時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

グッドウィルユニオンに拍手

2007年06月26日 | 格差社会
日雇い派遣大手のグッドウィル(東京都港区)が給料から不透明な天引きをしていた問題で、厚生労働省は、天引きは賃金不払いで労働基準法違反にあたるとみて調査、指導する方針を固めたという。
一方、グッドウィルは、過去2年間の天引き分を返還すると発表した。対象は80万人で総額37億円に上るという。不透明な天引きは業界全体で横行しており、他社にも大きな影響が及びそうだ。
グッドウィルは、派遣1回当たり200円を保険料などとして天引きしていた。派遣労働者でつくるグッドウィルユニオンは「強制的な天引きで使い道も不透明」と返還を要求。今月上旬から組合員ら数十人が、各地の労働基準監督署に労基法違反として申告していた。
グッドウィルは、この問題が明らかになった際に、希望があれば返還するなどというアイマイな態度を取っていたが、世論の盛り上がりと厚労省からの指導により、とりあえず、2年分については全額返還する方針を固めた。大変喜ばしいことである。
同時に、2年以上前の違法な天引きについては、賃金請求権(2年の時効)を参考に支払わないとしていることは極めて不当だ。
労働者がこのピンハネ分を請求する権利があることを知っていたのならともかく、労働者をだまして、ピンハネしておきながら、請求権は時効だなどという言い訳は通用しない。
過去にさかのぼって調査し、全額を返還すべきである。
さて、今回のピンハネ問題であるが、その発端は、派遣労働者が作ったユニオンの追及によるものである。わずか数十人の組合員の行動が会社の違法行為を正し、結果的に、80万人の日雇い労働者に多大な利益をもたらすことになった。
もし、泣き寝入りしていたら、何も変わらないままに時が過ぎ、さらに多くの労働者が被害に遭ったに違いない。
ユニオンの活躍に拍手を送りたい。
労働者の立場は弱い。会社に対して物を言うことは、勇気のいることである。特に、このような日雇い労働者の場合、明日から仕事を回してくれなくなるかもしれないといった不安も生じるに違いない。にもかかわらず、勇気を持って会社の違法行為を告発した行動は賞賛に値する。
このユニオンの組合員はもちろんのこと、80万人の派遣労働者は、今回の件を通じて、ピンハネされた37億円を取り戻したにとどまらず、人間としての尊厳や生き方を取り戻したのではなかろうか。
この動きが、派遣業界全体に広がることを願っている。
また、非正規雇用者も、組合などに加入して、共同して声を上げることを期待している。


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