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盧武鉉さんの名言集

 好きなんですよノ大統領、深く考えないで発言するところが。ブッシュ(Jr.)親爺とどっちが好きかな?ノの方が泥臭くていいかな、ブッシュ(Jr.)親爺は馬糞臭そう。
 で、ノの発言をまとめてみました。もっと楽しい発言があったと思ったんだが、以前にまとめたファイル消しちまった、もったいない事をした。

 就任したばかりの頃のノさん


2002年

12月20日
「政治は変わらなければならない、議事党には派閥しかなく、マスコミには冷笑しかない。また、国民の間には悲観主義が漂っている。これを乗り切れなければ、大韓民国の新しい未来はない」
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2002/12/20/20021220000021.html
第16代大韓民国大統領当選者 盧武鉉

2003年

4月15日
「金大中政権の失敗過程が繰り返されているという印象を受ける。憂鬱だ。不安だ
5月21日
「大統領をやっていられないという危機感を感じる
5月23日
「大統領府が時々刑務所のように感じることがある」
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2003/05/27/20030527000074.html

10月28日
「歴史に残る大統領にはなれなくても、恥ずかしい大統領にはならないと、固く心に誓った」
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2003/10/28/20031028000034.html

2004年

4月15日
「毎日心を空にするため瞑想をしていますが、瞑想をしていると祈りになります。皆さんも投票してください」
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2004/04/15/20040415000061.html


2005年

3月23日
「日本は自衛隊の海外派兵の法的根拠を設け、再武装の論議を進めている。われわれに過去を思い浮かばせ、未来を不安にさせる行為」
「日本との厳しい外交戦争もありうるだろう。今度こそ根絶したい」
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2005/03/23/20050323000042.html

4月10日
「日本の態度は人類社会が共に追求すべき普遍的価値にそぐわない。侵略と加害の過去を栄光と考える人たちと一緒に生きるのは全世界にとって大きな不幸」
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2005/04/08/20050408000032.html

4月27日
「韓国と日本は東北アジアの未来をともに切り開いていくべき共同運命体。その未来は疑いようもなく平和と共存」
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2005/04/27/20050427000008.html

5月21日
「引退したら自分の子供たちがその子供たちを連れて行くことのできる農村や田舎で暮らしたらどうだろうかと考えている」
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=63756&servcode=200&sectcode=200

8月18日
「いっそ
『植物大統領』
にでもなりたい心情だ」
http://japan.donga.com/srv/service.php3?bicode=080000&biid=2005081903438

8月24日
「改革が成功できなければ小泉内閣の存在価値がない、との判断があるのだろう。(勝負に出た首相が)まったくうらやましい」
「党を懸けて勝負することもできず、(大統領の)いすを懸けて勝負することも制度化されていない」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050824-00000265-kyodo-int

8月25日
「(ハンナラ党が)連立政権では頭が痛いだけだから、権力を丸ごと渡せというのなら、検討する
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2005/08/26/20050826000009.html

8月31日
「ここまでで盧武鉉時代の幕を下ろしたいと思う」
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2005/09/01/20050901000001.html



第16代大韓民国大統領 盧武鉉


 植物大統領直前のノさん

 腫れがひかず痛々しいノさん
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季節というもの

 文面はうろ覚えであるのだが、魯迅に「北京には夏と冬しかない」という文章を記憶している。
 魯迅の、例えば『故郷』『狂人日記』といった、自国民に歯ぎしりしているような小説を読んでいると、思わずなにかの隠喩だろうかと勘繰りたくなる。が、上記の文章はあくまでも随筆のようであったので、誉め言葉でもけなし言葉でもないだろう。
 魯迅の故郷である紹興、を含む江南地方では割合に四季がはっきりしている。そういった場所で生まれ育った人間にとって、北京はまさに「夏と冬しかない」土地に思える。
 85年から4年間、筆者は北京に滞在していたが。昨日までほおを切るようだった寒風が、今日は熱風になっている、といったような季節の反転には、最後までとまどった覚えがある。
季節感から言えば、北京には極寒と酷暑というはっきりとした季節があり、逆にわかり易い。

 季節感の無い土地―――――――。
 より正確に書くならば、四季がはっきりしている土地にたまたま生まれ育った人間にとって季節の変化を捉えづらい土地、といった場所の方が地球の表面積からするとそうでない場所より多そうであるが、多分の偏見を交えて書くならば一年中寒いか、一年中暑いかの2種類がある。
 それでも、一年中寒い場所には「多少暖かくなったかな」程度の季節感はあるらしい。
 もともとそういった土地は、ヒトが暮らしやすい場所ではないので、他所者にとっては「なんか最近そんなに寒くない」程度でも、その土地に暮らす人々の季節感を満足させるに充分であろう。
 もっとも、寒い土地での「比較的暖かな」季節とは、季節感を味わうためだけのものでは決してない。
 ヒトという種が発生したのは、反対に一年中暑い場所だろうといわれている。
 そういった土地でも地理学的に季節はあることになっており、「雨がよく降る、あまり降らない」で季節を分けている、らしい。
 眉唾である。
 そもそも、中学校の教科書で習う「世界の気候」などというものは、比較的季節のはっきりした土地に生まれ育った連中が、自分等の都合よく区分する為に勝手に付けたものであり、そこに住んでいる人間は季節など考えた事もないと筆者は断言する。
 理由ははっきりしており、一年中暑い場所はヒトが生きていくのに適しているからである。遊んでいても生存できる、といってもよい。
 生活、極論すれば生命、に影響を与えうる環境の変化、に対してヒトという種は学習、適応能力をもっている。これはヒトに限ったことではなく、現在の時点で地球上に生存している全ての生物は、結果論として環境の変化に適応してきたからこそ今そこにいるのだといってよい。
 対偶として、絶滅した種はなんらかの形で(変化が急激すぎる、種としての適応能力に不足があるなど)環境の変化に適応できなかった、となるが。これは水槽の淡水魚を海に放すなどという無益な殺生をせずとも、水をはった洗面器に顔を突っ込んでみればすぐに体感できる。
 季節という環境の変化が生活に影響を与えうる、からこそ季節の変化を認識しなければならないのであって、一年中暑い場所においては降雨量の過多程度では衣食住に困ることはなく、そもそも季節を分ける必要がない。ヒト以外の種はもっとあからさまで、年に一回しか発情しないはずの犬猫も、一年中発情している。あえて尾篭な表現をすれば、まさに365日朝から晩までさかっている。
そのような土地に生まれ育った人間が季節を認識できるとは、筆者には考えられない。もっとも、当人達にしてみれば「生活に困らないのならば、別にいいじゃないか」となるのだろう。

