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季節というもの

 文面はうろ覚えであるのだが、魯迅に「北京には夏と冬しかない」という文章を記憶している。
 魯迅の、例えば『故郷』『狂人日記』といった、自国民に歯ぎしりしているような小説を読んでいると、思わずなにかの隠喩だろうかと勘繰りたくなる。が、上記の文章はあくまでも随筆のようであったので、誉め言葉でもけなし言葉でもないだろう。
 魯迅の故郷である紹興、を含む江南地方では割合に四季がはっきりしている。そういった場所で生まれ育った人間にとって、北京はまさに「夏と冬しかない」土地に思える。
 85年から4年間、筆者は北京に滞在していたが。昨日までほおを切るようだった寒風が、今日は熱風になっている、といったような季節の反転には、最後までとまどった覚えがある。
季節感から言えば、北京には極寒と酷暑というはっきりとした季節があり、逆にわかり易い。

 季節感の無い土地―――――――。
 より正確に書くならば、四季がはっきりしている土地にたまたま生まれ育った人間にとって季節の変化を捉えづらい土地、といった場所の方が地球の表面積からするとそうでない場所より多そうであるが、多分の偏見を交えて書くならば一年中寒いか、一年中暑いかの2種類がある。
 それでも、一年中寒い場所には「多少暖かくなったかな」程度の季節感はあるらしい。
 もともとそういった土地は、ヒトが暮らしやすい場所ではないので、他所者にとっては「なんか最近そんなに寒くない」程度でも、その土地に暮らす人々の季節感を満足させるに充分であろう。
 もっとも、寒い土地での「比較的暖かな」季節とは、季節感を味わうためだけのものでは決してない。
 ヒトという種が発生したのは、反対に一年中暑い場所だろうといわれている。
 そういった土地でも地理学的に季節はあることになっており、「雨がよく降る、あまり降らない」で季節を分けている、らしい。
 眉唾である。
 そもそも、中学校の教科書で習う「世界の気候」などというものは、比較的季節のはっきりした土地に生まれ育った連中が、自分等の都合よく区分する為に勝手に付けたものであり、そこに住んでいる人間は季節など考えた事もないと筆者は断言する。
 理由ははっきりしており、一年中暑い場所はヒトが生きていくのに適しているからである。遊んでいても生存できる、といってもよい。
 生活、極論すれば生命、に影響を与えうる環境の変化、に対してヒトという種は学習、適応能力をもっている。これはヒトに限ったことではなく、現在の時点で地球上に生存している全ての生物は、結果論として環境の変化に適応してきたからこそ今そこにいるのだといってよい。
 対偶として、絶滅した種はなんらかの形で(変化が急激すぎる、種としての適応能力に不足があるなど)環境の変化に適応できなかった、となるが。これは水槽の淡水魚を海に放すなどという無益な殺生をせずとも、水をはった洗面器に顔を突っ込んでみればすぐに体感できる。
 季節という環境の変化が生活に影響を与えうる、からこそ季節の変化を認識しなければならないのであって、一年中暑い場所においては降雨量の過多程度では衣食住に困ることはなく、そもそも季節を分ける必要がない。ヒト以外の種はもっとあからさまで、年に一回しか発情しないはずの犬猫も、一年中発情している。あえて尾篭な表現をすれば、まさに365日朝から晩までさかっている。
そのような土地に生まれ育った人間が季節を認識できるとは、筆者には考えられない。もっとも、当人達にしてみれば「生活に困らないのならば、別にいいじゃないか」となるのだろう。

 地球が球形でありかつ自転軸が公転面に対して傾いているため、地域によっては地球の公転軌道上の位置関係から(すなわち年間を通して)、単位面積・時間あたりの太陽熱輻射量に過多が生じ気温が上下する。(くどいようだが)地球上の地域によっては、この気温の上下はおおまかに四分できるので、それぞれに名前をつけたものが季節といえる。
 確かに、季節を認識する必要のない地域に生まれ育った人々が、それを認識できないのは彼等の責任ではないし、他所者の筆者が口をはさむ事柄ではない。なんといっても当人が困らないのだから。
 地球は、1周公転する間に365.25回自転する。1回自転する間が1日であり、1日を12の2倍で分割したのが1時間、更に12の倍数で分割していったのが1分であり1秒である。
 余談だが、なぜ12かというと1日を分割する事を思い付いた人間、または連中、の片手の指が6本だったからだろうと考えている、根拠はまったくなく妄想に限りなく近い。
 季節を認識する必要のない地域における時間感覚は、地球の公転というより自転が基準となる。つまり、暗いか明るいかの区別しかつけられない。
 そこでの一生とは、生まれてから死ぬまで、一年単位の繰り返しで年をとっていくものではなく、今日と同じ明日が永遠に続いていく錯覚にすぎない。
 そこに生まれ育った人々は、それでも困ることはない、むしろ幸福である、なんといっても年をとる気がしないのだから。
 季節感のはっきりしている地域に生まれ育った人が、そういった場所にいくとその錯覚はより大きいものになる。雪が降るとか、梅雨があるとかのステレオタイプではなく。一年を通して窓外の風景は変わらない、風が変わるわけでもない、渡り鳥が姿を見せるわけでもなく、虫が鳴き始める事もない。
 判でおしたような毎日が強制的につづく環境。
 そのような環境に放りこまれた、季節感のはっきりしている地域に生まれ育った人は、よほど気をつけていても季節感を喪失し、やがては年、月、週単位の時間感覚までをも、浦島太郎のように喪失していくのである。
 一年中暑い場所の紫外線は、当然ながら強烈である。それは当人の錯覚など関係なく、露出した肌を焼く。
 環境の変化に対して、ヒトという種は適応能力をもっている。
 強烈な紫外線に適応した結果としてメラニン色素が増え、皮膚は厚みを増して硬化し、毛穴は全開となる。しみ、皺が増え、毛穴が目立つようになるといってもよい。
 一言でいって、老ける。当人の錯覚はどうであれ。

