時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

揺らぐ食の安全

2007年06月21日 | 環境・食料問題
食の安全を揺るがす事件がまた起きた。
食品加工卸会社ミートホープ(北海道苫小牧市)で作られた豚肉を牛肉に見せかけた「偽装ミンチ」は、加ト吉(香川県観音寺市)の子会社などで製品化され、生協などを通じて全国に流通していたという。食の信頼に影を落とす事件がまた一つ、明らかになった。
7、8年前ごろ、様々な仕入れ先から、賞味期限ぎりぎりの食肉をできるだけ安く購入し始めたという。「牛ひき肉に豚肉を混ぜる」「豚や牛の内臓を混ぜる」「豚のひき肉だけを出荷する」といった手法がとられたとされている。
豚の心臓は赤みが強く、混ぜると牛肉と見分けできない。「混ぜてしまえばわからない」との心理から不正を続行。「本当に牛肉か」との問いは、「あまりにシンプルで問いかけられたことはなかった」という。
ミート社の田中稔社長は 「うちの冷凍庫にはたくさんの肉があり、何かの間違いで牛に豚が混ざったのかもしれない」などと述べているそうだが、会社の幹部が不正を認めていることを勘案すると、社長も当然知っていたと思われる。
偽装を行っていた会社の幹部も大変なことをしてしまったと、良心の呵責に苛まれて、詳細を公にしたようだが、企業の社員として過ごしているうちに、良心の欠片すら失い、偽装に加担し、これを長期にわたって隠蔽し、企業の利益を優先するようになってしまったのだろう。
儲けることが至上命令の企業にとって、安全対策は、どんどん後方に追いやられてしまうのが常である。
雪印、不二家など、食の安全を揺るがす事件が続いているが、今回の事件なども氷山の一角であろう。
個々の企業や業界の自主性に任せるだけでなく、国や地方自治体も商品の抜き取り検査なども随時行い、食の安全の確保に努めるべきである。