 地球が球形でありかつ自転軸が公転面に対して傾いているため、地域によっては地球の公転軌道上の位置関係から(すなわち年間を通して)、単位面積・時間あたりの太陽熱輻射量に過多が生じ気温が上下する。(くどいようだが)地球上の地域によっては、この気温の上下はおおまかに四分できるので、それぞれに名前をつけたものが季節といえる。
 確かに、季節を認識する必要のない地域に生まれ育った人々が、それを認識できないのは彼等の責任ではないし、他所者の筆者が口をはさむ事柄ではない。なんといっても当人が困らないのだから。
 地球は、1周公転する間に365.25回自転する。1回自転する間が1日であり、1日を12の2倍で分割したのが1時間、更に12の倍数で分割していったのが1分であり1秒である。
 余談だが、なぜ12かというと1日を分割する事を思い付いた人間、または連中、の片手の指が6本だったからだろうと考えている、根拠はまったくなく妄想に限りなく近い。
 季節を認識する必要のない地域における時間感覚は、地球の公転というより自転が基準となる。つまり、暗いか明るいかの区別しかつけられない。
 そこでの一生とは、生まれてから死ぬまで、一年単位の繰り返しで年をとっていくものではなく、今日と同じ明日が永遠に続いていく錯覚にすぎない。
 そこに生まれ育った人々は、それでも困ることはない、むしろ幸福である、なんといっても年をとる気がしないのだから。
 季節感のはっきりしている地域に生まれ育った人が、そういった場所にいくとその錯覚はより大きいものになる。雪が降るとか、梅雨があるとかのステレオタイプではなく。一年を通して窓外の風景は変わらない、風が変わるわけでもない、渡り鳥が姿を見せるわけでもなく、虫が鳴き始める事もない。
 判でおしたような毎日が強制的につづく環境。
 そのような環境に放りこまれた、季節感のはっきりしている地域に生まれ育った人は、よほど気をつけていても季節感を喪失し、やがては年、月、週単位の時間感覚までをも、浦島太郎のように喪失していくのである。
 一年中暑い場所の紫外線は、当然ながら強烈である。それは当人の錯覚など関係なく、露出した肌を焼く。
 環境の変化に対して、ヒトという種は適応能力をもっている。
 強烈な紫外線に適応した結果としてメラニン色素が増え、皮膚は厚みを増して硬化し、毛穴は全開となる。しみ、皺が増え、毛穴が目立つようになるといってもよい。
 一言でいって、老ける。当人の錯覚はどうであれ。

 まさに浦島太郎である。
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伝統

 いわゆる高度経済成長以降、中産階級の成立により日本の大家族制は崩壊したといっていい。それに伴い特殊な、例えば家業として伝統芸能に従事している血族、を除いて家庭における伝統も無くなったのではないか、そう思う。
 善し悪しではなく、雨が降った天気がいいといった性質の事柄だと筆者は考えている。
 筆者は、昭和41年に生まれた。筆者の父は農家の次男坊であり、大学を出て教職につき独立して家を建てた。おそらく筆者の父が育った家庭では、未だに時代的に「家庭の伝統」が色濃く残っていたに違いない。
 筆者が育った家庭では、特に「家庭の伝統」といった一見封建制の残滓じみた雰囲気はなかったように思える。ひとつには、昭和30年代に学生時代を過ごした人々に共通するあの麻疹のような気分、これもまた後世の筆者にしてみれば時代の雰囲気になってしまっているのだが、がそれを自分の家庭に持ち込ませなかったのだろうか、と想像したりもする。
 家庭における伝統は姿を消しているように思えるが、視野を広げて日本民族としての伝統といった場合になると、前述したそれを守りつづける一族の例をひくまでもなく、一般家庭においても散見される。
 お宮参り、七五三、結婚式、葬式とざっくりごく一般的な現代日本人の一生をみても伝統が家庭に入り込んでいる。ただしこれらがいつ頃から始まったのか、手元に資料がないので日本古来の風習なのか自信がない。
 筆者の乏しい知識のなかで、確実に古い起源を持つと言いきれる日本の伝統に「端午の節句」がある。
起源を遡ればそもそもは男子の節句であり、蓬、菖蒲で邪気をはらう日であった。いつしか中国の憂国詩人、屈原を弔う風習、おそらくは中国南方の、と混合し幟を飾り粽、引いては柏餅、を食するようになったと思われる。
 21世紀の今日、5月5日は男子のある家庭では、ほとんどがなんらかの形で鯉のぼりを飾り、柏餅を食し、五月人形を飾る。筆者が想像するに、起源は上記のようであっても、現在のような形に落ち着いたのは、ほとんどが前述した大家族制の崩壊と同じ頃であろう。つまりは、それぞれの業界が、新たにつくり出した「伝統」なのではなかろうか。消費者がある程度の余裕を持っていなければ、新たに作成された「伝統」も根付かないからである。
 「家庭の伝統」の消滅とともに「新たな伝統」が創出され、社会に受け入れられているところに、戦後日本社会の面白み凄みと、そして若干の哀しみを感じてならない。
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比加鼠

