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中華史観

『今日はなんの日』をやりだし、日中の歴史認識の違いに注意を向け始めて改めて感じた。中共が特に日本に対して力説する歴史認識、これはイデオロギーと民族主義に偏向した「中華史観」とでも呼ぶのがふさわしいものである。これは検索しても出てこない、おそらく筆者の造語なのだろうが使い勝手がいいので使っていきたい。


・日本は再武装をたくらんでいる(中文、環球時報)
http://news.xinhuanet.com/newscenter/2007-07/30/content_6452204.htm

 人民空軍の誇るメガマウス、戴旭大佐の反日電波署名記事。
 F2支援戦闘機が日米共同訓練「コープ・ノース・グアム」で500lb爆弾の実弾演習というだけの事実を、「北朝鮮爆撃訓練」「周辺国は警戒」と大げさに報道したニューヨークタイムズの記事を受けて、後追いで証拠をつくる事にしたのかと思い。ノリミツ・オオニシと環球時報、反日最強マッチポンプコンビ結成とワクワクしたのだが、流石に記事そのものをまともに受けたわけではなく、記事中にリンクが張られたNYT動画を見て書いたようだ。

「日本は秘かに再軍備しようとしており、欧米もやっと気がつきつつある」、というのが結論。軍人らしく結論をを前に持ってきているのだけは分かりやすいが、この大佐ドノは「結論を述べた後に説明する」を「初めから結論がある」と勘違いしておられるにちがいない。
 いやそれ以前に、論理的思考できないからなのか、とにかく論理展開ができないようだ。


 簡単に訳してみる。
「日本は秘密主義の侵略主義国家である。なぜなら16世紀の豊臣秀吉、1927年の田中上奏文があるからだ。
 日本は唐の時期に【海戦】(原文ママ、白村江の戦いか?)で負けてから清朝まで一千年耐えた。ペリーに屈服してから真珠湾まで百年耐えた。
 第二次大戦無条件降伏後、アメリカから三権分立などの政治システムを恵んでもらい民主主義の一員のような顔をしているが、裏では民族主義の牙を研いでいる、なぜなら靖国神社があるからだ。」

 日本がいかに秘密主義の侵略主義国家であるか、を説明するのに悉く「歴史的事例」を持ち出してしまったのは根本的な間違いであり、その事例が中華史観の勘違いであるところが輪をかけて間違っている。それでもまだこのあたりは結論の論拠を述べようとしているのが伺える。

「戦後日本はアメリカに服従して国力をつけ、冷戦終結後覇道をむき出しにしたアメリカの尻馬にのり、対テロ戦争で軍事政治大国の夢想を始めた。」

 何故か、いかに日本は対米追従路線をとったかを力説し始める、秘密主義も侵略主義もどこへやら、この一文で描かれる日本像は単なる親米国家でしかない。

「日本の製造業はあなどれない、多数の原発があるので核武装も容易だ。偵察衛星、護衛艦、MD、かつて日本の軍事力と軍備は西側を驚かした、今日では誰も日本を軽視しない、これからも日本には驚かされるだろう。
 20世紀アメリカは戦わずにソ連を屈服させた、日本だけが瀕死の状態から今日世界の超大国になった。これこそが明治維新以上の大戦略であり。60年あまりの遁世ののち、日本は再び世界にそびえる大国となったのだ」
 
 ここまでくると「大日本帝国万歳」を付け加えたくなる。


 軍人は戦争に勝つのが仕事であり、そのためには論理的思考ができなければならない、なおかつ説明も論理的かつ明解にできなければならない。筆者は軍人ではないがこのように考えている。
 戴旭大佐といえばネット上に戦略論文を発表している軍人のようだが、人民解放軍の将校教育というのはいったいどうなっているのだろう。

 押し付けられたテーマ(=結論)に反発するために、あえて論旨をグチャグチャにし、終いには日本賛美とも取れる文章にした、という深読みでもしないと説明がつかない。


<<参考>>
Bomb by Bomb, Japan Sheds Military Restraints [By NORIMITSU ONISHI Published: July 23, 2007]