 まさに浦島太郎である。
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伝統

 いわゆる高度経済成長以降、中産階級の成立により日本の大家族制は崩壊したといっていい。それに伴い特殊な、例えば家業として伝統芸能に従事している血族、を除いて家庭における伝統も無くなったのではないか、そう思う。
 善し悪しではなく、雨が降った天気がいいといった性質の事柄だと筆者は考えている。
 筆者は、昭和41年に生まれた。筆者の父は農家の次男坊であり、大学を出て教職につき独立して家を建てた。おそらく筆者の父が育った家庭では、未だに時代的に「家庭の伝統」が色濃く残っていたに違いない。
 筆者が育った家庭では、特に「家庭の伝統」といった一見封建制の残滓じみた雰囲気はなかったように思える。ひとつには、昭和30年代に学生時代を過ごした人々に共通するあの麻疹のような気分、これもまた後世の筆者にしてみれば時代の雰囲気になってしまっているのだが、がそれを自分の家庭に持ち込ませなかったのだろうか、と想像したりもする。
 家庭における伝統は姿を消しているように思えるが、視野を広げて日本民族としての伝統といった場合になると、前述したそれを守りつづける一族の例をひくまでもなく、一般家庭においても散見される。
 お宮参り、七五三、結婚式、葬式とざっくりごく一般的な現代日本人の一生をみても伝統が家庭に入り込んでいる。ただしこれらがいつ頃から始まったのか、手元に資料がないので日本古来の風習なのか自信がない。
 筆者の乏しい知識のなかで、確実に古い起源を持つと言いきれる日本の伝統に「端午の節句」がある。
起源を遡ればそもそもは男子の節句であり、蓬、菖蒲で邪気をはらう日であった。いつしか中国の憂国詩人、屈原を弔う風習、おそらくは中国南方の、と混合し幟を飾り粽、引いては柏餅、を食するようになったと思われる。
 21世紀の今日、5月5日は男子のある家庭では、ほとんどがなんらかの形で鯉のぼりを飾り、柏餅を食し、五月人形を飾る。筆者が想像するに、起源は上記のようであっても、現在のような形に落ち着いたのは、ほとんどが前述した大家族制の崩壊と同じ頃であろう。つまりは、それぞれの業界が、新たにつくり出した「伝統」なのではなかろうか。消費者がある程度の余裕を持っていなければ、新たに作成された「伝統」も根付かないからである。
 「家庭の伝統」の消滅とともに「新たな伝統」が創出され、社会に受け入れられているところに、戦後日本社会の面白み凄みと、そして若干の哀しみを感じてならない。
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比加鼠

原文

元禄の昔 深川に怪しき鼠 出ず
浅黄にて 尾鍵の如く 耳長し
某家が猫 此れを喰らはむとて 戯れたるに ひかひか とて えれきてるを放つ
猫 魂ぎりて 逃げかへりたり
人 怪しみて 此れを 比加鼠 とぞいふ

現代語訳

元禄の頃、深川に不思議なネズミがでた。
色は浅黄色で、尻尾はギザギザになっており、耳は長い。
ある家で飼っている猫が、このネズミを食べようとしてじゃれかかったところ、「ヒカヒカ」といいながらエレキテル(電気)を放った。
猫は驚いて逃げ帰った。
人々は不思議に思い、このネズミを「比加鼠」と名づけたという。


「比加鼠」
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持久走

 ステロタイプなものの見方は、個体差を無視した乱暴な方法である。
それでも我々は、ステロタイプなものの見方を捨てようとはしない。おおまかに概要をつかむ分には多少なりとも有効だからであり、それが階級特性という意味で真実を含んでいるからであり、なによりも(真実を含んでいる分)面白いからである。
 エスニックジョークになるとその傾向は顕著で。
・ 日本人は皆ニンジャであり、赤丸を染めたヘアバンドを締め、ハラキリとカミカゼをしながらバンザイアタックをしかけてくる。
・ アメリカ人は毎日草履のようなステーキを食い、体重計を恐れている。
・ 中国人は皆ベトコンであり黒いパジャマを着てチャルメラを吹き鳴らしながら、大勢で怪鳥のような奇声を上げて跳び蹴りしてくる。
 これらはとんでもない事実誤認のかたまりといってよいが、真実の断片をふくんでおり、だからこそ面白い。荒唐無稽な作り話で馬鹿笑いするのは、子供とアメリカ人くらいなものである。

 以下に述べるのは、フィリピン人のステロタイプである。

1.歩く時には、いかなる状況であってもあさっての方を見ながら歩かなければならない。
2.歩く時には、いかなる状況であっても可能なかぎり優雅にゆったりと歩かなければならない。(ただし雨天、パニックになっている場合を除く。)
3.上記1.2.については車道を横断する場合であっても適用される。
4.狭隘部では後ろに人が続こうと、立ち止まらなければならない。
5.エスカレーターを降りたら、立ち止まらなければならない。
6.人の流れを無視して、立ち止まらなければならない。
7.いつも髪をいじらなければならない。
8.単数の一人称主格は当然"Me"である。
9.自分の能力をはるかに超えた夢を見なければならない。
10.かといって、その夢の実現のために努力などしてはならない。
11.いつも幸せそうに、にこにこしていなければならない。
12.楽しいときは、周りを気にせず大きな口を開けて哄笑しなければならない。
13.ただし捻ったジョークで笑ってはいけない。
14.危険を予測してはいけない。(高所、高電圧、回転工具、等々)

 フィリピンは一握りの富裕層、その他大勢の貧困層で国民が構成されている、いわゆる先進国のような中間所得層がほとんど存在しない。筆者が観察しているのはほとんど後者である事を断っておく。ただし、富裕層といえども基本的には同じである。

 最近彼等とマラソンをする機会があったが、走る前から筆者は不安であった。
 普段あのように、優雅かつたらたらにしか歩かない連中が、持久走などできるのであろうか?