原文

元禄の昔 深川に怪しき鼠 出ず
浅黄にて 尾鍵の如く 耳長し
某家が猫 此れを喰らはむとて 戯れたるに ひかひか とて えれきてるを放つ
猫 魂ぎりて 逃げかへりたり
人 怪しみて 此れを 比加鼠 とぞいふ

現代語訳

元禄の頃、深川に不思議なネズミがでた。
色は浅黄色で、尻尾はギザギザになっており、耳は長い。
ある家で飼っている猫が、このネズミを食べようとしてじゃれかかったところ、「ヒカヒカ」といいながらエレキテル(電気)を放った。
猫は驚いて逃げ帰った。
人々は不思議に思い、このネズミを「比加鼠」と名づけたという。


「比加鼠」
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持久走

 ステロタイプなものの見方は、個体差を無視した乱暴な方法である。
それでも我々は、ステロタイプなものの見方を捨てようとはしない。おおまかに概要をつかむ分には多少なりとも有効だからであり、それが階級特性という意味で真実を含んでいるからであり、なによりも(真実を含んでいる分)面白いからである。
 エスニックジョークになるとその傾向は顕著で。
・ 日本人は皆ニンジャであり、赤丸を染めたヘアバンドを締め、ハラキリとカミカゼをしながらバンザイアタックをしかけてくる。
・ アメリカ人は毎日草履のようなステーキを食い、体重計を恐れている。
・ 中国人は皆ベトコンであり黒いパジャマを着てチャルメラを吹き鳴らしながら、大勢で怪鳥のような奇声を上げて跳び蹴りしてくる。
 これらはとんでもない事実誤認のかたまりといってよいが、真実の断片をふくんでおり、だからこそ面白い。荒唐無稽な作り話で馬鹿笑いするのは、子供とアメリカ人くらいなものである。

 以下に述べるのは、フィリピン人のステロタイプである。

1.歩く時には、いかなる状況であってもあさっての方を見ながら歩かなければならない。
2.歩く時には、いかなる状況であっても可能なかぎり優雅にゆったりと歩かなければならない。(ただし雨天、パニックになっている場合を除く。)
3.上記1.2.については車道を横断する場合であっても適用される。
4.狭隘部では後ろに人が続こうと、立ち止まらなければならない。
5.エスカレーターを降りたら、立ち止まらなければならない。
6.人の流れを無視して、立ち止まらなければならない。
7.いつも髪をいじらなければならない。
8.単数の一人称主格は当然"Me"である。
9.自分の能力をはるかに超えた夢を見なければならない。
10.かといって、その夢の実現のために努力などしてはならない。
11.いつも幸せそうに、にこにこしていなければならない。
12.楽しいときは、周りを気にせず大きな口を開けて哄笑しなければならない。
13.ただし捻ったジョークで笑ってはいけない。
14.危険を予測してはいけない。(高所、高電圧、回転工具、等々)

 フィリピンは一握りの富裕層、その他大勢の貧困層で国民が構成されている、いわゆる先進国のような中間所得層がほとんど存在しない。筆者が観察しているのはほとんど後者である事を断っておく。ただし、富裕層といえども基本的には同じである。

 最近彼等とマラソンをする機会があったが、走る前から筆者は不安であった。
 普段あのように、優雅かつたらたらにしか歩かない連中が、持久走などできるのであろうか?

 本番、彼等の脚を見て、筆者の不安は高まった、彼等の脚はとても持久走ができそうなしろものではない。そもそも走り込んでいる脚であれば、普段あのようにちんたら歩いたのでは、逆に疲れてしまう。
 筆者は3日前から毎晩2kmは走り始めた、それでも今回は距離が5kmでもあり、筆者は「せめてリタイアしないこと」を目標としていた。
 しかし、どう見ても走れそうな脚ではないにも関わらず、彼等の顔を見るかぎりリタイアどころか一等賞金と名誉が自分のものであることを微塵も疑っている様子はない。自分の能力を客観視するのは、彼等の得意とするところではない。
 スタート、そして筆者の不安が裏切られることはなかった。

 「ウキャー!」
 スタートの合図と共に、ビートルズ来日公演さながらの喚声が、何故かランナーの間から湧き起った。口々に黄色い声をわめき散らしながら、短距離走のような素晴らしいスタートダッシュでランナー達はすっ飛んでいく。
 体力残におびえながら走る筆者を文字通り尻目に、彼等は脱兎の如く疾走する。いつも通り、締まりのない、とりようによっては嘲笑にも見える笑み顔面に貼り付けて。
 彼等は、またたく間に筆者の視界から消えた。
 筆者は、あのような走り方で5kmもつのか不思議に思ったが、他人の事をかまっていられる状況ではなかった。ちなみに、彼等は自分の能力を客観視できない。

 またしてもというべきか、筆者の疑問が裏切られることはなかった。
 早くも50mほど走ったところで、ふらふらしているランナーの群れが筆者の視野に入ってきた。
 筆者は、なぜか二三人づつダンゴになってよろけている連中をゆっくりと追い越しにかかった。
 スタートで置き去りにしてきたつもりの筆者に追い越されるのがくやしいのか、彼等は疲れた脚にむちうち速度を上げたつもりになった、が脚が彼等の言うことを聞かずよたよたするばかりで脚が前に出ていかない。彼等は、自分を含めた状況を把握する能力に欠けていると言わざるを得ない。
 筆者が追い越すと、彼等は何がうれしいのか馬鹿笑いしていた。

