妄想による愉快な国際時事ネタ解釈
四生の盲者日記
中華史観
『今日はなんの日』をやりだし、日中の歴史認識の違いに注意を向け始めて改めて感じた。中共が特に日本に対して力説する歴史認識、これはイデオロギーと民族主義に偏向した「中華史観」とでも呼ぶのがふさわしいものである。これは検索しても出てこない、おそらく筆者の造語なのだろうが使い勝手がいいので使っていきたい。
・日本は再武装をたくらんでいる(中文、環球時報)
http://news.xinhuanet.com/newscenter/2007-07/30/content_6452204.htm
人民空軍の誇るメガマウス、戴旭大佐の反日電波署名記事。
F2支援戦闘機が日米共同訓練「コープ・ノース・グアム」で500lb爆弾の実弾演習というだけの事実を、「北朝鮮爆撃訓練」「周辺国は警戒」と大げさに報道したニューヨークタイムズの記事を受けて、後追いで証拠をつくる事にしたのかと思い。ノリミツ・オオニシと環球時報、反日最強マッチポンプコンビ結成とワクワクしたのだが、流石に記事そのものをまともに受けたわけではなく、記事中にリンクが張られたNYT動画を見て書いたようだ。
「日本は秘かに再軍備しようとしており、欧米もやっと気がつきつつある」、というのが結論。軍人らしく結論をを前に持ってきているのだけは分かりやすいが、この大佐ドノは「結論を述べた後に説明する」を「初めから結論がある」と勘違いしておられるにちがいない。
いやそれ以前に、論理的思考できないからなのか、とにかく論理展開ができないようだ。
簡単に訳してみる。
「日本は秘密主義の侵略主義国家である。なぜなら16世紀の豊臣秀吉、1927年の田中上奏文があるからだ。
日本は唐の時期に【海戦】(原文ママ、白村江の戦いか?)で負けてから清朝まで一千年耐えた。ペリーに屈服してから真珠湾まで百年耐えた。
第二次大戦無条件降伏後、アメリカから三権分立などの政治システムを恵んでもらい民主主義の一員のような顔をしているが、裏では民族主義の牙を研いでいる、なぜなら靖国神社があるからだ。」
日本がいかに秘密主義の侵略主義国家であるか、を説明するのに悉く「歴史的事例」を持ち出してしまったのは根本的な間違いであり、その事例が中華史観の勘違いであるところが輪をかけて間違っている。それでもまだこのあたりは結論の論拠を述べようとしているのが伺える。
「戦後日本はアメリカに服従して国力をつけ、冷戦終結後覇道をむき出しにしたアメリカの尻馬にのり、対テロ戦争で軍事政治大国の夢想を始めた。」
何故か、いかに日本は対米追従路線をとったかを力説し始める、秘密主義も侵略主義もどこへやら、この一文で描かれる日本像は単なる親米国家でしかない。
「日本の製造業はあなどれない、多数の原発があるので核武装も容易だ。偵察衛星、護衛艦、MD、かつて日本の軍事力と軍備は西側を驚かした、今日では誰も日本を軽視しない、これからも日本には驚かされるだろう。
20世紀アメリカは戦わずにソ連を屈服させた、日本だけが瀕死の状態から今日世界の超大国になった。これこそが明治維新以上の大戦略であり。60年あまりの遁世ののち、日本は再び世界にそびえる大国となったのだ」
ここまでくると「大日本帝国万歳」を付け加えたくなる。
軍人は戦争に勝つのが仕事であり、そのためには論理的思考ができなければならない、なおかつ説明も論理的かつ明解にできなければならない。筆者は軍人ではないがこのように考えている。
戴旭大佐といえばネット上に戦略論文を発表している軍人のようだが、人民解放軍の将校教育というのはいったいどうなっているのだろう。
押し付けられたテーマ(=結論)に反発するために、あえて論旨をグチャグチャにし、終いには日本賛美とも取れる文章にした、という深読みでもしないと説明がつかない。
<<参考>>
・Bomb by Bomb, Japan Sheds Military Restraints [By NORIMITSU ONISHI Published: July 23, 2007]
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