 本番、彼等の脚を見て、筆者の不安は高まった、彼等の脚はとても持久走ができそうなしろものではない。そもそも走り込んでいる脚であれば、普段あのようにちんたら歩いたのでは、逆に疲れてしまう。
 筆者は3日前から毎晩2kmは走り始めた、それでも今回は距離が5kmでもあり、筆者は「せめてリタイアしないこと」を目標としていた。
 しかし、どう見ても走れそうな脚ではないにも関わらず、彼等の顔を見るかぎりリタイアどころか一等賞金と名誉が自分のものであることを微塵も疑っている様子はない。自分の能力を客観視するのは、彼等の得意とするところではない。
 スタート、そして筆者の不安が裏切られることはなかった。

 「ウキャー!」
 スタートの合図と共に、ビートルズ来日公演さながらの喚声が、何故かランナーの間から湧き起った。口々に黄色い声をわめき散らしながら、短距離走のような素晴らしいスタートダッシュでランナー達はすっ飛んでいく。
 体力残におびえながら走る筆者を文字通り尻目に、彼等は脱兎の如く疾走する。いつも通り、締まりのない、とりようによっては嘲笑にも見える笑み顔面に貼り付けて。
 彼等は、またたく間に筆者の視界から消えた。
 筆者は、あのような走り方で5kmもつのか不思議に思ったが、他人の事をかまっていられる状況ではなかった。ちなみに、彼等は自分の能力を客観視できない。

 またしてもというべきか、筆者の疑問が裏切られることはなかった。
 早くも50mほど走ったところで、ふらふらしているランナーの群れが筆者の視野に入ってきた。
 筆者は、なぜか二三人づつダンゴになってよろけている連中をゆっくりと追い越しにかかった。
 スタートで置き去りにしてきたつもりの筆者に追い越されるのがくやしいのか、彼等は疲れた脚にむちうち速度を上げたつもりになった、が脚が彼等の言うことを聞かずよたよたするばかりで脚が前に出ていかない。彼等は、自分を含めた状況を把握する能力に欠けていると言わざるを得ない。
 筆者が追い越すと、彼等は何がうれしいのか馬鹿笑いしていた。

 彼等の進路妨害にも関わらず、筆者はなんとか完走することができた。

 < 一緒に走った皆様へ >
 周りの状況がわからないのは能力的に無理なんだから仕方ない、私はそこまで期待する習慣は持っていない。馬鹿笑いするのも、君達が楽しいのだろうから、私は教養の不足を軽蔑こそすれ別に気にしない。ただ、抜かれまいとして幅寄せしてくるのだけはやめなさい。30過ぎてからこっち、私も体力が余ってるあるわけじゃない、邪魔だ。

 追記:
 この文章を書いている途中で、ダバオ発マニラ行きのフィリピン航空機の乗っ取り事件が発生し、犯人の墜落死体が発見されて決着した。
 嫁さんに逃げられてハイジャックに走るのも、機内に拳銃と手榴弾を持ち込めるのも、取り敢えず他の乗客から金品を強奪するのも、パラシュートを自分でつくっちゃうのも、それが結局開傘せずに死んでしまうのも、さもありなん。
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瀋陽の日本総領事館に身分不明者が強行進入した事件について -解決編-

 みなさんわかってらっしゃると思いますが。今回の事件の根本的な問題は、仕事熱心な中国のお巡りさんでも、融通の利かない日本の御役人でもなく、国民に健康で文化的な最低限の生活を保証できない「アノ国」の体制にあります。

 そこんとこを直さない限り、この手の事件は必ず再発するのですが…。「アノ国」が自分で体制を変えるとも思えんし、韓国はドイツの実例みてびびってるから無理だろうし。
 で筆者は、現実的なオプションを考えてみました。

 現実的なオプション
1.「アノ国」に、ビンラディン氏の親戚の近所の友達の人をかくまってもらい、テキサスおやじに攻撃してもらう。
2.世界で一番経済的に勢いのある中国に「アノ国」を併合してもらい、面倒をみてもらう、幸い地続きだし。

 実際、どうなるんだろう。いや、どうするつもりなんだろう。


さて、ここで問題です。今回の事件で一番損したのは
  1. 岡崎清     (瀋陽総領事)
  2. 孫永涛     (武装警察遼寧総隊瀋陽支隊・第八中隊、エルボーもらって鼻血出してた)
  3. 川口順子
  4. 泣いてた女の子
  5. 小泉純一郎


何でしょう

次の問題です。今回の事件で一番得したのは

  1. 若き指導者
  2. 田中真紀子
  3. 共同通信のカメラマン
  4. 鈴木宗男


どっちでしょう
。そいつが犯人です。

(このテーマ終わり)


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瀋陽の日本総領事館に身分不明者が強行進入した事件について -バッシング編-

 叩かれてます。ただし次の記事で、誰がどう叩かれているかが、わかるでしょうか?

<二つの顔の日本外交、大恥の危機>

中国瀋陽の日本総領事館の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)脱出者連行事件で、日本外交が国際的な大恥をかく危機に陥っている。

事件を撮影したビデオが公開されたことで、領事館の不審な対応姿勢が1つ1つ明らかになった上、頻繁に話を変えることと中国の反論などで、誠実性、道徳性まで疑われるようになったのだ。日本の世論も、子供を含めた北朝鮮脱出者を一方的に連行した行為を放置したり、手助けしたような日本の外交官らを鋭く叱責する雰囲気だ。

外務省は当初「中国警察が同意無しに総領事館に入り、2人を強制的に連行したことは、外交公館無断侵入を禁止したウィーン条約違反だ」として中国を責めたてていた。しかし時間が経つにつれ、このような主張は信憑性がなくなっている。

中国政府は11日「警察は同意を受けて領事館に入り、5人を連行するときは、日本領事が携帯電話で上司と通話をした後で同意してくれた」と反論した。

日本の各マスコミは12日▽総領事館の職員が領事館の敷地に落ちた中国警察の帽子を拾って渡し▽北朝鮮脱出者2人が総領事館内で約10分間放置されていた事実などを挙げ、領事館側の連行を「ほう助」した可能性を提起している。

非難世論の中で、亀井静香元自民党政調会長は、「川口順子外相は辞任しなければならない」と主張した。

ひいては今回の事件を機に日本政府の「難民忌避症」もやり玉に挙がった。難民制度が登場した1982年以後、難民認定申請をした外国人2179人中、難民に認められた人は12%の216人にすぎない。同じ先進国の米国(38%)、英国(25%)などに比べれば非常に低い。