 

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安倍以降

 自治労が責任を負うべき年金問題で、自民党が濡れ衣を着せられた、日本の民主主義が正常に機能していることが実証された参院選について。
 気が早いというか、極端というか、もし安倍が辞めたら次の首相は誰かという記事が新華社にでていた。
http://news.xinhuanet.com/2007-07/30/content_6447024.htm

1.麻生
2.谷垣
3.福田
4.町村
5.小池
6.小泉

2~3あたりに願望が透けてみえるところが涙ぐましい。
 麻生が一位にくるくらいの認識はしているところが、したたかとはいわないまでも、まあまあ現実的。
 中共にしてみたら、安倍続投の方がまだましなのだろう。


 それにしても、民主党は参院与党になった訳だが、与党として年金問題に取り組む以上原因である自治労を見捨てるしかない。自治労

を見捨てて、民主党が次回の衆院選で勝てるのだろうか?
 人事ながら心配でならない。

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中国包囲 網 というほどでもない


・外交部、正常な貿易を武器密輸に関連付けることに断固反対
http://www.pekinshuho.com/zxnew/txt/2007-07/27/content_70579.htm

中国外交部の劉建超報道官は26日、「中国は正常な貿易協力を武器密輸に関連付けることに断固反対する」と語った。

イラク駐留アメリカ軍の報道官はこのほど発表した「アメリカ軍は、中国製兵器がイランを通じてイラクの反米武装勢力に輸出されたことを発見した」という言論に対し、劉建超報道官は、「中国政府は武器の輸出に対して、一貫して慎重かつ責任のある態度をとっており、軍備輸出の三原則を厳守している。この三原則は、輸出先の国の正当な自衛能力にプラスになること。その地区や世界の平和、安全、安定を損なわないこと。輸出先の国の内政に干渉しないことだ。中国は絶対に国家ではない団体や個人に武器を輸出せず、安保理が武器輸出禁止令を出した国や地区に輸出しない」と語った。

劉報道官はさらに、「最近、一部の国は中国と他の国との正常な貿易を武器密輸だと勝手に連想している。これは意地の悪いずるいものの見方だ。中国はこれに強い不満を示し、断固反対している」と語った。

要旨:中国は正当な商取引として武器を輸出している。


 イラクでは反米武装勢力が中国製の武器で武装している。経路をたどっていくと、中国が正式にイランに輸出したものが密輸でイラク国内に流れている。
 そこでアメリカが中国に対して、イラクの武装勢力に渡すような相手には武器を売るな、といっている。

 発想が「補給を叩く」といういかにも軍事的なものであり、米軍関係がシンプルに不満を述べたものと思われる。
 工業国で武器を輸出していないのは日本くらいなので、上記のように開き直られるとそれ以上は突っ込めない。

 この件については、秦剛が10日に「中国製の武器などない」と言い切っているが、並べた原則は劉建超と同じなのでいまひとつ突っ込みきれない。

・中国の軍用品輸出、平和安定など3原則厳格に守り実施
http://www.newschina.jp/news/category_1/child_1/item_4666.html


「中国から武器を貰ってテロに使った」などという、アルカイダメンバーの「証言」だけでもあれば違ってくるだろう。

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7月26日

・新華社
http://news.xinhuanet.com/politics/2007-07/26/content_6426467.htm

 1945年7月26日、中、米、英三国はポツダム宣言を発表、日本に無条件降伏を促した。28日、日本はポツダム宣言黙殺を表示した。


・日本政府の認識
http://www.ndl.go.jp/constitution/etc/j06.html

一、吾等合衆国大統領、中華民国政府主席及「グレート・ブリテン」国総理大臣ハ(略)

