高橋美鈴といえば北海道が輩出したNHKの看板アナです。
かつて『NHKニュースおはよう日本』をはじめ「日曜美術館」「日本の伝統芸能」などの司会や、「NHKスペシャル」「新日本風土記」「美の壺」などのナレーションで全国の “美鈴ファン” を虜にした伝説的女子アナです。
一時は札幌放送局に戻って夕方のニュースなどを担当していた時期もありましたが、再び東京アナウンス室に戻って得意な芸術番組の司会やドキュメンタリー番組のナレーションなどで安定感抜群の存在感を誇っていました。
その後、しばらく顔を見ないと思ったら、今度は甲府放送局へ転勤していました。
つい、ない物ねだりで無性に声が聴きたくなり Youtube を探していたら、ラジオの朗読番組がアップされていました。
ラジオ文芸館のアンコール放送で、作品は角田光代の『誕生日休暇』でした。
内容はともかく、声さえ聴ければそれでよかったのです。清楚で気品と知性に溢れ、数多いる東大出の女子アナの中でも彼女の右に出る者はいないでしょう。
この作品は「だれかのいとしいひと」 (文春文庫)の短編集の中の一つです。
ハワイ諸島の小さなバーでヒロインは男性と知り合い、運命に踊らされた男の「独身最後の夜の馬鹿話」を側で聴く運命になります。
気品と知性に溢れ、あの独特の語り口から発せられる一語一語が心地よく、コロナ禍による自粛疲れを癒すには十分すぎる一時でした。