中嶋嶺雄前東京外国語大学学長は「今回の機会を機に日本政府も難民問題に積極的に乗り出さなければならない」と強調している。

中央日報 東京=呉デ泳(オ・デヨン)特派員 < dayyoung@joongang.co.kr >

 

「叩き叩かれ貴方と私」まとめ(日中の水掛合戦を含まず)

叩かれている人 叩いている人 理由
1.日本政府 韓国のマスコミ 敗戦国で叩きやすいから
2.日本政府 日本のマスコミ 嫌いだから
3.日本外務省 日本のマスコミ 不祥事連発で叩きやすいから
4.瀋陽日本総領事館 各方面 間抜けだったから
5.中国政府 アメリカ ウイーン条約を守らないから

 1-3は、これはもう条件反射だから仕方ないですわな。5もあの訳のわからん反論してくる中国に文句つけられんのも、アメリカしかいないのは納得できるとして。

 領事館の対応って、…あれはああしかできなかったんじゃないの?状況と彼らの能力から考えると。
ケーススタディ:

 あなたは海外の事業所に出張(出向でもいいが)中です。いつものオフィスで、いつもと変わらぬ仕事をしていました。入り口が騒がしいので行ってみると、女性二人とガードマンがもみ合っています、子供もいるようです。女性が話す言葉はわかりません。
 どうできます?

 後知恵でよければ、何とでも。
<対応に不手際、総領事ら処分へ>

 中国・瀋陽での北朝鮮住民亡命未遂事件で、外務省対策本部は12日、瀋陽総領事館に事件発生時やその後の対応に様々な不備があったとして、岡崎清総領事らを処分する方向で検討に入った。

 事件発生時に同総領事館の副領事が中国武装警察官に適切な対応をしたとはいえない点や、総領事館の敷地内に入った北朝鮮住民の人数をめぐる発表が二転三転するなど、不適切な点があったことを問題視したためだ。(読売新聞)[5月13日6時42分更新]

 あの状況で冷静にガードマンに話しを聞いて対処できるなんて人は異常人ですぜ。普段からそのような状況を想定しておいて常に備えておけば、普通の人でもなんとか対処できるかもしれんが。
「備えは常に」の精神で=総領事館事件の調査結果受け中谷防衛庁長官

 中谷元・防衛庁長官は14日午前の閣議後の記者会見で、外務省が発表した中国・瀋陽総領事館事件の調査結果について「いつ何が起きるか分からないという気持ちを持って、『備えは常に』の精神が大使館、外務省職員に必要だ。中国の警察官が敷地内に入った場面で、身をもってアピールしなければいけない」と述べ、総領事館側の対応を批判した。 (時事通信)[5月14日11時2分更新]

 普段から異常事態を想定している時点で、そいつは十分に異常ですわな。
 筆者はフィリピン時代には、常に催涙スプレーと特殊警棒を携帯してましたが、今にして思えば異常だったわなあ。しまいには、「強盗いないかなあ」なんて探したりしてね。

 ましてや、領事館員なんてのは区役所の出張所のおっさんと同じで、いわば役人らしい役人。臨機応変の対応なぞ期待するほうがどうかしている。

 あと、領事がいたらどうとかいうマスコミもいますが、1941年12月7日(現地時間)を引き合いにだすまでもなく、日本の外交官は肝心な時には在外公館にいない事になっている。伝統です、あきらめましょう。

 要するに、駆け込ませる領事館の選定を間違えたんですな、支援者の人が。また筆者の話、北京時代には「もしなんかあったら日本大使館は頼りにならないから、逃げ込むのならアメリカ大使館だ。」とよく友人と話していたものですよ。

 一番納得いかないのは、北朝鮮についてなぜだれもコメントしないのか、だったりする。

(このテーマ続く)

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瀋陽の日本総領事館に身分不明者が強行進入した事件について -人道編-

 筆者は、「今回の事件はこう落ち着く」などと予言しようと思っていたが、もたもたしているうちに落ち着くところに落ち着きそうである。

<総領事館連行事件>「第3国出国」も選択肢の一つ 政府検討

 中国・瀋陽の日本総領事館内連行事件で、政府は中国の武装警察官に連行された北朝鮮の住民5人について、引き続き早期の身柄引き渡しを求めると同時に、人道上の配慮から、第三国への出国による解決も選択肢の一つとして中国側と交渉する方針だ。事件をめぐって両国は互いの主張を譲らず長期化する様相も出ている。(毎日新聞)[5月11日23時29分更新]

<総領事館連行事件>中国も出国を容認か

 事件の解決を模索する中国側も、今後の日本政府との折衝などを経て北朝鮮住民5人の出国を認める可能性が高い。5人を「身元不明者」としていることがポイントになっている。在日中国大使館の黄星泉参事官は11日、5人について「公安局に連行後、初めて亡命希望者とわかった」と語ったが、国籍には言及していない。 (毎日新聞)[5月13日3時2分更新]

<総領事館連行事件>亡命希望の5人 韓国が受け入れ方針

 【ソウル堀信一郎】韓国政府は12日、中国・瀋陽の亡命希望者連行事件で中国側に連行された朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の5人を韓国に受け入れる方針を固めた。韓国政府は今回の事件は、人道的な見地から速やかに対応すべきとの立場だ。中国政府が5人を北朝鮮に送還するという最悪のシナリオを避けるためにも、第三国経由での受け入れの方針を固めた模様だ。韓国政府当局者によると、受け入れの意志は既に中国側に伝えたという。

 早期の身柄引き渡しを強く求めている日本政府も、5人の安全確保を最重視する考えだ。中国政府が応じれば、これまでの中国における北朝鮮住民の亡命事件と同様、5人をいったん第三国へ出国させ、韓国に移す形で決着が図られる公算が強くなった。

 韓国政府は、5人が日本総領事館から連行された際の事実関係を巡って日本と中国が対立していることを憂慮。当局者は「日中間の外交摩擦が、今後の処置に影響を与えてはならない」と述べた。さらに韓国側は、5人が韓国への亡命を希望しているとみており、「5人が望むように処理されなければならない」との立場を表明した。