 大日本帝国の朝鮮併合を例に出すまでもなく、国際法というものは、結局は国際的な力関係の事後承認に他ならないので、中華人民共和国が中華民国の主権をいつどのように移譲したか、を考えるつもりはない。
 ただし、清国までも「中国」を表記する感覚は、実に民族主義的だと思うだけである。(ご存知のとおり清朝は異民族政権なので、正確には民族主義ですらない。正確には中華主義というべき)

 

 さて、筆者は製造業で働いている。ここ1週間、中国の顧客からのクレームが多い。どれも仕様内の性能には問題がないものか、客先の工程内でついたものと思われるようなものばかり。
 ちなみに05年、反日が盛んな時にもクレームが増えていた。
 どうやら品質には品質で対抗するつもりのようだ。

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柏崎の件


・朝日社説7月26日
http://www.asahi.com/paper/editorial20070726.html#syasetu2

原発の損傷―調査に時間を惜しむな

 傷は、そこまで及んでいたのか。
 新潟県中越沖地震の直撃を受けた東京電力柏崎刈羽原子力発電所で、6号機の原子炉建屋の天井クレーンに破損が見つかった。
 6号機は定期点検中だったが、運転中なら核反応が進む炉の真上でトラブルが起こったことになる。そう考えると、改めてぞっとした。
 東京電力によると、壊れたのはクレーンを移動させる部分に限られ、この破損によって300トンを超えるクレーンそのものが下に落ちることはないという。
 だが、たとえそうであっても、軽く見てはいけない。
 この破損は、建屋の天井付近の揺れの激しさを物語っている。一見しただけではわからない傷やひずみが、クレーンの本体や周りに発生しているかもしれない。6号機だけでなく、別の原子炉のクレーンで似たようなことが起こっている恐れもある。
 原発にある構造物は耐震設計上、重要度ごとにA~Cクラスに区分されている。天井クレーンはBだった。
 しかし、原発のような巨大システムでは、周辺機器の損傷が回りまわって心臓部のトラブルにつながりかねない。
 重要度がそれほど高くないとされる個所の異状も、つぶさに調べ上げる必要がある。そのうえで、最悪の場合には、どんな連鎖的な被害が起こりえたかまで考えなければならない。
 今回、地震の発生直後にわかったのは、変圧器の火事だった。その後、放射能を含む水が外部に漏れるなど、60件を超える被害が次々に明らかになった。さみだれ式に見つかるには理由がある。
 原発は火力発電所や工場とは異なり、危険な放射性物質を扱っているので点検に手間がかかる。クレーンの破損も、周りの放射能汚染を除去した後に専門家らが近寄って気づいたという。
 今後、東電は原子炉の釜ともいえる圧力容器のふたを開けて、中の様子を調べる方針だ。圧力容器内の点検は、被曝(ひばく)の危険がきわめて高いので、カメラを遠隔操作するなどして進めることになる。
 だが、圧力容器の点検作業のためにも、まずはクレーンをきちんと調べ、破損個所を修理しなければならない。
 この原発の7基すべての点検と安全確認を終えるまでには、少なくとも数カ月はかかりそうだ。
 運転再開には、地元の了解も欠かせない。会田洋・柏崎市長は消防法に基づき、所内の燃料タンクなど危険物施設の緊急使用停止命令を出している。
 今回の地震被害は、たとえ原子炉本体の異常による大事故が起こらなくても、原発には長期に止まる危うさがあることを浮き彫りにした。
 だが、時間をかけて小さな傷を拾い上げることは、破局的な災害を防ぐことにつながる。そのための稼働停止は、安全の費用と考えるべきだ。


 あいかわらず論旨のはっきりしない文章なのだが、思っていたより損傷が少ないので悔しがっているようにも読める。
 ここ数日の社説をみていると

・火災が発生するから原発は危険
・消防車がすぐこないから原発は危険
・原子炉本体は壊れなくても、長期にとまるから「危うい」


 環境問題に関する明確なビジョンがあるわけでもないし、これまでおもねってきた経緯から原発はとりあえず悪く書いておけばいい、この程度の低い認識しかないのが明らか。当然、夏涼しく、冬あたたかく、夜は明るい今の生活を維持できるだけの電力を、どのような代替エネルギーでまかなうつもりなのか、代案の提示はなし。
 もし地震という天災で大惨事になったとしたら、大喜びで東電と政府を叩くのだろう。
 