 彼等の進路妨害にも関わらず、筆者はなんとか完走することができた。

 < 一緒に走った皆様へ >
 周りの状況がわからないのは能力的に無理なんだから仕方ない、私はそこまで期待する習慣は持っていない。馬鹿笑いするのも、君達が楽しいのだろうから、私は教養の不足を軽蔑こそすれ別に気にしない。ただ、抜かれまいとして幅寄せしてくるのだけはやめなさい。30過ぎてからこっち、私も体力が余ってるあるわけじゃない、邪魔だ。

 追記:
 この文章を書いている途中で、ダバオ発マニラ行きのフィリピン航空機の乗っ取り事件が発生し、犯人の墜落死体が発見されて決着した。
 嫁さんに逃げられてハイジャックに走るのも、機内に拳銃と手榴弾を持ち込めるのも、取り敢えず他の乗客から金品を強奪するのも、パラシュートを自分でつくっちゃうのも、それが結局開傘せずに死んでしまうのも、さもありなん。
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それぞれの理由2

次の証言に移る前に『USA三人漫才』をお楽しみください。

『USA三人漫才』お題:楽屋落ち

チャック 「チャックデース」
スコット 「スコットデース」
ベス   「ベスデース」
全員   「私達、ウルトラマンUSAデース」
チャック 「いやー、でもあれデスね。私達アニメのウルトラマンデスけども、もう一つのアニメウルトラマン」
ベス   「ミスター ジョーニアスデスか?」
スコット 「ザ.ウルトラマン」
チャック 「ソウ、そのタイトル、英文法的には「ジ.ウルトラマン」じゃないのかと前から思っていたのデスが」
スコット 「彼が額に貼るヒトデはバイオテクノロジーで作られた生物デース」
ベス   「あれはヒトデだったデスか」
チャック 「ヒトデの話違いマース!文法の話デース」
スコット 「彼が額に貼ると、ヒトデの裏の触手が頭蓋骨を突き破って彼の脳に直接作用し変身しマース」
ベス   「恐いデース」
チャック 「ウルトラマンの「ウ」は母音デスから、定冠詞は「ジ」が正しい文法デース」
スコット 「おっさん、ツカミなんだから流さないでツッコミなサーイ」
ベス   「下ネタはセクハラデース」
スコット 「そのツッコミ違いマース」
チャック 「ではつかみも決まったところで」
スコット 「どこが決まったデスか。いきなりネイティブな日本語になりやがって。あなた本当にアメリカ製デスか」
チャック 「オゥヤァ!スティーブンセガールも流暢な大阪弁喋りマース」
ベス   「ダニエルカールも流暢な山形弁喋りマース」
スコット 「軽く滑ったところで、本題にいきマース、スバリ!私達の制作秘話デース」
チャック 「なんやねんソレ?」
ベス   「何だべ、ソレ?」
スコット 「流されたボケで引っ張るの止めるデス。私達のアメリカ側製作者が、私達が服着てるのかスキンなのか混乱したそうデス」
チャック 「ワォ、クゥゥゥォ!」
スコット 「何デスか、クゥゥゥォって。その辺の設定を詰めておかなかった○谷プロの手違いデスが、常識的に考えて服着てるに決まってマース。だいたい、あのアメリカンヒーロー「スーパーマン」も「バットマン」も服着てるデース」
チャック 「オゥ?」
ベス   「・・・!」
スコット 「お客さん、OK?私達はちゃんと服着てマース。変身の時もお客さんの見えないところで着替えしマース」
チャック 「オォゥ?」
ベス   「・・・」
スコット 「おっさんさっきからオーオーうるさいデース」
チャック 「シカーシ、私のこれ、自前の皮デース」
スコット 「皮って・・・あんた」
チャック 「脱衣するとこうなりマース、OK?」
ベス   「・・・」
スコット 「OKじゃないデース、服脱ぐだけかい!いや、そしたら今あなたストリーキングデスか!」
チャック 「オゥイャァァァ!」
ベス   「・・・」
スコット 「オゥイャァァァ!も違いマース。ポーズ取るな、おっさん!ベスもさっきから黙ってないで、このストリーキングおやじに突っ込むデース」
ベス   「私は脱衣した上にボディペインティングしてマース、ウップス、セクハラはシモネタデース」
スコット 「マイガッ!ベス、セクハラいいながら腰振るの止めるデース、おっさんもいい加減ポーズ取るの止めなサーイ!」
チャック・ベス 「ニプレス貼って、前張りしてるからノープロブレム!」
全員   「イッツアメリカンジョーク!」
スコット 「ただの下ネタやがな」