 今回の事件について韓国政府は、基本的には日中両国の問題という考えだ。だが、両国の主張に隔たりがあることから、事件が長期化するのではないかと憂慮している。 特に、亡命希望者が北朝鮮に送還された場合、亡命者は「極刑」を避けられず、韓国政府としては同じ民族が処罰されることは避けたいところだ。北朝鮮も、食糧難を理由に亡命希望者が相次いでいることに神経をとがらせている。北朝鮮の亡命希望者の存在が、世界的に注目を集めると北朝鮮はメンツを傷つけられることになる。このため韓国政府は、日中間の対立には触れずに「人道的な見地」を強調し、中国政府に受け入れ意志を伝えたものとみられる。

 8、9日の両日、相次いで瀋陽の米国総領事館に駆け込んだ北朝鮮住民の計3人についても、韓国への亡命を受け入れる方針だ。(毎日新聞)[5月13日3時40分更新]

<第3国移送を容認=小泉首相>

 小泉純一郎首相は13日夜、中国・瀋陽の日本総領事館における亡命者連行事件の事態打開のため、拘束された朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の5人を第3国に移送する案について「よく交渉し、お互い話し合いを続けて、いい解決に結び付けばいいと思っている」と述べ、容認する考えを示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。 (時事通信)[5月13日21時3分更新]

<総領事館内連行事件>中国が「マニラ経由」を打診

 【マニラ井田純】フィリピン外務省筋は13日、中国・瀋陽の亡命希望者連行事件で中国側に連行された朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の5人について、中国当局からフィリピンに第三国の出国先として受け入れることができるかどうか打診があったことを明らかにした。すでに5人を受け入れる方針の韓国側からも同様の打診があったという。日本、韓国両政府は人道的観点から速やかな対応を求め、中国と水面下で折衝を開始した。事件は5人がフィリピン経由で韓国入りするという形で週内にも決着する可能性が高まってきた。

 フィリピンは97年、当時北朝鮮の最高幹部の1人だった黄長ヨプ(ファンジャンヨプ)・朝鮮労働党元書記が北京で亡命を求めた際も第三国として一時滞在を許可した経緯がある。今年も亡命希望者26人を韓国への亡命前に一時滞在させている。

 フィリピン外務省筋によると、中国当局者は8日の事件発生直後から在北京のフィリピン大使館に接触。両者の数回にわたる協議の中で、5人をマニラ経由で出国させたいという意思を表明したという。

 中国側は最終的な亡命先には言及しなかったが、韓国政府は第三国経由で受け入れる意思をすでに中国側に伝えている。フィリピン政府は、中国政府からの非公式な打診と受け止めており、関係当局で受け入れに向けた具体的な協議を始めた。

 同外務省筋は「これまで個別のケースごとに判断して、人道的見地から一時滞在を認めてきた。今回の件については、正式な要請はない」と慎重な姿勢を示している。だがフィリピンは、北朝鮮住民の亡命事件がアジア全体の安全保障に影響を与える問題として重視、過去の受け入れ実績もあるため、正式な要請があれば受け入れる可能性が高いとみられる。(毎日新聞)[5月14日9時21分更新]


 以下のようなやりとりがあったものと思われる。(
定冠詞本文

日「
5人の身柄を引き渡し正式に謝罪せよ。どっか関係ない国経由して、出てってもらちゃえば?
中「
武装警察官は副領事の同意を得て領事館に入った、我が方に落ち度はない。そうアルな、前にもやってるアルし。
韓「
日中は良心の呵責を覚えないのか。うちだったら別にいいニダ、直接くるのはまずいけどムニダ。
米「
米国はウィーン条約の義務を非常に真剣に受け止めており、他国にも同じことを期待する。
日「
我が方の調査では副領事は同意していない、あまつさえ両手を広げて阻止しようとしている。これは明らかに日本の主権侵害である、改めて5人の身柄を引き渡しと謝罪を要求する。この前はマニラ経由だっけ?
中「
日本は理非曲直を問わず、横暴に、むきになって不合理な要求を突き付け、中国に屈服を迫っている。ちょっとフィリピンに電話してみるよろし。
韓「
こうした日本の2つの顔のうちどちらが真実なのか。それじゃ、うちも連絡しておくニダ。

中「
自民党要人や右翼メディアは、事件に乗じて極めて扇動的な反中国言論をまき散らしている。ギンゴナ(テオフィスト・ギンゴナ:フィリピン共和国副大統領(外務長官兼務))先生アルか?
比「オウ!ドントアングリー、一体ナニ事カ?
中「先生ニュース見てないアルな?朝鮮人が日本領事館に亡命して大変アルよ。
比「フィリピンじゃ、大したニュースになってマセーン。
中「フィリピンの新聞などどうでもよろし、亡命者をマニラ経由で出国させたいアル。
比「OK ノープロブレン
中「えらい簡単アルな。韓国からも連絡がいくアルよ。

韓「
われわれは2つの顔を持った国家をどうやって相手にすればいいのか。ヨボセヨ、ミスター.ギンゴナ?
比「OK ノープロブレン
韓「まだなにも言ってないスミダ。
比「中国が連絡よこしたばっかりネ、問題ないネ。

日「
5人の引き渡しを求めるとともに、中国側に対して陳謝と再発防止を求める。どうだった?
中「
馬木副領事は、お辞儀をしながら中国語で「謝謝、謝謝(ありがとう、ありがとう)」と言って、今回の事件に対する処理に満足の意を表明した。OKアル。

 だからだんだんトーンが高くなったのか、むう、中国の方が面白いこといってるなあ。いずれにせよ、うまくいくといいですね。

(このテーマ続く)
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瀋陽の日本総領事館に身分不明者が強行進入した事件について -国際政治編-