 私見を述べれば。
 真下で断層がずれたにしては大した被害になっていない、物理的には(たとえテロに対しても)かなり安全なつくりであることが実証された見てよい。
 一番いいのは1960年代くらいまで生活のレベルを戻すのが理想。

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今日という日

・新華社
http://news.xinhuanet.com/politics/2007-07/25/content_6426583.htm

 1894年7月25日、日本は朝鮮、中国侵略の野心を実現するため、宣戦を布告せずに朝鮮の牙山口外、豊島に中国海軍北洋艦隊を奇襲。高昇号が日本艦に撃沈され、艦上にいた千余の将兵は勇敢反撃、壮烈に殉国した。清政府はやむなく8月1日に日本に対して宣戦、甲午戦争が正式に始まった。


・日本の認識(別宮暖朗氏による)
http://ww1.m78.com/sib/hoto%20battle.html

日清戦争の危機が迫るとともに、連合艦隊(伊東佑亨)は、別に高速艦三隻一吉野.・秋津島・浪速一をもって第一遊撃隊(坪井航三)を編成し、牙山方面に向かわせた。
1894年(明治二七年)7月25日に牙山方面に到着すると、豊島から三艦が進行してくるのが認められた。済遠.・広乙の二隻が確認された。これからが緒戦をなす豊島沖海戦である。
吉野が済遠に発砲し、海戦が始まった。済遠の艦橋はすぐに破壊され、9時までに形勢は日本側優利となり、坪井は単艦をもって、逃げる各艦を追跡させた。


吉野が済遠を追い、秋津洲.・浪速は広乙を追い、座礁させた。ただ、吉野は理由は不明だが済遠を取り逃がした。すると霧のなかから、操江(木製590トン)と英国旗をかかげた高陞号が現れた。秋津洲はただちに操江を追い、鹵獲した。
浪速は高陞号に停船を求め、臨検を開始した。


 船長に反乱した清兵が「勇敢反撃、壮烈に殉国」してしまうあたり、共通の歴史認識なるものがいかにナンセンスか、という一例。
 封冊と軍事同盟の違いは理解しているつもりだが、日本人としては、清国が朝鮮に北洋艦隊を置いていたことを、さも当然であるかのように書いているほうが気になる。

 これは認識の差が分かりやすいので、折を見てシリーズ化してみよう。


 軍事的には、台湾が金門島から兵力を引き上げようとしているニュースが興味深い。

・台湾、金門島の駐屯兵力を大幅削減=台湾紙(和文、朝鮮日報)
http://www.chosunonline.com/article/20070725000002

 台湾当局は、中国福建省アモイ沖の、台湾が統治する金門島に駐屯する兵力を11月に大幅削減する計画を固めた、と中国時報など台湾各紙が24日までに報じた。

 今回の兵力削減が実施されると、冷戦時期に10万人を超えた金門島の兵力は、わずか数千人を残すだけとなる。

 兵力削減計画は、金門島の戦略的価値を検討した上で立てられたもので、台湾当局首脳の指示により準備が進んでいるという。

 これについて、台湾国防部の盧思祖報道官は、兵力配置に関する論評は行わない慣例に従い、報道内容の確認を避けた。

 兵力大幅削減と同時に、金門島防衛司令部砲兵指揮部は砲兵群に格下げされるほか、陸軍の金門東部119旅団と金門西部127旅団はそれぞれ、金門東部守備隊、金門西部守備隊にそれぞれ格下げされる。部隊の指揮官も少将から上校(大佐)に変更となる。

