF(インド太平洋経済枠組み)を立ち上げた。(2022年5月)
これらはいずれも、「中国包囲網を強化する動き」です。そして、誰もが、「バイデンは、米中覇権戦争をつづけているよな~」と認めざるを得なくなった。

では、なぜ彼はここに来て、中国との和解に動いているのでしょうか?


▼アメリカが中国との和解に動く理由

大きな理由は、「ウクライナ戦争」です。一つは、「二正面作戦」を回避したい。アメリカは現在、欧州方面で、(直接戦闘はしないものの)ロシアと戦っています。もし今中国が台湾に侵攻すれば、アメリカは、「西でロシアと、東で中国と戦う」ことになり、本当に困るでしょう。

さらに、北朝鮮が韓国に攻め込めば、「三正面作戦」を強いられることになります。中国が動かないよう、ある程度和解しておく必要がある。

二つ目は、中国がロシアに武器弾薬を供与しないようにすることです。

現在ウクライナの反転攻勢がはじまっています。もし中国がロシアに武器弾薬を供給すれば、ウクライナが勝つ可能性は大いに減るでしょう。だから、アメリカは中国に、「武器弾薬をロシアに送るなよ!」と圧力をかける。

すると、中国は、当然「その見返りは?」となるでしょう。アメリカは、「西側陣営の国々と和解することで、経済関係が正常化し、儲けることができる」と飴も与えます。だから、ショルツさんやマクロンさんが訪中し、金儲けの話をするのです。「世界GDP2%のロシアと組むより、世界GDP50%の欧米日と金儲けをした方が儲かりますよ」と。


(午後に続く)


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