 「事件について」もなにも、あんだけ派手に映像流されたら駄文にもできやしないのだが、忘れた頃に見た時の為に。まずは、報道から。

<亡命>北朝鮮の住民5人 瀋陽市の日本総領事館に駆け込み図る
 中国遼寧省瀋陽市の日本総領事館で8日午後2時ごろ、北朝鮮を脱出した住民5人が亡命を求め敷地内に駆け込もうとした。うち2人はビザ申請窓口の待合室まで入ったが、敷地内に侵入した中国の武装警察官に拘束された。大使館や総領事館など在外公館は治外法権が認められており、日中間の外交問題に発展した。(毎日新聞)
[5月8日21時13分更新] 


 Y!ニュースで見る限り、日本の報道機関ではこれが一番早かったようです。ただ、世界的に見ると朝鮮日報のが早くて、事件のわずか1時間後には次のように報道してました。

朝鮮日報:http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2002/05/08/20020508000017.html(5月8日 16:10)


 でまあ、この事件に対する日本政府第一のリアクションがこれ。

 <総領事館内連行>「冷静に」首相 「中国の回答待ち」川口外相

 小泉首相は8日夜、中国・瀋陽市の日本総領事館の敷地内から、中国の武装警察官が亡命希望の北朝鮮の2人を連行した事件について「中国がどういう立場でやったのか、よく調べて慎重に、冷静にやりなさいと言ってある」と記者団に述べた。また、川口外相は、「中国の回答を待っている段階だ」と述べた。(毎日新聞)[5月9日10時32分更新]


 上のコメントではごく冷静ですが、日が変わって5月9日になると途端にトーンが高くなります。

 <中国警官立ち入りは遺憾=安倍副長官-副大臣会議、批判相次ぐ>

 安倍晋三官房副長官は9日午前の記者会見で、中国・瀋陽の日本総領事館に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の住民を追って、中国の警察官が構内に立ち入ったことについて「わたしどもとしては遺憾に思う。ウィーン条約で保障されている権利が各大使館、領事館にはある」と中国側に遺憾の意を示した。(時事通信)[5月9日11時4分更新]

 <総領事館駆け込み>亡命希望の5人の身柄返還を中国大使に要求

 中国・瀋陽の日本総領事館で中国の武装警察官が亡命希望の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)住民を連行した事件で、竹内行夫外務事務次官は9日午前、中国の武大偉・駐日大使を外務省に呼び、総領事館敷地内の無断立ち入りに抗議するとともに、亡命希望の5人の早期の身柄返還を求めた。(毎日新聞)[5月9日12時40分更新]

中国側に誠意ある対応求める=小泉首相-領事館駆け込み

 小泉純一郎首相は9日昼、中国・瀋陽の日本総領事館に中国の警察官が立ち入り、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の住民を拘束した問題について「ウィーン条約違反だと思う。だから抗議している」と強い遺憾の意を表明した。「誠意ある中国側の対応を求めて行く」との考えを示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。
 また、「今後さらにハイレベルで抗議することはあるか」との質問に、首相は「いや(中国側が)どういう対応されるかを見て、検討したい」と述べた。北朝鮮住民が駆け込むとの事前情報を政府として把握していたかどうかについては「わたしは聞いていません」と語った。(時事通信)[5月9日13時4分更新]


 中国相手にこういう態度をとると、ごく簡単に以下のような反応を引き出す事が可能です。

<「武装警察官は副領事の同意を得て領事館に入った」 外交部>

外交部の孔泉報道官は10日、瀋陽の日本総領事館に身分不明者が強行進入した事件について談話を発表した。孔泉報道官の談話は次の通り。

(1)5月8日発生した瀋陽の日本総領事館に身分不明者が強行進入した事件で、中国側は全力をあげて事実関係の調査を行なった。調査の結果によると、5人の身分不明者は同日午後、領事館の正門から強引に進入を試みた。中国側の武装警察官は進入を阻止しようとしたが、うち2人が総領事館に進入。武装警察官は副領事の同意の下、領事館内に入って2人を連れ出した。その後、領事館職員の一人が中国側に事情の説明を求め、公安当局者が5人を連行することに同意したうえで、武装警察官に感謝の言葉を伝えた。

(2)ウィーン条約の規定によれば、中国側は領事館の安全を守るために必要な措置を講じる義務を負っている。(進入しようとした)5人は正当な手続きを踏まず、身分も明らかでないうえ、領事館に強引に進入しようとしており、領事館および職員らの安全を脅かす危険性があった。武装警察官の行為は純粋な責任感によるもので、同条約の関係規定にも合致している。中国側が勝手に領事館に入り込んだという言い方は成立しない。日本側は冷静になり、中国側の措置を善意的にとらえるべきで、事態を深刻にすべきでない。

(3)中国側は一貫して中日関係を重視しており、両国間の偶発的事件に対して冷静かつ慎重に対処している。1998年5月には、日本の数名の警察官が在日中国大使館の本館に勝手に入り込み、身分不明者を強制連行した。(同事件においても)中国側は上述の精神で対処している。「人民網日本語版」2002年5月11日


 「あらあら、子供みたいな事いって、詭弁にもなっちゃいない、昔とちっとも変わってないのね。国際社会じゃあ通用しないって、いつになったら学習するのかしら。」なんて言うなあ。例えば

米報道官、中国の対応に遺憾の考え…瀋陽亡命事件
 【ワシントン10日=永田和男】バウチャー米国務省報道官は10日、瀋陽亡命事件に関連して、「米国はウィーン条約の義務を非常に真剣に受け止めており、他国にも同じことを期待する」と述べ、中国側の対応を遺憾とする考えを示した。
 また、「(亡命希望者は)北朝鮮で迫害を受けるために送り返されるべきではない」として、送還には反対する立場を表明した。
 武装警察官の総領事館侵入をめぐる日中間の対立については、「中国と日本の間の問題だ」と述べた。(読売新聞)[5月11日21時57分更新]


 中国の談話のポイントは、(3)の「中国側は一貫して中日関係を重視しており、両国間の偶発的事件に対して冷静かつ慎重に対処している。」であって、この一文に「いやもう、うちも若いのが先走ってしもうて正直困ってまんねや。」という外交部のぼやきを汲み取らなければならない。「そっちも同じ事してはんねんで、そやけどうちら引いたったんで。」などと余計な事も言っているが。