 台湾本島から278キロ離れた金門島は、中国大陸からわずか2.4キロの位置にあり、蒋介石元総統は大陸反攻の前線基地と位置付けてきた。

 しかし、台湾出身の李登輝前総統が就任して以降、現在の陳水扁政権に至る過去10年間に、金門島の駐屯兵力は段階的に削減されてきた。部隊編成も師団級から旅団級に格下げされ、今年2月に部隊長の名称も司令官から指揮官に変更されていた。また、今年4月1日には金門島に駐屯する南雄584装甲旅団が台湾本島へ秘密裏に移動した。

 今回の大規模な兵力削減と駐屯部隊の編成格下げが完了すると、金門島は部隊編成上、馬祖、澎湖、花東の各防衛司令部と同格になる。

 軍消息筋によると、兵力削減後、金門島には守備部隊、砲兵部隊、装甲車大隊、上陸特戦大隊、ミサイル部隊が引き続き駐屯するが、火力などを補強し、以前4個旅団が駐屯していた当時に比べ1.5倍の戦力を持たせるという。

 台湾当局による今回の措置は、陳水扁政権による台湾独立路線の一環とみられる。蒋介石元総統が金門島の死守に全力を挙げ、生前に最低年1回は前線視察を行っていたことと比べると好対照だ。


 金門島は、アモイの目と鼻の先にあり、もし国民党が大陸に反攻する場合には足がかり足りえる島といえる。
 ここに来てそこから兵力を引き上げる、ということは軍事的には戦線の整理、に他ならない。政治的には大陸からの独立、を改めて宣言するものといえ、門前払いされた台湾名での国連加盟とは当然連動しているだろう。
 いかなる形であれ、共産党がここに侵攻したりしたら面白い。

 なぜか日本のマスコミは沈黙している。

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価値観の違い

 特別攻撃に関する私見。
 大西中将のいうとおりあれは「統帥の外道」であり、軍事的な意味はないただの自殺強要にすぎない。だからといって、戦争の荒廃と祖国の間に身を投じた、投じようとした人々は倫理的には賞賛されるべきであり、まして侮辱することは許されない。

・神風特攻隊員「我々は騙された」(中文、新華網)
http://news.xinhuanet.com/world/2007-07/23/content_6417137.htm

 日系米人監督のドキュメンタリー『特攻-TOKKO-』についての新華社の記事が、上記になる。
 本編は見ていない、ネットなどで調べると、自分の叔父が特攻隊の生き残りであったことを知り、「自爆テロを「カミカゼ攻撃」と呼び、狂信的な自殺攻撃を日本の「TOKKO」とイメージを重ねる米国の風潮に違和感を持」ったことを動機に作成したようだ。むしろ予見を廃し、生き残りの方の意見を淡々とまとめた映画に思える。

 タイトルに持ってくる証言に「生きたかったよ 死にたくはなかったよ」ではなく「我々は騙された」を選んでいる時点で、既にバイアスが掛かっているのは理解できると思うが、記事の内容も特攻を単なる「狂信的な自殺攻撃」として侮辱するもの。
 日本軍の行動は全て悪、という歪んだ教育ばかりを受けてしまうと、目の前の作品を理解することもできずこのように不道徳なことも書けるようになるという一例。(恐らくこの記事を書いた記者も、本編は見ていないと思うが)
 かといって、筆者はこの記事の尊敬しかねる価値観を指摘する気はなく、むしろそれを全世界に曝け出してもらった方がよい。

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日経の信憑性に関する杞憂

 新潟県中越地震で、部品工場が被災し日本中の自動車工場のラインも止まっている。ここまでシビアな在庫管理を可能にするのも、日本式製造業のノウハウの一つである。
 原発の火災には文句をつけるマスコミも、自動車会社のライン停止には文句をつけない、問題点の見方が違うのだろう。


 昨日の記事「フェアプレイは理解されない」の続報。
 筆者の論旨:中国相手に品質問題対応のノウハウをタダで教えるなどとんでもない。
「もし本当にその動きがあるのだとしたら」として、上記の旨を書いたのだったが、杞憂だったらしい。