証言11:
 まったく、あのメリケン製の連中が人をネタに漫才やりやがって。タイトルにしたって、あいつら三人いるんだから「U.マンUSA」じゃなくて「U.メンUSA」が本当だろうが、自分の事棚にあげてよお。
 ま、ヒトデの話は実話だけどね。
ザ.UマンことU.ジョーニアスさん〕
証言12:
チャック 「チャックデース」
スコット 「スコットデース」
ベス   「ベスデース」
全員   「私達、U.マンUSAデース。」
スコット 「なんか、上で「ザ.」の人が私達のタイトルにいちゃもんつけてるデース」
チャック 「シカーシ、言われてみれば英文法的にはもっともデース」
ベス   「でも「ウルトラメンUSA」って、「うると」しか入ってないアメリカラーメンみたいでチープデース」
チャック 「私も「うると」しか入ってないラーメンは嫌デース、せめてゆで玉子を入れてくだサーイ」
スコット 「なると、な・る・と。(意訳:二人とも「うると」って、もしかして「なると」のことかい?)」
全員   「イッツアメリカンジョーク!」
ベス   「やっぱりヒトデは実話だったデスか」
スコット 「げ・・・」
チャック 「、ニプレスの代わりに使えそうデース」
スコット 「おっさんがかい」
ベス   「下ネタはセクハラデース」
全員   「イッツアメリカンジョーク!」
〔U.メンマンUSAの皆さん〕
証言13:
 私の額は広くないし、Tバックでもない。
〔U.80さん〕
証言14:
 この着ぐるみ失敗ですわ、安っぽいし皺よりよるし。
〔U.グレートさん〕
証言15:
 なぜ私だけ目が青くて、ほほこけてマスか、悪い病気デスか。
〔U.パワードさん〕
証言16:
 あれはとんねるずの映画です、U.マンとは関わりありません。友情出演です友情出演。
〔U.ゼアスさん〕
証言17:
Tィガ 「理由ってもねえ」
Dイナ 「んー、まあ、撮影技術とか格闘技なんかも進歩してるから、一緒にされても困るって面はあるな」
Tィガ 「大体、根本的に世界観が違うもの」
Gイア 「おい」
Aグル 「・・・」
Tィガ 「失敬、君達も世界観違うよね。しかし、地球の意志がU.マンだって設定もぶっとんでるよね、ラスボスしょぼいし」
Gイア 「いえいえ、ちょー古代文明のなんとか程ではございません」
Tィガ 「・・・青いU.マンもかっちょええよねえ。Aグルってアグリカルチャーでしょ、農業すんの?」
Aグル 「・・・ふん、子供つくったキューピー君が何をいう
Tィガ 「・・・」
Gイア 「・・・」
Aグル 「・・・」
Dイナ 「U.セブンのリメイクビデオなんかでも、アクションは昔のまんまだし」
Tィガ 「・・・誰がキューピー君だよ」
Gイア 「・・・お前」
Aグル 「・・・ふん」
Dイナ 「まあ、見てるのは中年だからあれはあれでありかな」
Tィガ 「子供は関係ないだろ、謝れよ」
Gイア 「コマシ」
Aグル 「コマシに下げる頭はない」
Dイナ 「・・・GイアとAグルって、結構仲いいのなお前ら」
〔平成三部作の皆さん〕

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それぞれの理由1

証言1:
 私の場合、あなた方の言葉でいう「警察官」を職業にしておりまして、あの時も対象を追跡しておりました。

 対象ですか?
 悪いやつだと聞かされておりました。見境なくものは壊すわ、暴力はふるうわの、ええ。
 それでまあ追跡している内に、あなた方に近づきすぎまして。運悪く彼の乗り物に接触して、彼は死亡してしまったというわけです、「業務上過失致死」とかいうのですか。
 これは大変な事になったと思いました。
 彼をそのままにはしておけませんし、対象をあなた方に接触させたら、更に多くの被害者がでるのは目にみえていました、時間はありません。
 ほんの一瞬でしたが、私には1時間も悩んでいたように思えます。結局、私の命を彼と共有する事にして、彼の命も救い、対象の追跡も継続することができたのです。
 彼と命を共有してから分かったのですが、彼も私と同じような仕事をしていたようで、お互い好都合でした。
 上司も話の分かる人で、うまく調整してもらいました。ええ、感謝しています。
 証拠隠滅ですか?とんでもない、私は最善の選択をしたと思っています。
〔U.マンさん〕
証言2:
 自分は地図作成に携わっておりました。地味な仕事ですが、やりがいはありました。
