田舎の倉庫

Plala Broach から移植しました。

小説力~新田次郎著「蒼氷・神々の岸壁」

2011年08月04日 | 読書三昧

久しぶりに読ませる小説に出会いました。
昭和32年から40年に刊行された表題作に「疲労凍死」と「怪獣」を加えた4編を収める短編集です。

つまり、概ね、半世紀も前に出た本ですが、その小説の持つ力、文章の確かさに魅せられながら一気に読みました(読まされました)。

物語(蒼氷)~富士山山頂の気象観測所に勤務する守屋は、幼馴染で美しい女性理子への思いと、厳しい環境での勤務との乖離に悩む。一方、理子を取り巻く男性たちが次々と観測所を訪れ、彼の面前で命を落としていく・・・

最近の話題作などにはない、硬質の本格小説とはどんなものか知るだけでも価値ある文庫(552円)です。ご一読をお勧めします。