・経済産業省ニュースリリース
http://www.meti.go.jp/press/20070720004/i_press.pdf

 上記は20日に行われた会合のエビデンスになる。
 一読した限り、あくまでも淡々と「消費者の権利を守るように、普通にやるべきことをやっている」印象。逆に真綿で首を絞めるような印象をうけ、鳥肌が立った。
 注目したいのが、アメリカ当局と緊密に情報交換を行っている事実が読み取れる点、やはり今回の中国製品に対する動きは、情報戦争なのではなかろうかと思えてくる。

 さて、次はどこで手が緩められるかに注目。
 あまりあからさまに打ちすぎて、品質改善に取り組まれては逆効果なので、いつの間にか静かになるというパターンがベターだと思われる。

 国民性、政治体制からするとこれも杞憂かもしれないが、相手を過小評価するべきではない。ことによったら、日経を逆手にとって品質管理について間違った教え方をしてもいいかもしれない。

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そもそもフェアプレイは理解されない

 中国製品について、20日官邸で官民の対策会議が開かれた。
 産経の報道による限り、政府が中国政府に申し入れながら、民間は危険な製品が入ってこないよう警戒を続ける、という多分に受身な会合だったように見える。

・政府、中国に協議申し入れへ 中国製品の安全性で(和文、産経)
http://www.sankei.co.jp/seiji/seisaku/070720/ssk070720004.htm

 ところが日経を見ると、一歩も二歩も踏み込んで、問題が派生しないよう中国に支援をおこなう、とまで書いている

・中国製品、安全確保へ技術支援・政府検討(和文、日経)
http://www.nikkei.co.jp/china/news/20070720d3s2001w20.html

 政府と関係業界団体は20日、首相官邸で「輸入品の安全確保に関する緊急官民合同会議」を開き安全確保策を協議した。対策は(1)中国などとの情報交換・連携(2)予防措置(3)問題発生後の措置――が軸になる。

 外国政府との連携では、中国政府との実務者協議を開催。予防措置としては情報提供の強化に加え、安全確保に関する技術面での支援を検討している。問題のある製品に関し日中共同で生産、流通、輸出などの現場を調査。原因を突き止め改善に必要な技術などを中国側に提供する仕組み。

 日経はあからさまに中国にこびる傾向があるのでこの記事の信憑性が不明なのだが、もし本当にその動きがあるのだとしたら。製造業にとって、問題が発生した場合の原因解析から再発防止までのプロセスは各社のノウハウの塊、コンサルティングとして一つの市場が成立する分野であり、それを「提供」するというのはいたれりつくせりといってよい。
 スーパーから買ってきた商品が悪くなっていたらどうするだろうか、日本の消費者なら最低でも代金を回収しスーパーの対応が悪ければそこは利用しないだろう。知恵のついた(左翼系の消費団体に多いようだが)消費者なら、「消費者運動」を盛り上げ、損害賠償をとろうとするだろう。資本主義社会の消費者としては、それが正しいありかたであり、まちがってもスーパーに手弁当で要因分析から対策まで教えてやる奇特な人はいない。
 ましてや、連日質総局の局長が「中国製品の安全」を声だかに叫んでいる現状でそんなものを提供したところで、ノウハウ(とおそらく資金)だけを盗まれ感謝されるどころか次回も同じ事をやられるのは明らかである。

 先日書いたように、今回の中国製品に関する騒動がどこかの広報活動を発端とするのであれば、ここで敵に塩を送る、手を緩める意味はまったくない。
「水に落ちた犬をこそ打つべき」と書いたのは魯迅だった。昔読んだ時にはかすかな反発を覚えたものだが、ここ十数年の日中間のやりとりをみていると、彼等に対しては、譲歩する、恩を売る、という感覚が全く通用しないのがはっきりとわかる。 
 今は政府は消費者の権利を守るように、普通にやるべきことをやっていればいい。
 打つのはマスコミがやる。それにしても「溺れかけている犬を滅多打ちにするのが大好きな」消費者団体が、中国製品に関してはおとなしいのはそういうことなのだろう。