 退屈ですか?どこに行っても似たようなもので、あなた方みたいなところは珍しいんですよ。それで正確な記録をとる必要もありまして、密かに接触を試みました。
 はい、彼の行動には感動しました、自己犠牲ってのはそうそうできるものじゃないです。本当は直接接触は禁止されておりますが、思わず体が動いて彼を救助しておりました。
 でまあ、あなた方を保護観察するという名目で滞在させていただくことに。
 感動性ですか?自分が?
 ・・・単純だといいたいのか?あんた、ああっ?赤いからってなめてんじゃねえぞコラッ!
〔U.セブンさん〕
証言3:
 始めに、まずお断りしておきます。「帰ってきた」とかいわれているようですが、私はU.マン.さんとはなんの関わりもありません。センスが違うでしょう、私は線が入ってるし、一緒にしないでください。
 なぜあなた方のところに来たかですか?
 うーん、なんでかなあ。
 いつ改名したか?
 失礼な!もともと「ジャック」だったのをあなた方が勝手にU.マンさんと混同したんじゃないですか。
 不愉快だ、帰る
〔帰ってきたU.マン改め、U.ジャック.さん〕
証言4:
 あいつらが悪さたくらんでるっていうから、浪花節で出張ってあげたのよ。わたしのU.兄弟一の華麗な光線技であいつらもメロメロよ。
 まあ、ちょっとしくじって固められたりしちゃったけど。固められても、やっぱり私が一番美しかったわね。
 おかまですって?やあね、半分はちゃんとオンナよ。確かめてみる?「結構です」じゃなくて、ほらねちゃんと両方ついてるでしょ。
 あら、気絶してるわ、ウブねえ(はあと)。
〔U.エースさん〕
証言5:
 僕は血筋も教育もいいエリートです、本来なら君なんかが話をできる存在じゃないんだから有り難く思いなさい、そして口のききかたには気をつけるように。
 誰が一番偉いか?
 僕。エリートだもん。え?なんでそんな偉いエリートが君らみたいなのを助けているか?これだから下賎の輩はいやなんだよ。
 いい?僕は君らが死のうが生きようが本来関係ないの、ただ絶滅しちゃったりしたらちょっとかわいそうだから助けてあげてるの、それを感謝もしないでなにその質問。劣等感丸出しじゃん。
 燕雀いずくんぞ鴻鵠の志をしらんや?
 なにわけわかんないこと言ってんの?もっと勉強すれば?
 誰が一番賢いか?
 僕。エリート教育うけてるから。
 誰が一番強いか?
 それも僕。助けてもらった?僕が一声かけてみんな集まるんだから僕の実力じゃん。パパとママ?・・・なんか、君失礼だね。口のききかたに気をつけるように。
 誰が?僕が?パパとママに似てない?
 ・・・どこが、・・・角あるじゃん、ちゃんと。目?赤?・・・まさか、ママー!。
〔U.太郎さん〕
証言6:
 ちゃんと、代理人を通してもらおう。
〔U.パパさん〕
証言7:
 息子のことは口が裂けても言えません。
〔U.ママさん〕
証言8:
 悪い奴、俺の星滅ぼした。俺、逃げた。悪い奴、ここにも来た。U.セブン戦った、足折られた、弱い。俺、弱いU.セブン助けてやった。俺、悪い奴やっつける。
〔U.レオさん(獅子座出身)〕
証言9:
 悪い奴、俺の星滅ぼした。俺、逃げた、つかまった。拷問された、俺、また逃げた。悪い奴、俺に化けて悪いことした。U兄弟、悪い奴じゃなくて俺追いかけた、あいつらばか。俺、地球に逃げた。兄貴、いた。兄貴、俺、助けてやった。俺、悪い奴やっつける。
〔アストラさん(獅子座出身)〕
証言10:
 森羅万象知らぬことのないこのわしにものを聞くとはいい心がけじゃ。何なりとたずねるがいい。
 うむ、わしが何故獅子座出身のあの男を助けたかかじゃな、いい質問じゃ。それはのう、予算が取れなかったからじゃ。
 まあ、そう鳩が豆鉄砲くらったような顔をするでない。いいかなお若いの、予算が取れないと金がかかる光線技が使えんじゃろ、そうなると視聴率が下がるからの、あの獅子座の男はアクションで持たせようと考えたのじゃ。ところが毎週同じようなアクションでは視聴率もじりじり下がる、そこでヌンチャクを使ったり雨傘を使ったりしたのじゃが、辻褄があるじゃろ、仕方がないのでわしが授けに出張ったわけじゃよ、お分かりかなお若いの。新マンと同じ手法じゃよ、おお、最近はジャックとか名乗っとるらしいの。
 なに、太郎出生の秘密とな?・・・知っとるがこればかりは言えんわい。
〔U.キングさん〕
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「悪の組織」創設秘話

