田舎の倉庫

Plala Broach から移植しました。

笹本稜平著「漏洩」

2012年11月01日 | 読書三昧


日中の気温も10℃内外とかなり寒いので、屋内で過ごすことが多くなった。従い、本とともに過ごす時間も長くなっている。目下、読書週間の由にて結構なことである。

昨夜も、長い長い日本シリーズ第4戦をわき目に見ながら、結局この分厚い本を読んでしまった。2011年4月~12年2月「小説宝石」に連載された448頁の大作。

物語~企業犯罪を捜査する警視庁刑事部捜査二課の戸田係長は、ある日突然、配置転換を命じられ現場を外される。直後、くも膜下出血を発症して倒れるが、前の晩、彼は古い手帳から何かを大学ノートに抜書きしていた・・・

警察の上層部が民間の悪徳ファンドや政界とも結託して株の仕手戦やファンドへの投資で私服を肥やしていく、というありそななさそな図式に、警察官の不正を取り締まる「刑務」が一矢を報いようと活躍する構図なのだがやはり作り物臭さは拭えない。

ただ、作り物に思わせない笹本氏の筆力は、読者を掴んで離さない。秋の夜長に、エンタメとして楽しむには格好の本と思った。