時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

投資の危うさ

2007年06月19日 | 経済問題
東証マザーズ上場の電気検査装置メーカー株の取引をめぐり、証券会社10社以上に、顧客から代金が支払われず、総額数十億円の損害が出ていることがわかったという。
委託保証金(担保)の約3倍の株の売買ができる信用取引を行っていた顧客が大半で、同社株の急落で多額の損失を抱えたことが原因とみられる。
同社は2003年4月、東証マザーズに上場。株価は当初、主に10万~20万円台だったが、2005年秋から上昇し始め、翌2006年末には100万円を突破した。今年に入ってからも100万~150万円台で推移していたが、先月、大量の売り注文が入って急落、今月14日の終値は14万8000円だった。関係者によると、株の信用取引では通常、顧客が30%の委託保証金を証券会社に担保として差し入れ、株価が値下がりした分だけ支払う損失分も膨らむことになる。
今回の事態は、株価の急落で、支払いができない顧客が相次いだことが原因とみられ、東京や大阪などの10社以上の証券会社で、代金の未払いが大量に発生した。なかには約10億円の損害が出た証券会社もあるという。
各社は、弁護士を通じるなどして顧客に支払いを求めているが、複数の証券会社と取引し、未払いになっている顧客もいるという。
本来、株というのは、その企業の事業を応援するために出資し、その収益を配当という形で受け取るものである。また、株主優待などを通じて、その企業のサービスを享受することもある。
しかし、現在はそのような株取引をする人はほとんどいない。
株価の値上がりを通じて、売買益を得ることを目的に、ただ投機だけを目的に売買されることが、このような悲劇を生むことになる。
今、世界中を莫大な投機資金が駆け巡っている。
およそすべての商品が投機の対象になっている。株、国債などの債券はもちろんのこと、土地、建物、貴金属、宝石、美術品、エネルギー資源、穀物、・・・、人が欲しがるものであれば、何でもかんでも投機の対象になり得る。
商品の価格は、単純に需要と供給の関係によってのみ決まる。欲しい人がいれば、それを買い占めれば価格は必ず上昇する。
資金力のあるファンドなどが、いわゆる買占めに近いことを行うと、価格は一気に上昇し、反転して、大量の売りに回れば、価格は見るも無残な暴落を見る。
今回の株取引もまさにそのような現象の一つに過ぎない。儲かった者と損した者、帳尻はきちんと合うことになっている。
さて、冷静に考えてみよう。富の源泉は労働である。
このような投機によって新たに生まれるものは何もない。実に無駄な行動ではないか。
このような無駄な行為のために、貴重な時間を無駄にするくらいなら、もう少し汗水流して生産的な仕事をしてはどうだろうか。
しかしながら、これが資本主義という社会の仕組みであり、多くのまじめな投資家は、この波にもまれて消えていくことになるのだろう。