1.「悪の組織設立準備委員会」 第一回会議プログラム

  1.発起人挨拶
  2.祝辞
  3.各委員紹介
  4.主旨説明
  5.本会議
   ・議長選定
   ・組織名決議
   ・組織決議
   ・組織規約決議
   ・行動目的決議
   ・長期行動目標決議
   ・短期行動目標決議
  6.懇親会(会食)
  7.散会

2.発起人の日記

 第一回会議有。今会議で組織の骨子を決めるつもりだったが、「悪の概念」で紛糾。決着つかず、次回に持ち越し。
 根回し不足というよりも、むしろ私の認識が甘かったといえ反省を要す。いずれにせよ、組織の根幹に関わる問題でありここで各委員の認識を統一する必要有。次回徹底的に議論。

3.「悪の組織設立準備委員会」

第二回会議議事録
発起人:
 本日の会議では、前回話がまとまらなかった悪の定義、について徹底的に話し合っていきたい。
 忌憚のない議論を、発起人としてお願いする。
後藤委員:
 そもそも悪とは…

4.委員会
 なんの変哲もない壁紙、パイルのカーペットパネル、量産品の会議机、飾り気の全くないホテルの貸会議室で年齢、性別、職業、まったく共通性を見出せない十数人の人々が、その会議を進めていた。若干の例外を除いて、彼らに共通しているのは、「悪の組織」という語感に対する情熱のみであった。
 後藤の発言は続いている。教育一家の次男として生まれ、高度な教育を受けた後一族の伝統への反発から製造業に進んだ彼は、その教育と一般常識相応の意見を展開していた。
「子供などは教えられて初めてそれが悪いと認識するわけです。例えば、他人のものをとってはいけないとか、犬を叩いてはいけないとかですね。
 ご存知だと思いますが、大人からみればずいぶん残酷なことも小さい子供は平気ですよね、虫の脚を引きちぎったり…」
「カエルに爆竹くくりつけて、爆発させたりしたね。」
 突然、全く素っ頓狂に、かなり頭髪の薄い初老の男が後藤の発言を遮った。割り込みかたがあまりにも唐突だった為、割り込まれた方も何がおこったのか分からず完全に混乱した表情を浮かべている。またかという表情を浮かべ、更には明らかに笑いをこらえている委員もいた。どうやら、一部では有名らしい。初老の男-割り込んだ方-鴬田は、議長の制止の声を無視した。
「あと、カエルの尻から、麦わらで空気つめて水に放すと、逃げていくんだけれども腹の空気が軽くて水に潜れなくてね。」
 鴬田は子供のような表情で続けた。単なる思い付きにすぎないのだが、彼としては論理的な発言のつもりなのであろう。「意に介さない」というより「分かっていない」という表現が妥当かもしれない。
「昔の潜水艦も、空気で潜ってたからカエルも同じなんだろうなあ。潜水艦といえばね…」
 本人が自覚しているかどうかはなはだ怪しい論旨を敢えて取ると、鴬田は自分が子供の頃の動物虐待を開陳したいらしかった。
 発起人は、自分で「何でもいえ」といった手前、口元に笑みを浮かべてはいたが、多分に苦笑に近かった。
(誰かこの不毛な発言を止めろ、いや文字どおり不毛の口を塞げか)
 そんな事を思いながら、発起人が鴬田の頭部をちらりと見て、口元を更にゆがめたのと同時に、彼と同じ見解に達していたらしい男が鴬田の発言を遮った。「昔の潜水艦が空気で潜っていたかどうかはともかく、鴬田さんが子供の頃どのようにして遊んでおられたかはよく分かりました。」
 皮肉、いや英国人も青ざめるような嫌味な発言をした委員へ、発起人は視線を移した。慇懃無礼を顔に書いたような男がすましている。他の出席者も同感だったらしい、それとなく成り行きをうかがっているのが感じ取れる。発起人は口元を引き締めながら思った。あのくらい言った方がいいかな。
 発起人の期待は見事に裏切られた。当の鴬田が、嫌味に気づかず「そうか」と言ったきり、満足してにこにこしてしまったのだった。
「それで後藤さん、あなたの論旨は教育が善悪の認識に与える影響だと私は理解しているのですが、まだ先があるのではないですか?」慇懃無礼男、農大でバイオをしている緑川という男だった、はあっさり後藤に話をふった。おそろしく分析、論理的だが、なにを考えているのかわからない男だった。論理的なだけに、鴬田のような発言は合わないのかも知れない。
 会議の出席者の情熱が、「悪の組織」そのものではなくその語感に向けられていた以上、会議が混乱したのは必然であった。それに気づき、まず「悪の組織」のイメージを統一しようとした発起人の判断は、オーソドックスながら評価されてよい。問題は、それぞれのイメージギャップと情熱が大きすぎた事であった。発起人、議長の努力にも関わらず、会議はひたすら踊り続けた。
 かれこれ1時間、山口とかいう若作りした中年女が一人でしゃべり続けている。難解な用語を多用して説得力をもたせようとしているのだが、いかんせん論旨が貧弱なため催眠以外のいかなる影響をも出席者にはあたえていない。彼女が言いたいのは、悪いものは悪い、これに尽きた。鴬田は真剣な表情で相づちをうっている。緑川は山口が話し初めてから3分でどこかにいってしまった。発起人はこめかみを押さえた。このままじゃあ、いつまでたってもまとまらんぞ。
 それから更に30分、山口はしゃべり続けた。山口が口を閉じたのは、別に彼女の発表が論理的に完結したからではない。彼女が呼吸の為に一瞬言葉を切った隙を衝いて、それまで黙っていた男が議長に発言を求めたのだ。「山口の演説」に辟易していた議長は、発言を許可した。山口は明らかにしゃべり足りないようだったが、議長が許可した以上仕方がなかった。この会議の出席者には珍しく、まっとうな発言手順を踏んだ男は若かった。
「なにが悪かここで決めなくともいいんじゃないでしょうか?」
 出席者の間からうめき声があがった。その若い男、法律専攻の学生で天本とかいった、はこれまでの会議を徒労と言い切っているに等しかったからだ。ただ一人、鴬田だけは興味深そうな顔をしているが、おそらくなにもわかっていない。うめき声が収まるのを待って、天本は続けた。
「もちろん僕も今回の会合の目的が、「悪の定義付け」である事は承知しています。しかし皆さんの「悪」の概念がこれだけ違う以上、この場で意思統一は無理。だったら、逆にいろいろやってみて、悪かどうか決めていった方が手っ取り早いんじゃないんでしょうか。」
 困惑と怒号のなかから、「悪事」を認証する機関と実行する機関を組織内にもつ事が決定され、基本的に天本の考えが了承された。すなわち、持ち込まれた「悪のアイディア」を認証機関がある程度ふるいをかけたのち、実行機関が悪事をはたらくシステムとなったのである。ただし、認証機関は、過去のデータを元に認証を行うものとし、恣意的に悪の目を摘み取る事のないよう留意されていた。逆に言えば、データがない始めの内はどのようなアイディアだろうと実行にうつされる事になる。
 そこまで決まったところで、今度は実行された「悪事」が本当に「悪」だったかどうかどのように検証するのかが問題となった。
 企業の方針によって評価が左右されるマスコミを信用する訳にはいかず、民意もあやふやであるとして支持されなかった。既存の裁判システムを使用してはどうかとの案も出されたが、時間がかかりすぎるとの理由で却下された。第一「悪」と裁判で検証された刑罰を執行されたのでは、そのうち構成員が全員刑務所に入りかねない。またもや紛糾しかけた会議は、いつの間にか戻ってきていた緑川の一言でおさまった。
 「正義の味方をつくっちまえばいいんですよ、われわれが悪さしている現場にそいつが来れば悪、来なかったらそうじゃない。」