 そのあたりについては、次の記事が正鵠を突いていると筆者は考えます。

<中国、身柄処遇を慎重検討=日本の反発に戸惑い-引き渡し拒否、出国容認か>

 【北京10日時事】瀋陽の日本総領事館を舞台にした亡命駆け込み事件をめぐり、中国政府が苦しい立場に置かれている。日本政府は10日、総領事館内から連行された朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)住民5人の身柄引き渡しに加え、陳謝と再発防止の要求を突き付けた。「国際法違反はない」との公式見解を打ち出した中国が直ちに受け入れる可能性はほとんどないが、予想外に激しい日本の反発に戸惑っているとみられ、中国政府は5人の処遇を慎重に検討している

 中国の国内メディアは事件を一切報じていない。9日の外務省定例会見でこの問題に質問が集中し、孔泉報道局長は「領事関係に関するウィーン条約にのっとった行動だ」と武装警察官の館内侵入を正当化した。しかし、会見の一問一答をそのまま掲載する同省ホームページでも、領事館事件に関するやりとりはすべて削除された。徹底した報道管制は、逆に中国当局の苦境を物語るものと言える。

 外務省の劉古昌次官補は9日、阿南惟茂駐中国大使に対し、「5人の身元を確認中で、まだ国籍も分かっていない」と慎重な言い方をした。方針を決めるまでの一種の時間稼ぎのように見える。

 5人の処遇については(1)日本側に引き渡す(2)北朝鮮に強制送還する(3)第3国へ出国させる-の3通りが想定されるが、原状回復には、警官侵入の違法性是認と当初の主張の撤回が必要であり、極めて受け入れ難い選択。といって、厳しい処罰が待ち受けている本国へ送還すれば、国際的批判を呼び、中国の対外イメージを著しく傷つけるのは確実だ。 (時事通信)[5月10日23時2分更新]

 まあ、そこんところがよく分かってないガイムショーの御役人様は「いつそんな事いったんだよ、いつそんな事したんだよ、何年何月何日何時何分何秒。」と、こちらも子供のような事いってますが、あまりにも馬鹿馬鹿しいので引用しません。

 経済大国と国連常任理事国の水掛合戦に、もはや幼女の泣顔は完全にどっかいっちゃってます。単なる、「亡命失敗」という一昔前によくあった事件でよくもまあここまで遊べるものだ、と感動すらしてしまいます。

 70-80年前だったら「在外公館保護」の名目で一個師団…は多過ぎるから、一個連隊くらい派兵して、近場の海上に軽巡浮かべときゃ済んだのに、面倒になったものだ。でも金にならんから止めといたほうがいいな。

 などと危ないことを書いていたら、次の記事が見つかって笑ってしまった。

<中国メディア、ネットで反撃=「日本は横暴」と非難論評-瀋陽総領事館事件>

 【北京14日時事】中国・瀋陽の日本総領事館事件の発生以来、報道を抑制してきた中国メディアが、日本側の調査結果が発表された13日夜から「反撃」に出始めた。通信社の中国新聞社は、在日中国大使館が発表した総領事館員と武装警官のやりとりを実名入りでホームページに掲載。英字紙チャイナ・デーリー(電子版)は「外交問題に発展した真の原因は、日本の民族主義と右翼思想の急膨張にある」とする長文の論評を掲げた。

 「日本が(事件に)事寄せて外交風波をつくりだした」と題する同紙の論評は、日本が「理非曲直を問わず、横暴に、むきになって」不合理な要求を突き付け、中国に屈服を迫っていると指摘。自民党要人や右翼メディアは事件に乗じて「極めて扇動的な反中国言論をまき散らしている」と非難した。 (時事通信)[5月14日7時2分更新]


 はい、私は「民族主義者かつ右翼思想家」でありまして、当ブログは「極めて扇動的な反中国言論をまき散らす」右翼メディアでございます。ただ、どうせだったら、
反動的自民党要人や帝国主義的右翼メディアは、事件に乗じて極めて扇動的かつ反革命的な反中国言論をまき散らしている
とまで言って欲しかった。50~60代のおっさんが聞いたら涙するぞ、催涙ガスの臭い思い出して。あ、今の若い中国人のボキャブラリーにないか。

(このテーマ続く)

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第四話「単車男の最後(前編)」

 1945年1月ここ陸軍第四航空軍司令部では、太平洋戦争中最も卑劣な策謀が実施されようとしていた。

 陸軍特別攻撃隊がフィリッピンの空に溶けていった。飛行場で見送っていた人々は厳粛な表情のまま、持ち場へと戻った。司令部要員も、司令部へと向かっていく。飛び立っていく搭乗員にいつも訓辞していたとおり、いよいよ次は司令自ら特攻されるのだ、忙しく動きながら第四航空軍の皆が悲壮感と共に思った。司令部を除いては。

 司令部に入った途端、司令部要員全員が笑い出した。
「いやー、いったいった」
「見たかあいつらの神妙な顔」
「しかし司令、「君らだけを行かせはしない。最後の一機で本官も特攻する、諸君は既に神である」名演説でしたな」
「感動して泣いてたのもいたぞ」
 第四航空軍司令富永恭次中将が笑いながらいった。
「さて、馬鹿でも神サマは神サマだ、神サマに嘘をつくわけにはいかん。そろそろわれわれも「特別攻撃」するか、んん?」
「台湾にですな」
 再び笑い声があがった。
「まてまて、置いていく連中はどうする」
「なあに、われわれが汗をかかなくとも、アメ公がかってに始末してくれるさ」
「司令、連中にもう一発感動的な訓辞をお願いしますよ。とち狂ってシャーマンに殴りかかっていくようなやつ」
「まかせろ、豚も木に登るような訓辞をしてやる」
 三たび笑い声があがった。彼らからは、自分等の命令で一命をなげうち敵艦に体当たりしていった者達、これから絶望的な抗戦をおこなうであろう者達への敬意はまったく感じられない、むしろ軽蔑しているようだった。