 

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中国観察陰謀オタク風味

・上海製菓子から有害物質検出されず SGSが検査(和文、人民網)
http://j.people.com.cn/2007/07/20/jp20070720_74027.html
・中国製玩具、全米で約100万個自主回収 やけどの報告(和文、朝日)
http://www.asahi.com/international/update/0720/TKY200707200073.html

 プロパガンダ、アジテーション、ロビー活動、報道等々、国家がその政治的目的を遂行するために行う広報活動は、広い意味では諜報に含まれる。先日書いたように、中共は内外に対して広報活動を強力に行っており、その政治力の源の一つといってよい(もう一つは核兵器である)。
 数年の時間をかけて、在米の華僑団体を通じて日系議員を動かし、慰安婦非難決議案を下院外交委員会でとにもかくにも可決したのは、日米離反という立派な広報活動の一例をいえる。もっともこの「離間の計」は、中国の古典を読めば必ず出てくる様式美すら感じさせるもので、個人的には今更「はかりごと」と呼ぶのも恥ずかしいような気がしないでもない。
 実際(しつこく仕掛けたのもあるにせよ)効果を上げているので、あまりくそみそにも言えないわけだが。

 諜報というと剣呑な響きを帯びるが、民間の広告宣伝と本質的に変わるものではない。不特定多数の人間の思考をわずかに方向づける、のが目的なので、先進国家においてはむしろ民間の技術の方が優れているとも考えられる。
 メラミン入りペットフード入り報道以来立て続けになされている中国製品風評被害、はこの民間技術を応用した広報活動の一例といえる。
 数例の「真実」を提示するだけで、後はマスコミ、消費者が勝手に次の目標を見つけては騒ぎ立てる、ある特定の地域にネガティブイメージを刷り込むだけでなく、産地としてのそこを潰す実に効果的な手段である。
 中共の担当者は頭を捻っていることだろう。今現在も米下院においては日本非難の決議がされようとしているのに、アメリカ国内で中国製品が次々と回収され、中国のイメージがどんどん悪くなっているのだ。日本がやったらしいのは、首相が大統領に謝意を表明し、議員が新聞広告を出したくらい、どちらも諜報音痴の日本らしく日本の国益には逆効果としか考えられない。
 それなのに、いくら「中国政府」が安全宣言を出しても、マスコミを非難してもまったく状況は変わらない。

 次の記事が出ていたので、陰謀論じみた内容を書いた。

・中国製品脅威論、は西側のはかりごとだ(中文、青年報)
http://news.xinhuanet.com/world/2007-07/20/content_6402829.htm

「はかりごと」を原文では「陽謀」と書いている。陰謀に対して「あからさまなはかりごと」ということらしい。
 記事の内容は中国製品が火達磨になっているのは、中国製造業に脅威を覚える西側の企みだ、という陰謀論そのもの。
 全世界の三分の一を占めていた中国(注:清国ではない)のGDPが、アヘン戦争で世界の6%に落ちたように、今中国が巨額の貿易黒字を抱えているので、また攻撃をしかけられているのだ、などとも書いている。
 とにかく風評被害について「中国は悪くない」、といいたいらしい。

 問題発生のタイミングが良すぎるとは思うが、今回の風評被害が陰謀かどうかは筆者は判断するすべをもたない。いくら市場経済を導入したところで、民主主義を認めず、自由を認めず、政府が情報を統制する体制では、(作りだされたものであれ、自然に発生したものであれ)この手の事態を収拾できる説得力は得られないのははっきりしている。そもそもそのような社会からは、この手の事態に対応できる人材も発想も生まれてこないと思う。

 

今日の名言:
「中国の基本国策は常に環境保護と資源節約」
http://j.people.com.cn/2007/07/20/jp20070720_74038.html

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