5.組織図 略

6.「衝撃社」研究所
 大学病院を思わせる廊下が、回転灯により赤黒くまだらに染めあげられていた。スピーカーからは、人間に警戒心を喚起させるためだけに人工的に合成された音が流され続けている。
 所長室では、緑川と天本が応接セットを挟んで向かい合っていた。この部屋も回転灯が回っており、二人とも京劇の悪役の隈取りをしているようだった。
「計画通りですね。」
ダークスーツを着た天本が呟くように言った、今年の春から法律事務所で働いている。
「計画通りです。」
白衣を着た緑川が同じ言葉で答えた、断言の響きがある。緑川はソファーから立ち上がると、自分の机に向かいながら続けた。
「洗脳も」
緑川は、机の上のキーボードを操作した。応接セットから見やすい壁に埋め込まれたディスプレイが灰色に輝き、データを表示始めた。ディスプレイの明かりで、赤黒く隈取られた二人の顔が、どこか無機質な色へと変わった。
「計画通りです。」
 緑川は、引き出しからジンとグラスを二個取り出すと、応接セットの方へ向かった。ソファーに腰をおろすと、グラスにジンを注ぎ天本に一個すべらせた。
 軽くディスプレイにグラスを上げると、ジンを喉に流し込む。軽く口元を押さえ、ディスプレイを見たまま天本が言った。
「しかし、よくまあこんな適材を見つけられましたね。研究者兼日本最速のオートレーサーの一人、なおかつ格闘家にして正義漢ですか、しかも改造前でこのパラメーターだってんだから。」
 緑川は口をVの字にすると、空のグラスにジンを注いだ。
「手術はほとんど必要ありませんでした、我々への動機付けにちょっと暗示をかけた程度で。」
「やや、協調性に欠ける…なるほど。」天本は妙な納得のしかたをした。
「ええ、研究職、オートレーサー、格闘家、全てスタンドアローンの商売です。だからこそ我々の検証役にはうってつけでしょう。彼の正義感(独善性ともいいます)の前には、法規、一般常識、全て無力です。」
「改造なしで?」天本はあきれたように言った。
「なしで。」そう答えると、緑川はいっそう笑みを大きくした。
 突然、所長室に鴬田が入ってきた、ひどく狼狽している。
「今聞いたんだけれども、藤岡君が脳手術の前に逃げちゃったんだって。」
緑川と天本は、顔を見合わせた。二人とも「教えたよな」という目をしていた。
 鴬田は一人で困っている。
「いやー困ったなあ、藤岡君いなくなっちゃた、困ったなあ」
 ディスプレイには、ゲジ眉長髪で濃く暑苦しい男の顔写真と、彼のデータが表示されていた。

7.「衝撃者」首領の日記
 私が横滑りで発起人から首領に選定されてより1年、準備委員会の初回会議から数えて1年半、明日ようやく初めての「仮悪」が実行される。既に「正義の味方」に貼り付いている小林には「仮悪」が実行される旨連絡してある。藤岡の反応が楽しみだ。

8.朝日新聞 地方欄
-駅前の文房具店で、会社員が正義の味方を名乗る男に暴行をうけ全治一ヶ月の重傷。-
 会社員が、文房具店で98円の消しゴムを万引きしたところ、突然オートバイで乗り付けた自称正義の味方が殴る蹴るの暴行を加えた。会社員は万引き未遂の容疑を認めている。
 警察では、参考人として自称正義の味方の行方を追っている。
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乗ってくるもの

 以下に述べる話は、1990年にYAHOO掲示板に書き込みそこそこの反響を得た。どこかで似たような話を聞かれたことがあるかもしれないが、この手の話題はそうした性質をもつものである。

 フィリピンは国民の大部分がカソリックである。
 宗教改革以降のヨーロッパにおいて、ヴァチカンに象徴されるカソリックというものは、プロテスタントへの対抗上質的変化を起こし、いわゆる中世色を払拭した感があるが。フィリピンにおいては、布教したのがスペイン人のせいなのかそれとも民族性のせいかは不明だが、一種独特の、喩えるならカソリックと道教と平安仏教を足して三で割ったような怪しさがある。
 無論、教会で秘儀が執り行われている訳ではない、信者個人レベルでの信仰、迷信、盲信といった話である。

 ジョン・リコルドは、日系企業に勤務するドライバーである。魁偉という他ない容貌、体形であり。有名なポルトガル人雇われ船長を、実力で排除した彼等の先祖を彷彿とさせる。
彼は主に日本人社員を毎日送迎している。会社は街から離れた、車で40分程かかる場所に立地している。
当然彼も敬謙なカソリックであり、車を出す時、教会の前を通過する時には胸の前で小さく十字をきることを忘れない。
 筆者は最近、リコルドが教会の前でもない場所で必ず十字をきるのに気づいた。周りには、教会どころか椰子さえ生えていない全くの野原である。
 不思議なことに、教会の前を通過する時はスピードを緩める彼が、問題の場所を通過する時は逆にスピードを上げるのである、まるで逃げるように。
 さらに不思議なことに、問題の場所を十字をきりながら通過する時のリコルド氏は、視線をまっすぐ前に据え、周囲を、特にバックミラーは絶対に見ようとはしない。
 口の中で、なにやら聖書の一節をつぶやいているようでもある。
 遂に気になった筆者は、昨晩助手席に座ったのを機会に、問題の場所を通過した時リコルド氏にたずねた。「見たところ教会もないようだが、なぜあなたは十字をきるのか」と。
 リコルドは、一瞬その魁偉な顔を歪めていった。
 「…乗ってくるんです…、あそこで。」
 筆者が話題にしたからだろうか、彼は問題の場所では決して見ることのないバックミラーを見、今度は紛れもない恐怖の表情を顔に貼り付けあわてて視線を戻した。
 「なにが」
 ノッテクルノ?と聞き返すより早く、筆者は「なにか」が乗ってくるのだろうと理解し、一斉に首筋の毛が逆立つのを感じた。
 筆者も、後部を振り返ることはできなかった、おそらくはこれからも。

 余談だが、飛行機の離陸前に十字をきるのは別の意味で恐いから止めてほしい。
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