 司令部の前には、司令官の特攻を前に後方要員全員が整列していた。出てきた司令部要員を前に、全員が敬礼した。それらしい表情をつくり、富永恭次中将が「最後の訓辞」を始めた。
「捷号作戦発令よりこのかた、我が第四航空軍は搭乗員諸君の一命を省みぬ奮闘、諸君の日夜を問わぬ献身により驕敵に多大なる損害を強いてきた。今ひとたびの攻撃で驕敵に大打撃を与え、この難局を転回し得ること必至である。しかし、連日の出撃により遺憾ながら第四航空軍の戦力は底をついている、よって本官を始めとする司令部全員により特別攻撃を実施する。
 これは第四航空軍最後の作戦行動となろう。だが我々の出撃後、諸君の軍務が終了するわけではない。海軍の奮闘及ばず上陸を許した残敵は、依然としてあなどれぬ勢力を維持しあり、山下大将の十四軍は各地で苦戦している。ここまで敵の侵入を許すおそれは充分にある。その時は、各々小銃をとり、小銃なくば銃剣を、銃剣なくば包丁を、包丁なくば徒手空拳にても、帝国陸軍軍人たるの本分を諸君等が示すであろうことを、本官は信じている。
 最後になるが、諸君等を苦楽を共にできたことは、本官の軍歴いや人生最大の快事であった。武運長久を祈る」
 官僚軍人富永恭次中将の面目躍如たる訓辞であった。官僚的修飾に満ちた文章で悲壮感をあおり、さりげなく死守を示唆し、その責任を海軍と十四軍に見事に転嫁している。突き詰めてしまえば「俺等は体当たりして死ぬ、海軍と十四軍が失敗して敵が来たら刺し違えて死んでもいいよ」としかいっていない。
 司令部全員が、特別攻撃輸送機に向かおうとしたその時。

ブオォォォォォーン

 飛行場に単車の爆音が響き渡った。
 輸送機と司令部員の間に割り込む一台の陸王、そして謎の帝国陸軍軍人、ざわつく残留要員。だが富永恭次中将を含む司令部は妙に落ち着いている。
「出たな、裏切り者」
 あごをつきだすようにして、富永恭次中将がいった。謎の帝国軍人が、押し殺すように応じる。
「黙れ。未来ある若者に自殺攻撃を命令しておきながら、さらには苦楽を共にした部下を見捨て自分等のみ敵前逃亡しようとする卑劣な行動、大元帥陛下が許してもこの自分が許さん。富永中将いや、悪の秘密結社サンボのトミナー!」
 富永中将はにやにやしながら切り返した。
「一体何の事かな?官姓名を名乗らん奴の言うことなど聞けないな。はて、君はどこかで見た気がする、…うーむ、二二六事件の逆賊安藤大尉に似ているな。ははん、さては銃殺執行を逃れ敵の特務にでもなったか。アメリカの狗の言うことなど、ますます聞くわけにはいかない」
 先程の訓辞で感激していた残留要員は、「逆賊」「アメリカの狗」と聞いて一斉に憎しみに満ちた目を謎の帝国陸軍軍人、いや安藤元大尉に向け、安藤元大尉を取り囲み始めた。形勢は圧倒的に安藤元大尉に不利であった。気が立っている残留要員は、既に富永中将の巧みな煽動で、安藤元大尉をアメリカのスパイだと思い込んでいる。しかし、単車仮面に変化して彼らを叩きのめす訳にはいかない、彼らはサンボではない。
「我々はこれから帝国軍人の神聖な義務を遂行せねばならんのでね、失礼する」
 じりじりと、残留要員ににじりよられる安藤元大尉を横目に富永中将は言い捨て、輸送機に向かった、その時。

バボボボボボボボ

 さっきとは別の単車の爆音が響いた。

この展開だと、単車仮面 第五話「単車男の最後(中編)」に続くような気がする。
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瀋陽の日本総領事館に身分不明者が強行進入した事件について -映像編-

 人が一人通れる位に開いたゲートに駆け込む4人の男女、女性の一人はしっかりと幼女を抱いている。
 ゲートに二三歩踏み込み、女性二人を引きずりだす、草色の制服を着た屈強な公安。その脇を駆け抜ける男、白い運動靴がやけに目に付く。
 泣き喚く二人の女、投げ出される幼女。
 逃亡生活中に生まれたが故に、彼女にとってはおそらくは祖国の体制よりも恐ろしい存在であるであろう草色の制服を着た公安、に目の前で母親が取り押さえられ、泣く以外に術をしらない幼女。
 保護を与えるべき人々をさておき、制帽を拾って公安に渡すまぬけな領事館員。

 とまあ、かような映像が世界に配信されました。なんというか、陳腐かつあまりにも扇動的な、ワイドショーでしかお目にかかれないような映像でしたな。現実だからいいものの、もしこれが映画だったら、こんな脚本、演出とおらないでしょ今時。こんなような文章書けなどと言われてもなるべく書きたくねえなあ、必要あれば別だけど。
 陳腐なだけに人々に与えた影響は大きく、日本政府は大騒ぎ(詳しくは次稿にて)。挙げ句の果てにはやっぱり出てきたよ、こんなのが。
<中国大使館に侵入の男逮捕=瀋陽総領事館事件に抗議-警視庁>

 東京都港区の中国大使館に侵入しようとした住所不定の塗装工の男(55)が、建造物侵入の現行犯で警視庁麻布署に逮捕されていたことが、11日分かった。調べに対し、男は「中国・瀋陽の日本総領事館亡命未遂事件をテレビで見て、子供がかわいそうだと思い抗議しに来た」などと供述しているという。男は当時、かなり酒を飲んでいたらしい。 (時事通信)
[5月11日14時2分更新]

 筆者にもそろそろ2歳になる女児がいますが、「子供がかわいそうだ」というのは大きいですわな、その意味で今回の映像は反則、だけど撮影させた連中の目的は達成できたといえる。
 ただねえ、カメラを回していた人、亡命を待っている間「失敗した方がニュースになるのに」とか、実際に泣き叫ぶ幼女の顔を撮って、「こりゃいい画だ」と一瞬でも思いませんでした? いやなんとなく、見てて思ったもんで。

 今回の結論、「かみさんと娘を見捨てちゃいかんよ、旦那。俺だったら一生後悔しちまうぜ。」

(このテーマ続く)

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