時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

ワーキングプア2を見て

2006年12月11日 | 格差社会
10日の夜、NHKの「ワーキングプア2」という番組を見た。
前回の放映も見たが、反響は随分と大きかったようで、1回目の放映に対して手紙、FAX、メール等で1400件もの投書があったという。今回はその第2弾だった。
この番組を見て、読者諸兄はどのように感じられただろうか?
平穏に暮らしていた若い夫婦。突然の離婚で、昼夜2ヵ所の職場を掛け持ちしながら、深夜2時まで働きづくめで二人の子供を育てている若い主婦。
父親が倒れたため、パートで働きながら生活を支えている姉妹。調理師の資格を取っても上がった時給はたったの10円。
夫を亡くし、必死で店を守ってきたが、店の家賃さえ支払えなくなり、店を閉め、「甲斐性のない親だ」と涙ながらに娘との暮らしを余儀なくされる母親。
安い外国人労働者との競争に立ち行かなくなり、収入は減る一方。パートで家計を支える妻の務め先は、その外国人たちの研修施設の賄い。
80歳を過ぎ、空き缶拾いをしながら暮らしを支える老夫婦。
年金をすべてつぎ込んで介護施設に妻を入所させ、公園清掃のわずかな収入で生活をつなぐ70代の夫。
いずれも、私たちの回りにどこにでもありそうな風景ではないか。
あるいは、今は健康で何の不自由もなく暮らしていても、家族の病気や失職などで、誰でも陥る可能性のある現実である。
今回は放映されなかったが、ホームレスの実態や若いフリーターの暮らしなど、もっと悲惨な現実も存在する。こういう実態は枚挙にいとまがないはずだ。
これが「世界第2位」の経済力を有する日本という国の「美しい」現実だ。
このような状態がどうして生まれてきたのかは、番組の中で内橋克人氏が述べていたように、「大企業ばかりが利益を独占するような仕組みが間違い」なのだ。
日本という国は、ことごとく大企業に甘い国だ。
今までにも本紙の中でたびたび指摘してきたように、政府・与党がこの間に進めてきた財界の意向を汲んだ規制緩和、派遣可能業種の拡大や偽装請負の放置による非正規雇用者の増大、法人税の減税の一方で年金、介護健康保険などの掛け金の値上げ、所得税の定率減税の廃止など、弱者から徹底的に絞り上げる政治のあり方だ。
日本は、「世界第2位」の経済力がある。人口が減少傾向にあるとはいえ、それを支える勤勉な国民がおり、高い教育水準や技術もある。それが、大企業の儲けの道具になり、国民のために使われていないことに最大の問題がある。
そして、それらは財界が政治献金という賄賂を贈って、政府を動かし、実現してきたものだ。
大企業に対する法的な規制を強化する以外に解決の道はない。そこに多くの国民が気づくべきだ。
そして、そのためには、財界応援の自民・公明の政治ではなく(もちろん、財界に政治献金を公然と要求する民主党による政権でもない)、野党らしい野党が議会で力を付け、国民が政治に関心を持ち、声を上げ、行動し、それを監視することだ。
来年は、いっせい地方選挙や参議院選挙がある。地方政治や国の政治を大企業本位の政治から、国民に目を向けた政治に転換できるチャンスである。
この番組を見て怒りを感じた多くの国民には、反撃のチャンスが与えられている。読者諸兄の賢明で、的確な判断を期待したい。


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