街に出ると見えてくる!歴史、世界、思想、未来・・・。トーキョーから「今」を読み解く知の散策。
東大教授で著名な政治学者の姜尚中(カンサンジュン)氏が、女性誌「BAILA」上に07年12月から10年5月まで連載した都内約30ヶ所の探訪記をまとめたもので、現代の「トーキョー」を知る上で格好の読みものとなっています。
しかし著者は、3.11以降、その風景も様変わりしたといいます。
以下、序文から転載すると、
"バブルの「欲ボケ」から醒め、身の丈の姿に戻ろうとしていたとき、震災とツナミ、そして放射能と電力不足がトーキョーを震え上がらせることになった。トーキョーはいったいどうなるのか。
それでも、私は悲観も楽観もしない。ただ、高慢なトーキョーでも萎縮したトーキョーでもあってほしくないと願うだけだ。
よそ者にさりげなく目配せし、そっと抱きかかえるようなトーキョー。それが私の願うトーキョーの未来だ。
もしかしてトーキョーはやっとそんな都市へと近づきつつあるのかもしれない。今ほど、暗がりの中で、人のぬくもりが恋しいときはないのだから"と。
現代日本の象徴である「東京」を、「在日」なるがゆえに日本人とは異なる視点で冷静に観察することができ、それが的確な文明批評となっています。ご一読をお勧めします。