時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

タミフルの使用の可否

2009年05月21日 | 医療・社会保障
新型インフルエンザの感染が広がっており、ニュースを見るたびに感染者の数が増えてゆく。
感染者には、タミフルなどの、インフルエンザ治療薬が処方されていると思われるが、今回のインフルエンザは弱毒性であると言われており、タミフルを使用することには疑問がある。
今年の1月には、厚生労働省よりタミフル耐性のインフルエンザウイルスについて、中間報告が行われている。この報告は、タミフルを発売している中外製薬のホームページにも記載されているが、この報告では、国立感染症研究所において今シーズンのインフルエンザウイルス(A/H1N1)について、検査した35株のうち、34株からタミフルの耐性ウイルスが検出されたという。
今回の新型インフルエンザはH1N1型である。
とすると、タミフルが効かないウイルスが含まれている可能性もある。
また、仮にタミフルが効くとしても、頻繁に使用することによって、耐性ウイルスが発現し、蔓延する危険性がある。
細菌と抗生物質のイタチゴッコのあげく、抗生物質が効かない細菌が発現していることはよく知られている。
抗ウイルス薬についても同様である。
抗ウイルス薬を使いすぎることによって、耐性ウイルスの出現を早め、さらには、ウイルス自体が強い毒性を持つウイルスに変異する可能性は極めて高い。
今回の新型インフルエンザは弱毒性であると言われているのだから、安易な抗ウイルス薬の使用は、ウイルスと治療薬との新たなイタチゴッコを生む可能性が高い。
厚生労働省も、38度以上の高熱がある、高齢者などで体力が低下している、小児、妊婦、他の合併症を有している等の一定の条件でのみタミフルを使用するといった治療指針をなるべく早く提示し、不必要に抗ウイルス薬が使われることがないようにすべきである。
ましてや、予防のために抗ウイルス薬を使用することは避けるべきである。
また、インターネットなどで、タミフルを購入し、勝手に服用するようなことは持ってのほかである。商品そのものが正規の品物であるかどうかさえ保証がないし、そもそも、医師の処方なしで使用する薬剤ではない。
いざ、強毒性の新型インフルエンザが発現した時にタミフルが効かない、といった事態に陥らないよう、適切な薬剤の使用が望まれる。
感染した人から見れば、一日も早く直したいと薬に頼る気持ちはわかるが、安易な薬の使用は、将来の自らの首を絞める結果にもなる。
インフルエンザは、症状が重くなければ、安静を保ち、十分な栄養を補給していれば自然に治る病気であることを自覚して、冷静に対応したいものである。